Monthly Archives: 10月 2015

「ピッケのつくるえほん」特別講座@同志社中学校


秋日和。チャイムも制服もない学びの場、同志社中学校へ「小学生のため教科書をつくろう!」というテーマで絵本づくりに伺いました。
img_151031_同志社中学ピッケ1
会場として準備くださったのは、ハロウィンの飾りつけされた「図書・メディアセンター」です。(4万冊の蔵書、ネット環境、50台のPC、全生徒1人1台+共用40台のiPad、うらやましいー)
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集中の3時間を終え、数字を覚える絵本、低学年向け物語絵本、英語絵本など秀作ぞろいとなりました。
img_151031_同志社中学ピッケ10絵本4冊
いくつか紹介しますね。
数字を、算用数字と漢字とで楽しく覚えるための絵本。1から始めて、2、3、4…と作り進めてゆきます。どう終わらせるかが難しいだろうなと見守っていたところ、7までとし、1から7までそれぞれにショートケーキ1ケ、バナナ2本…と食べ物を充て、最後の見開きで「ごちそうさま~」「いっぱい『すうじ』おぼえたね!」と見事なオチを付けていました。なるほど「覚える」ことは、身体に取りこむ=食べる ことに近くて、小学1年生が読むのにふさわしいです。
img_151031_同志社中学ピッケ4数字絵本

低学年向けの物語絵本「たのしくあそぼう」。ケンカ→理由分析→謝罪→仲直りを、わかりやすい会話形式、つくりこんだ場面で表現しています。読み手の年齢を考慮して、すべてひらがなにしてあります。ウサギの気持ち、怒、悲、反省、嬉が、表情とポーズでコントラスト強く描き分けられていて、年少者にも心情の読取りがしやすいです。
img_151031_同志社中学ピッケ5あそぼう絵本

先生作の英語絵本。絵本の印刷など一手に引き受けてくださった合間の時間に、ササッと1冊仕上げてくださいました。
img_151031_同志社中学ピッケ6英語絵本

「ぼくの1日」は、読み手の主観ショットで綴られる物語。したがって、「ぼく」の姿はさいごまで絵としては出てきません。
ぼくは、お父さんお母さんに見送られて出かけます。
絵作りもユニークで、とくに驚かされたのはココ。まず「町が見えてきた」で引きの絵。
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そしてページをめくると、グンとその中に入ります。臨場感。唯一この見開きだけを、テキスト無し、音声も無しとしていることも心憎いです。そうされると、絵から読み取ろうと隅々までじっくり見ますものね。
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引きの絵では見えていなかったディテール、すなわち、リス、ベンチに座るカエル、樹の陰にオタマジャクシ、気球にはカメが乗っていたことまでが、町に入って来た=距離が近づいてきて初めて見えてきます。上手いです。このように、横方向へではなく奥へと進んで行く情景を、ピッケの立体感もたない絵素材で表現することは実にチャレンジで、これまで誰もしたことがありません。見事に成し遂げていますね。

そして、デッカイ先生!登場。
img_151031_同志社中学ピッケ7デッカイ先生3
日頃からよく本を読む生徒さんだそうで、絵本のつくり方の基本が無意識にきちんと押さえられています。例えば、登場人物の進行方向をページめくりの方向と合わせる、行って帰ってくる方式にするなど。子どもの本は、出かけて行って、行きっぱなしでなくちゃんと帰ってくることで、途中どれだけの破天荒な大冒険もできます。デッカイ先生の登場という思いもかけない展開も、そのフォーマットの中で、とても良いバランスになっています。また、帰路が往路と同じ道をたどると退屈になりますが、デッカイ先生の肩に乗って、ひとっ飛びで帰しています。しかも夕焼けの中、さりげなく、気球&カメもチラリと再登場させ、そのカメは笑顔です。そして最終幕、「ただいま、おとうさん、おかあさん」を「おかえりなさい」「おかえり」の声が迎えてくれて、おだやかに物語が閉じます。
このもたらす満足感を、おそらく自身の豊かな読書経験から知っているのでしょう。

今回は、休日の自主参加ゆえ特に本好きの子が参加してくれたからなのかもしれませんが、それぞれが舌を巻くよな見事な出来映えでした。
中学生の絵本作品、もっと見てみたくなりました。

【追記】
生徒さん作品をmovieにしてアップしました。生徒さんに頼まれ、反田任先生も声優として出演されています。※ 3作品が順番に自動再生されます。

うまく連続再生されない場合は、直接YouTubeの再生リストから個々の作品をご覧ください。

「ピッケのつくるえほん」ワークショップ@東京大学情報学環・福武ホール ラーニングスタジオ


CollableCAMP、ピッケ(グッド・グリーフ) の3団体協働での障害のある子もない子も一緒に学ぶ場作りのプロジェクト、第6回目を実施しました。

10月4日日曜日、晴れ。
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開始前のアクティビティは、おはなし絵カードで遊んでみました。
IMG151004s_01_おはなし絵カード
カードを引いて、即興でお話を繋げていきます。到着して名札を書き終えた子が、次々と輪に加わってきます。
IMG151004s_02_おはなしカード繋げる
全員が揃ったので、挨拶からスタート。
IMG151004s_00_最初あいさつ
「車椅子での参加あり」の事前情報に、スタッフで動線確保(通常は地下2階まで階段利用の会場なので)などして備えていました。「あれっ、知ったお顔」と思ったら、今夏の経産省こどもデーに参加してくれた7歳の女の子でした。嬉しいことに、ずっと「また行きたい」と言ってくれていたそうで、応援の妹さんも一緒にご家族で来てくださいました。

レオ・レオニさんの「あおくんときいろちゃん」を紹介して、絵本のお話を少し。
IMG151004s_03_レオレオニ絵本
この絵本は、作者がお孫さんのためにつくったお話で、絵本作家としてのデビュー作です。(ちなみに2作目が「スイミー」。教科書に掲載されているので子どもたちもよく知っています)

アプリの使い方を皆で練習したあと、おはなしづくりに入る助走的な活動として、3グループに分かれて、チームで一場面を作って発表してもらいました。ここで、あの試作していたマグネットを使いました。
IMG151004s_04_おはなしボードG2選ぶ
共通ルールは、ピッケ、がーこ、木は必ず使うこと。加えて、ひとり3つ好きなマグネットを選び、グループで相談してひとつの場面を作っていきます。
IMG151004s_06_おはなしボードG3貼る
このチームは「さかさまの世界」。
IMG151004s_07_おはなしボードG1貼る
こちらのチームは「あやうしピッケ」、できあがった場面について説明中。
IMG151004s_08_おはなしボードG2説明
ここまではとても賑やかでしたが、それぞれ席につき絵本づくりに入った途端、まさに水を打ったように静まりかえりました。皆すごい集中力でつくっていきます。
IMG151004s_09_制作中_全体
今日10月4日がお父さんの誕生日ということで、お父さんに贈るハッピーバースディ絵本を構想中。7歳。
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録音をして製本。
IMG151004s_14_録音中1

「友」10歳女児作。祖父母に贈る絵本だそうです。
気に入っている場面を教えてもらいました。
「くりんはとっても喜びました。それを見ていたお月様は満月になりました。めでたしめでたし。私はこのように友だちと仲良くやっているよ。安心してね」
IMG151004s_16_できた2お気に入りシーン
続く裏表紙には「おじいちゃんとおばあちゃんも元気でね」とメッセージを録音していました。

いよいよ発表会。
IMG151004s_18_発表会_聴く1
七夕の短冊に「絵本作家になりたい」と書いたという7歳女の子は、お話づくりも録音も、とても丁寧に一所懸命に取り組んでいました。
IMG151004s_19_発表会_Hちゃん
大勢の中に入るのが苦手な8歳男の子。ずっと椅子(車輪付きなので乗ったまま移動できる)から離れることができずにいたのですが、さいごの発表の時は、椅子から離れて発表できました。
IMG151004s_20_発表会_Tくん
さいごに、皆で写真を見ながら今日の活動のふりかえりをして、おしまい。
IMG151004s_21_ふりかえり

発達障害がある等のお子さんに、毎回、3割程度の割合でご参加いただいています。
困りごとや個性の出方は、ひとりひとりそれぞれに違っています。スタッフ皆で注意深く見守り、何をしたいのか何に困っているのかを見ながら、必要な手助けをしようと心がけています。くれぐれも、手を出しすぎないよう気をつけつつ。自分の希望した通りにならずダダッコ状態になってしまったとき、理由を尋ね、しかし返答している内容が真の理由でないことも多いので、代替案も提示しながら、辛抱強く話し合います。この根気強さやぶれない態度は、CAMP、Collableどちらの皆さんも素晴らしくて、横で見ていて感心します。

ワークショップの終了後は、片づけの終わった会場で、毎回、じっくり時間をかけてスタッフ全員でのふりかえりミーティングをします。ひとりひとりの子どものエピソードを追うので、自分が見れていなかった部分も補えて全体像が見えてきます。上手くいっていなかった箇所があれば、改善のために次回どんなトライができるかを皆で考えたり、とても興味深い学びの時間です。

今年度は、あと1回(1/10)実施予定です。会場は、ピッケはじめての晴海のトリトンとなります。どうぞご参加ください。(参加希望者が多くて毎回抽選になっています。開催の数週間前にCAMPさんのWebサイトに募集告知が出ます)

写真を、Facebookページ「PeKay」でご覧いただけます。