Category: 絵本・本

切る貼るつくる箱の本 ~BOX&NEEDLEの工夫を楽しむ箱づくり


久しぶりの自宅で過ごす週末。窓の外は小雨。
二子玉川のBOX&NEEDLEは、外からショーウィンドウを眺めるだけでも心ときめきます。そのときめきを手にとり何度でも楽しめるのが、この1冊。
image
image
貼箱のつくり方が工程ごとの写真とともに丁寧に紹介されています。とてもわかりやすいのは、筆者の大西景子さん自身がワークショップ等で自ら教えているからでしょうか。端紙を利用したアイディアも楽しくて、気軽なここからまずちょっと作ってみたくなりました。家業の貼箱のみにとどまらず、世界の紙づくり=文化の伝承や日本の伝統産業全体にまで想いを馳せ、新しい風を入れながら未来へ繋ぎ広げていこうとする志が気持ち良いです。中味も見た目もとても美しい本です。

「子どもとデジタル絵本」BEATセミナー@東大情報学環 で登壇しました


帰国後の週末6/2(土曜)は、BEATセミナー@東京大学大学院情報学環 へ。
全体テーマは「子どもとデジタル絵本」、いただいたお題は「子どもにとっての絵本の役割とデジタル絵本の可能性」です。

まず、東大情報学環 特任助教の佐藤朝美さんから、絵本の読み聞かせに関する要因、Narrative(物語行為)について、その歴史と認知機能発達の見地からレクチャ。バトンを受けて次は私。ピッケの話と、2つのソフトの開発を通して思うことを話しました。

<デジタルへの懸念・課題>
・ハードもインターフェースも、子どもに与える物としてまだまだ不十分。
 くるっと丸めてポケットやカバンに入れて公園へ持っていけるような物になってほしい。
・造形物としての絵本をどう考えるか。
  アナログ絵本では、ハード対ソフトが1対1。
  子どものコンテンツは、絵本に限らず、ハードとソフトが分かち難く結びついている。
  造形物に対する愛着や、所有したい気持ちもある。
  ページめくりなど身体性をともなう仕様には、ある種の強さがある。
・絵本に、絵本を手渡す大人が必要であるように、デジタル絵本にも、手渡す大人が必要。
・デジタルの、繋がろう、外へ広がろうとする特性をどう活かすか。

<私の考えるデジタル絵本の可能性>
・従来の子どもの絵本は、電子書籍の時代になっても残る。
・既存作品のデジタル絵本への移植は、図鑑的な絵本、おもちゃ・ゲーム的な絵本には向く。(物語絵本、特に完成度の高い物語絵本ほど、難易度が高い)
・デジタル絵本としての独自の仕様を考えることで、新しい表現が生まれる。
・デジタルの、繋がろう、外へ広がろうとする特性を活かし、絵本という領域にとどまらず、横方向に広がる周辺領域も合わせてデザインすることで、次の展望がひらける。

日本出版販売(デジタル絵本tocco)の正道寺裕子さんによる、物理シミュレーションを用いたデジタル絵本「まり」の開発話も興味深かったです。ビジネスとして成立することも満たしながら、アナログ絵本との違いをどう出していくかを悩みながら開発したと。
こども心理学がご専門の石川由美子さんは、「絵本を読みあうことは、人は信じるに足りうる存在であるという確信を育むことである」と話されました。とても共感します。iPadなどデジタル機器はそもそも1人でする物体のカタチであること、紙の絵本とは質的に違うこと、100年後に見つけたとき「これが私の絵本だよ」と言えるものになるか、など懸念を込め語られた数々は、一般の大人向け電子書籍とは異なり、子どものデジタル絵本については、よくよく考えていかねばならぬことと常々感じています。

「子どもとデジタル絵本」のテーマに、絵本の出版関係者、教育関係企業の方、学術研究者、保育関係者、学校の先生、自治体の方、開発者、地域で絵本の読み聞かせ活動をなさっている方、大学生など、さまざまな領域の方がご参加くださいました。
セミナー時にもお話しましたが、いつの時代においても、子どもには良質のものを届けたい。これは私たち大人の責務です。「主役は子どもである」を忘れず、デジタル絵本を開発し、子どもに手渡し、良質の絵本体験の場をぜひご一緒につくっていきましょう。

BEATセミナー@東京大学大学院情報学環 レポートページは こちら>>

朝倉発表分のスライドを以下↓に公開しています。

「おいでよ!絵本ミュージアム2011」@福岡アジア美術館


Img110730_1

福岡の夏の恒例「おいでよ!絵本ミュージアム」が始まっています。
ほんとによく練られた、楽しくボリュームもたっぷりの展示です。絵本の展示会は結構な数見ていますが、これほどのレベルを他に知りません。これまでの5回全て、ゼロから企画~展示なさっているのは、子どもの気持ちを知り尽くしたNPO(子ども文化コミュニティ)の皆さん。絵本の世界に飛び込んでいける工夫が隅々にあって、場内のあちこちに、好きに絵本を開いて読めるコーナーがあります。実際あっちでもこっちでも思い思いの気に入った場所で気にいった絵本を親子でリラックスして読んでいる姿がいっぱいです。

今年の展示は偕成社さん。入ってすぐはエリック・カールの「パパ、お月さまとって!」
Img110730_2

原画展示のところは著作権上撮影禁止ですが、子どもが絵本の世界に入って写真撮影も可の展示がたくさんあります。安全には考慮しながらも、子どもがやってみたい夢を叶えることが優先されています。
「もぐらバス」も乗れます。
Img110730_3

Img110730_4

メイシーちゃんのお家もありました。
この「100かいだてのいえ」原寸大!
Img110730_5

トチくん、クウちゃんがたぶん120~130cmくらいです。並んで記念撮影できます。
Img110730_6

岩井さんの「おふとんどうぶつ」これはお馬さん。(ぞうもあります)
ご自宅で娘さんたちと、椅子やお布団、シーツなどを使って、乗れるほど大きな動物を作って遊ぶとのこと。それを、美術館内のあれこれで再現なさったものです。(なので、どこかアジア風ですね) この岩井俊雄さんスペシャルコーナーは、半年前吉祥寺まで見にでかけた展示が丸ごと来ています。「100かいだてのいえ」をどう作ったかが本人の詳細解説で説明されていたり、手作りオモチャの展示もあり、クリエイターをめざしているなど作ることに興味ある人にとっては特に、何時間でも見ていたくなる展示です。

あと、黒井健さんの「ごんぎつね」の原画を見れたのが思いがけなくて、嬉しかったです。
講演会のことも書きたいのですが、明日はピッケなので寝なくちゃ。ひとまずここで。
8/21までです。福岡近郊の方ぜひ。

子どものための読書記録サービス「ミーテよみログ」


以前、絵本・子育てを応援するSNS mi:te[ミ-テ]を、このブログでも紹介しました。
そのミーテのリリースから4年、ひとりで本を読めるようになった子どもたちのために、読書記録サービス「ミーテよみログ」が始まりました。基本コンセプトと基本設計を、少しお手伝いしています。
シンプルな機能のみに絞られているのでわかりやすく、親子で楽しみながら使えます。お薦めです。(無料)
Img_mite1
ここはそれぞれの子どものトップページとなる「マイホーム」。子どもひとりずつに、1本の樹。ミーテのキャラクター、テテとミミがサイトを案内します。
Img_mite2
「本のへや」では、読んだ本を探して本棚に並べます。最上段の棚には「おすすめの本」。
Img_mite2_1
本を探すのは、ISBN入力やキーワード検索で。
Img_mite3
「ちていの図書かん」には皆の読んだ本が蓄積。
Img_mite4
「空のひろば」では、読んだ本の記録数をふり返ったり、他の子どもたちのおすすめを知ることができます。
ただ、ランキングは励みになるけれど、下手をすると数だけを競うことになる懸念もあります。よいアイディアだなと感心したのは、順位を厳密につけない工夫。「たくさん読んだお友だち一覧」は、20~49冊、50~99冊、100冊以上と、大きく分けるだけにとどめて、細かな冊数を明にしていません。これだと、どの冊数の子どもも登場することができるし、細かなランキングにとらわれにくくなりますね。

読み聞かせを入り口に、自分で読みたくなって読書へと進んでいく。
物語や言葉を楽しみながら、子どもたちと本との付き合いが、長く豊かに続きますように。

子どものための読書記録サービス「ミーテよみログ」は こちら>>

「絵本」にまつわる話


実は、先の「教科書に載った小説」の「絵本」で、祖母のことを思い出しました。(「絵本」という以外に共通点はありません)
私事ですが、書き留めておきます。

昨年の夏の終わり、祖母が暮らす両親の家で1泊を過ごしました。
昼下がり、8歳の姪がピッケの絵本を作るというので、父のPCで1作つくり、3冊製本しました。1冊は自分、1冊は3歳の妹、1冊はひいおばあちゃん(祖母)にあげるのだと言って。
絵本ができあがり、祖母が寝たり起きたりで過ごしていた1階の座敷へ、3冊を携え駆け下ります。3歳も、とことこついてきます。
3人で祖母が座る座椅子を囲むと、姪は少し得意げな様子で、絵本のページをめくりながら大きな声で読み上げました。ピッケの絵を見て「たみちゃん(=私)の?」と問う祖母に、「ちがう、私が作ったの」と表紙の作者名のところを指し示します。
日頃「お年寄」に会うことがなく、腰が90度以上に曲がった祖母を時に恐がり泣くことさえあった3歳の姪も、この日はリラックスした様子で、祖母にもたれ顔を寄せ絵本をのぞきこんでいます。
祖母は、補聴器をつけてはいるものの、ほとんど聴こえていません。おそらく訳はわからず、でも、とにかくも、こうやって曾孫2人と孫(私)とが、自分のためにと絵本を読んでくれるのですから、嬉しそうな様子で聴いていました。
「おしまい」となり、閉じた裏表紙に持ち主のなまえとして自分の名前が入っているのを見て、眼を丸くします。(初期の仕様では、裏表紙に持ち主の名前を入れる欄があったのです)
姪が同じ絵本を3冊並べ、裏表紙の持ち主名を示しながら、「これは私、これは妹。これはひいおばあちゃんにあげるの。どうぞ」と手渡すと、なんとなくはわかったようで「ありがとう」と嬉しそうに受け取りました。
その3週間後、祖母は息を引き取りました。92歳の大往生でした。
もらった絵本を、ずっと大事に、繰り返し繰り返し読んでいたそうです。葬儀の日、他の遺品とともに絵本を棺に入れました。
初孫だった私は、幼少の頃から特に可愛がってもらいました。
大好きな祖母とのさいごの風景が、姪っ子たちと一緒にピッケの絵本を読んだおだやかな時間であることは、とても幸せです。
先月、その祖母の一年祭でした。
今でも、守られている気がします。

「教科書に載った小説」


すっかり秋ですね。
教科書に載った小説」佐藤雅彦編 を読みました。
Img091012_1

国語の教科書に掲載された小説12篇が収められています。
これが面白いのです。
ひょっとしたら私の使った教科書に載っていた作品もあるのかもしれませんが、「読まされ」て面白さに気づかず過ぎたのでしょう。それぞれの教科書を作った選者によって選ばれ、時を経て、この本の編者によって選ばれ、2つのフィルターを通って届いたということですね。
なかに「絵本」と題された、胸にせまる作品があります。
ある日小包で「ももたろう」の絵本が届く。中には12年前に亡くなった畏敬の友からの一通の手紙が入っていた。死を間近に控え、友の未だ見ぬ未来の子どもへ、1冊の絵本を贈ろうと計画し託した絵本。
作者、松下竜一のおそらく実話なのではないかと感じました。
他にも、とんかつ、絵本、少年の夏、父の列車、雛…など、珠玉のつまった1冊です。
編者佐藤雅彦さんHPの紹介文は こちら>>

THE BIG ISSUE JAPAN


Big_issue_usako

126(9/1)号のスペシャルインタビューは、Dick Brunaさん。 表紙はうさこちゃん。(別名ミッフィー。でも私にとっては「うさこちゃん」

インタビューの中の、印象的な箇所。
戦時中、ナチスから逃れるため4年間、人目を避け芸術に触れることなく暮らした。 その後、ロンドンで1年、パリで1年を過ごした。 街に芸術があふれ、ジュージュー音を立てて泡立っていた。初めて目にするものばかり! その色と線に酔っぱらい、こう言われた気がした。 私は絵を描かなければいけない!

122(7/1)号は、Eric Carle さんの特集でした。 そこにも、
子ども時代で思い出されるのは、灰色と茶色=色の無い世界。カラフルな作品は、戦時中に育った自身の経験を癒しているのかもしれない。 とありました。

素晴らしい作品を今も描き続けるおふたりに、共通して、抑圧された経験を経てこその表現への想いがあるのですね。

補足:
THE BIG ISSUE(ビッグイシュー)は、300円のうち160円がそのまま販売者(ホームレスの方)の収入になります。記事も良質です。

エリック・カールさん


Big_issue

THE BIG ISSUE JAPAN 最新号の、スペシャルインタビューは、エリック・カールさん。 表紙も「はらぺこあおむし」です。
どうも最近よく見かけると思ったら、絵本「はらぺこあおむし」が誕生から40年、ご自身も先月80歳のお誕生日を迎えられたのですね。

エリック・カールさんは、絵本を「読めるオモチャ」と考えているそう。
また、子ども時代で思い出されるのは、灰色と茶色=色の無い世界。
カラフルな作品は、戦時中に育ったご自身の経験を癒しているのかもしれない と インタビューは結ばれています。

日本でエリック・カールさんの絵本をたくさん出版している偕成社さんのサイトにも、充実のコンテンツがあります。あの独特のコラージュの薄紙の作り方も紹介されていて、読みごたえたっぷり。

補足:
THE BIG ISSUE(ビッグイシュー)は、300円のうち160円がそのまま販売者(ホームレスの方)の収入になります。仕事をつくることで自立を支援する という考え方が好きです。記事も良質です。

コドモノクニ


Img090522_1

「子どもの本・1920年代展」
15年以上も前、たぶん大谷美術館だったかで開催された展覧会の図録です。
「コドモノクニ」、「子供之友」、「コドモアサヒ」など、大正~昭和のはじめの子どものためにつくられた絵雑誌。 色といい図柄といい、なんてシャレているのだろうと、夢中で観た展覧会でした。

Img090522_2

     上記図録 「コドモノクニ」の表紙の紹介ページ

おそらく近い切り口と思われる「童画の世界展」が、上野の国際子ども図書館で今年の2月まで開催されていました。
会期も長く、たびたび上京もしていたのに、次回こそちゃんと時間をとって と思っている間に、見逃してしまい、痛恨。
その国際子ども図書館に、オンラインのデータベースがあること、ご存知ですか。
ここに、「コドモノクニ」が追加になりました! 嬉しいなぁ~。
低解像度なのが少し残念ですし、もちろん本物を見ることにはかないませんが、でも、これだけ系統立って一覧できるのは、とてもありがたく、魅力。
特に、絵本に興味のある方やイラストを描く方に、お薦めです。

国際子ども図書館 絵本ギャラリーは こちら>>

絵本こそだて日記 ミーテ


Img090411_1

「絵本×子育て」に特化したSNS、mi:te[ミ-テ]をご存じですか?
特に、子育て中で絵本の読み聞かせに興味あるママさんに、うってつけのサイトです。 記録にも励みにも友だち(ミーテでは「よみとも」)づくりにも、役立ちます。 KUMON(あの公文式のKUMON)の子育て応援活動の一環として運営されています。

ピッケのタッチディスプレイ版がある、ファミリオB1階「キッズライブラリーフードコートPLAY!」の絵本コーナーは、ミーテのセレクションによるものなのですよ。 ここも、とっても良いのです。

Img080425_5
         国内の絵本が500冊+北欧の絵本が100冊

1年前に、ミーテのサイトを知り、いちど会員登録しかけたのですが、もろもろの設定が子どもがいること前提なので、気後れしてしまい断念。 あれからさらにコンテンツも充実しています。
会員にならなくても、かなりのページを読めるのですが、全てを読みたいという気持ちに抗しきれず、とうとう入会してしまいました。

どこの出版社への偏りもない、絵本を好きなママたちの生のデータが集積されています。   会員数18000人だそうで、それだけ分母が大きいと、データの精度も高いのです。 子どもの年齢別(0~10歳)、都道府県別、去年の今日読まれた絵本、なんていうランキングまであります。
読み聞かせガイドや絵本作家さんのインタビュー記事など読み物も面白いです。 お薦めです。

絵本こそだて日記 ミーテのサイトは こちら>>
※ 登録無料、招待制ではないので誰でも登録できます。