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3つの大学でゲスト講義


ここ1週間ほど、高校および3つの大学でゲスト講義が続きました。
愛知淑徳大学 人間情報学部(佐藤朝美先生)では、アプリ開発をなさる学生さんを対象に、ピッケをデザインの視点から語りました。

事前のオーダーは「学生さんたちが開発する際、自己満足や自己実現の閉じたものにとどまらずに、社会へ眼を向け、子どもを育む環境をつくる担い手となる意識をもてるように」とのこと。それを受けて、活動の動機やねらいに加え、次のように話しました。「ピッケのアプローチは、先にITありきではない。実現したいこと → そのための活動デザイン → ITが『創る』をエンパワーしてくれるので適所に取り入れる」この順序が逆さになっている事例を時折みかけるもので、今さらとは思いつつ。
あとは実践面。開発したアプリを、頭を初期化して、使う人目線で試すこと、日頃の生活の中でもデザインの眼や心を鍛えることできますよ、といった話をしました。

続く2校では、教育の視点から話しました。
青山学院大学 教育人間科学部3年生ゼミ(杉本卓先生)でのゲスト講義は、ありがたいことに今回で5回目です。ピッケが入ったiPad mini 30台が導入されているので、1人1台環境で実際に作ってもらえます。 >> 昨年の授業風景(学研キッズネット取材記事)
昨年は全員女子学生さんでしたが、今年は男子学生が4割ほど。子どものアクションを引き出す絵本を作ってもらいました。

相模女子大学 子ども教育学科(七海陽先生)は、大半が将来、保育士や幼稚園教諭になる学生さんです。すでに授業でピッケ絵本を作成しているので、90分フルを未就学児の話題を中心とした講話にしました。子どもの物語世界の豊かさや、年齢別の作品から読み取る子どもの発達を、movieを交えながら紹介しました。

学生さんたちと話すことは新鮮で楽しく、ピッケを複数の切り口(社会の中のデザインだったり、教育だったり)から客観視して言語化することは、私にとっても学びとなります。

さて、ゲスト講義ウィークを終え、次は子どもたちとの絵本づくり!
公募のある夏休みワークショプの予定はこちらです。

女子大でゲスト講義


1月13日。相模女子大学 子ども教育学科(七海陽先生)3年生の授業でゲスト講義させていただきました。
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保育士、幼稚園教諭、小学校教諭をめざすの約50名の学生さんたちです。
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相模女子大では、「ピッケのつくるえほん」iPad版リリース当初から、かれこれ5年ほど、授業として絵本を作ってくれていて、その作品movieが届くことを、毎年楽しみにしています。今日受講の学生さんたちの作品も拝見しているので、尚のこと授業を楽しみにしていました。研究室には、同作品の紙の絵本もありました、
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皆さん、熱心に聴いてくれて、終盤では、お話絵カードで即興でお話もつくってもらいました。びっしり書いてくれた感想から、物語づくりが子どもたちや保護者に何をもたらすかや、子どもを尊重することなどについて、共感をもって聴いてくれたことが伝わってきて、嬉しくなりました。

構内もご案内いただきました。
陸軍通信学校の跡地だそうで、とても広くて静かで、同じ敷地内に、幼稚部、小学部、中学部、高等部がゆったり点在していて、いかにも「学園」というおもむき。写真撮ること忘れていて、これは小学部で飼育しているというヤギの「バニラ」です。
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午後は、幼稚部の皆さんに絵本づくりを体験いただきました。
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こちらでも終了後、興味もって残ってくださった先生方と、接続詞カードやお話絵カードでリレー式でお話をつくって遊びました。大学の授業でピッケ絵本を体験した卒業生も幼稚部の若手先生として活躍されていて、和気あいあいのチーム力を感じました。
永くピッケを使ってくださっている相模女子大で、朝は、将来、保育士、幼稚園教諭、小学校教諭となる学生さんたちと、午後は、その卒業生も含む幼稚部の先生たちともご一緒できて、楽しく充実の一日でした。

オープンキャンパスとゲスト講義 @環太平洋大学


6月19日日曜日、岡山のIPU・環太平洋大学(INTERNATIONAL PACIFIC UNIVERSITY)のオープンキャンパスにお招きいただきました。
1990年まずニュージーランドに開校、2007年には岡山でも開学。今年で9年目の若さあふれる大学です。緑に囲まれた広いキャンパスに安藤建築が3棟も点在しています。

メイン会場となった学舎
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アスリートホール(入口)
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カフェテリア
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八田さんというチャーミングな女子学生さんが終日アテンドに付いてくれました。
ダンス部のエキシビションで華やかに幕を開け、学生さんの司会進行で進んでいきます。学校紹介のムービー上映、それに続く大橋博理事長の講話は心に響きました。用意した原稿を読むとは対極の、来校した子どもたちへの心をこめた言葉がけでした。「教える側がその気になれば子どもは付いてくる。やり直したかったことがあればIPUへおいで。自分のやりたいことを形にするのがIPU。やる気になるかの違いだけ。自分の夢をかなえよう」子どもたちへの愛や教育への熱い想いが伝わってきました。私が保護者なら、開始から30分のこの時点で「我が子をこの学校へ」と決めることでしょう。大橋節子学長からも「折れない、やめないIPU」とお話がありました。教育成果のひとつの指標である就職率も驚きの高さです(正確な数字は忘れましたが、ほぼ100%に近い高率)。客席に姿の見えたOBOGを檀上に招き、即興でスピーチを依頼、ふたりともが堂々と話したことにも感心しました。ひとりは東京で大手生命会社に勤務、もうひとりはインドの学校で先生をしているそうです。
マーチングバンドやチアリーディングのパフォーマンスもハイレベルで、来校の目的を忘れてしまうほど楽しみました。
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ランチのあと、こども発達学科の模擬授業として高校生対象にピッケ絵本づくりをしました。贈る相手を決めて、あとは自由につくってもらいました。小さい妹や弟へ、歳が近くてつい喧嘩しがちになる妹への「けっきょくなかよしなふたり」もこの年頃らしいです。女子高生2人組でつくった担任の先生へ贈る絵本も素敵でした。「いつも困らせてばかりでごめんね」「あとちょっとだけど こんな私たちをどうぞよろしく」ふたりで声をそろえて録音していました。(太陽が先生です)
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翌20日(月曜)は、こども発達学科2年生の授業でゲスト講義をしました。
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物語づくり活動についての活用事例(きらめき保育園での活用、女子大での活用 作例movieなど)や子ども作品紹介のあと、40分ほどを絵本作りと作品発表に充てました。ほとんとが保育や幼児教育へとすすむ学生さんたちとのことでしたので、幼稚園児に贈る絵本をグループ制作してもらいました。食べ物の好き嫌いの克服、集団遊びの中での喧嘩→ごめんね、困り場面に助けてくれる人登場→ありがとう、現代版竜宮城へ行く、はじめてのおつかい(がフェイントで)ユーモア絵本、あたまじゃくし→かえるの成長絵本、もりのくまさんを絵本にした歌絵本など。
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講義室後方で黙々とつくっていた男子学生グループの作品を紹介します。
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「アッ!あぶない!!」 IPUけいさつ作


繰り返し3回の構成、声の演出(役割分担、声色使い分け、リズム)、表紙は危険を示す赤色、惹きつける題名、テーマに合せたチーム名、恐い3場面のあとの裏表紙にみみちゃん(うさぎ)が甘いドーナツを食べるシーンをもってくることで読み手に安心感を与える配慮、出演者を総出演させ、悪役だったうっきー(猿)を端っこに涙目で配置するさりげないユーモア。この短時間で、よくここまで練り、作りこんだものです。
他どのチームも、声がよく出て録音がしっかりできていて感心しました。

「人間力を育む」教育における「ICTを活用した保育を学ぼう」という趣旨でお声がけいただき光栄でした。ICTを子どもの創造表現活動に活かせる保育者や幼児教育者が、IPUから巣立つことが心強いです。
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大学でゲスト講義


6月1日。青山学院大学 教育人間科学部3年生、杉本卓先生のゼミでゲスト講義させていただきました。
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毎年この時期を心待ちにしていて、特に去年からは ピッケが入ったiPad mini 30台が導入され、1人1台環境で実際に作ってもらえるので、ますます楽しみなのです。
皆さんに見せたくて、絵カードやお話マグネット(ボードも)「ピッケのおうち」の紙工作類など大荷物で出かけました。
今年のゼミ生は全員女子学生。各自の関心領域で、物語作成が課題解決に有効であると思われる具体的な事例と対象者を想定して、絵本を作ってもらいました。
仲間はずれをテーマに、教科学習の深い理解に、食育をテーマに、幼稚園への通園で泣いていたかつての自分のような子どもを励ますために etc. たった30分でそれぞれまとめてくれました。
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以下、講義後に学生さんが杉本先生へ送った感想や気付きから抜粋。

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お話を聞いて、紙の絵本にはないICTを使った絵本の多様性に驚きました。実際にやって思いましたが、子ども達自身がiPad上で自分の頭のなかにある物語を、手を動かしたり、いろいろ試行錯誤することで目に見えるものとして創り出すことは、子ども達にとってとても充実した経験になると思いました。また便利すぎないようにアプリを作る際に工夫されたというお話を聞いて、従来からの教育現場の良さとICTを使うことの良さを程よく掛け合わせていて素晴らしいと思いました。
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・絵本アプリと聞いた時、子どもの遊びだろうというのが第一印象でしたが、実際にやってみると大人の私でもとても面白く、もっとやりたいと思いました。
・機能を最小限にするなど、しっかり子どもの視線に立っているのが分かりました。子どもが自ら成長できる場を考えるというのは、幼小の授業でよく聞きますが、その実現を見た気がしました。
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ITがどんどん発展していく中でアプリもどんどん発達していますが、そのアプリから実際の紙にうつしていくという考えが私の中ではありそうでなかったので驚きました。
私は、教育現場でもそうですが、ITのみを利用することにはあまり賛成ではなかったのですが、この絵本のアプリのようにデジタルとアナログがつながるようなものがあると、うまく連携して活動の目的ごとに使い分けることができて、さまざまな現場で応用して使うことができたら良いと思いました。
絵本作りは大学生になっても楽しいと感じました!!
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絵本は子供たちが読んで楽しむものであると考えていましたが、今回のお話を聞いて、子供たちにとって絵本は言葉以上に自分の心や考えを雄弁に語れるツールであり、想像をアウトプットしてかたち創っていけるものでもあるのだと思いました。
自分が作った絵本を誇らしげに自慢している子供たちの姿や、真剣にお話を作っている姿が印象的でしたが、特に子供たちが本当に楽しそうに取り組む姿が心に残っています。
スポーツや音楽、今回のようなものづくりなどを通して、時間を忘れて夢中になるという体験を子どもたちがすることは大切だと思っていて、ピッケのつくるえほんはその手助けになるのではないかなと思いました。
ICTを利用した製品というと少し難しくて、でも便利というイメージでしたが、逆にシンプルで誰でもつかえて、それでいて便利すぎないというのが味噌になっているところがとても興味深かったです。実際に絵本を作ってみて、私も熱中してしまいました。
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手書きを写真で撮って送った学生さんも。柔軟でいいなと思いました。
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ゲスト講義 @札幌市立大学


29日(月曜)は、札幌市立大学 芸術の森キャンパスにて、DEVELOPMENTAL/オープントーク「子どもたちがコンピュータと出会うとき」(杉本達應研究室主催)としてお話してきました。
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学生さんに加え、同じメディアデザインコースの先生方、学外の企業の方もご参加くださり、なごやかな場となりました。皆さんに、それぞれの関心領域における課題解決の絵本をつくり発表もしてもらいました。
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小学生向けの防災啓発Webサイトを作ることを卒業研究のテーマにしている学生さんは、子どもたちに「おはし」を伝える絵本をつくっていました。(「押さない」「走らない」「しゃべらない」で「おはし」だそうです。はじめて知りました)
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杉本達應先生より「スマホやタブレットの普及にあわせて、教育でのICT活用はホットな話題です。今回は、そんな時代の波に流されていると見失いがちになるデジタル以前の大事なことを再確認できる時間になりました」と講評いただきました。(追記:詳細レポートをアップしてくださいました

講義後、学内を案内していただきました。清家清氏設計の学舎はバウハウスのようで、感嘆の連続でした。隅々美しく機能的にデザインされていて、建物だけでなくさりげなく置いてある椅子(ハンス・J・ウェグナーやコルビジェ!)など学内のすべてがグッドデザインで満ちています。天井高、ドアなど開口部の寸法も、基本モジュールから150%scaleな感じで、とにかく広い。眼に入るすべての物は美しい。そして学内の人口密度が低い。学生さんは思い思いの場で創作しています。教育理念が環境として具現化され、前身の札幌市立高等専門学校の開校から25年近く経つ今も受け継がれていて素晴らしいです。
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主催者によるレポートはこちら>>(参加者のアンケートもあり)

大学でのゲスト講義


先週は2つの大学でゲスト講義させていただきました。

6月17日。青山学院大学 教育人間科学部3年生、杉本卓先生のゼミでは、自身の関心領域で自由に課題を設定し、それを解決する絵本をひとり1台環境でつくってもらいました。
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教員免許取得希望の学生さんもいて、半数近くが幼児教育に関する課題を設定していました。大学院生も2人参加、嬉しいことに内ひとりは昨年に続いての自発的な再受講でした。ICTに対しては懐疑的で、前回は反発する気持ちで講義に臨んだとのこと。受講して考えが変わり、親戚の子どもにもアプリを薦めてくれてその子が何10冊も作り続けているそうで、今ではICTは使い方次第と考え、講義も終始うなづきながら聞いてくれました。

翌日の明治大学 国際日本学部では、「教育の方法と技術」の「タブレット活用の実践と体験」として話しました。
まず岸磨貴子先生による導入。学校知と日常生活の乖離があり、学校で学ぶことを実際の生活で活かすことできていない。例えば「みかん3個とりんこが2個あります。かけたらいくつ?」と 問われれば「6」と答えてしまうようなことが起きている。日常との関連を実感できるような概念理解が重要であると、ジャスパープロジェクトを例に語られました。
岸先生からのバトンを受けて開発のねらいやそのためのデザインについて伝えたあと、5,6人×11の各グループでテーマを決め、深い理解を促すための方法としての「物語」、絵本づくりを体験してもらいました。

以下は、学生さんのアイディアから抜粋。
数学では、cos(コサイン)を身近な例(ケーキを切る)で説明、速さと距離の関係を物語の中で考えさせる、割り算の商と余りの関係を買い物の例で示す、国語では難解な言葉の起源を物語で解説、歴史では、黒船来航時の日米間のやりとりを物語でわかりやすく伝える、英語では、録音機能も使って自己紹介を書く読む話せる、前置詞の視覚化理解、道徳では、食べ物が足りないという状況設定を用意し考えさせるなどなど。
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びっしり書き込まれた「ふりかえりシート」の中にも、さらに多くの授業活用の提案や気付きが記されていました。
・抽象的な概念を絵を使い具体的に理解することで、学校で養った力や知識と、実生活で必要となる力や知識の間のギャップを埋めることができる。
・絵本にすることで積極的に学習に取り組むことができるし、自身の学習理解度を視覚化し整理することができる。
・身についた知識を体系的に人へ説明できるというのは全ての科目で重要であり、深い理解につながる。まとめの時間に取り入れるとよい。
・新しい単元に入るときの導入として。未習事項の英文や数式の概要をイメージでとらえてもらう。
・英単語などの暗記系にも向く。イメージが合わさることで記憶に残りやすい。
・自分のオリジナルで考えつくる教育方法は、学習者の興味もわき楽しく学習できるので、学ぶことが好きになると感じた。

実に密度濃い90分でした。
研究者や若い世代の人と話すと打てば響くように伝わり、ディスカッションによる収穫も多くて、先月の名古屋から続いて、大学で話すことが楽しいです。
来週は札幌市立大学へ伺います。

追記:
岸磨貴子先生によるブログ「6/19 特別講義として「ピッケの作る絵本」」