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「ピッケのつくるえほん」ワークショップ@東京大学情報学環・福武ホール ラーニングスタジオ


CollableCAMP、ピッケ(グッド・グリーフ) の3団体協働での障害のある子もない子も一緒に学ぶ場作りのプロジェクト、第3回目を実施しました。

9月7日日曜日、小雨ふる秋の気配の福武ホール。
img_140909_s_小雨の福武ホール
今回も、開始前のアクティビティは、あえて、ピッケともお話づくりとも関係ない絵カードつなぎゲームをしました。
img_140909_s_へびカード
最初の自己紹介では、名前と「夏たのしかったこと」を、それぞれ紹介してもらいました。
次に、おはなしづくりに入る助走的な活動として、2チームに分かれて、カードを引きお話を繋げていく遊び。
img_140909_s_導入アクティビティ_カードを引く
できあがったお話をチーム全員で読み上げて発表する頃には、すっかり気持ちがほぐれています。

はたこうしろうさんの「なつのいちにち」と、ジオンさんの「はちうえはぼくにまかせて」の2冊で、絵本のおはなしを少し。
img_140909_s_夏の絵本
「ピッケ、おうちでもしてる!」と言ってくれる子もいて、練習はそこそこに本番へ。
前回10見開き前後の長いお話をつくる子が増えすぎてしまい、時間が足りなくなってしまったこともあり、今回は基本は4見開きと決めました。
贈る相手は、お母さんやお父さん、もうすぐ敬老の日ということで、おじいさんおばあさんとした子も多かったです。
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絵ができあがったら録音。
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出力した展開図を切って製本します。
img_140909_s_展開図1
img_140909_s_製本
「発表したいひと~!」と手を挙げてもらい、順番に発表していきました。
作品を観たあとに質問や感想を募ると、お話のすみずみ細かな点もよく見ていることがわかります。
img_140909_s_発表男児3(全身)
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ここで予定の3時間が経過。前回 時間切れであきらめた鑑賞会を、駆け足でしました。ポストイット片手に皆の作品を見直し、次々感想を貼っていきます。
img_140909_s_鑑賞会_感想
今日の活動を写真でふりかえり、アンケートを書いてもらって、お開き。

このプロジェクトは、様々な発達状態にあるお子さんが一緒に混じっての活動です。途中多少走り回る子がいてもOK、教室へ入れなくてもOK。創りたい気持ちはあって、その子なりの調整をしているので。
聴覚過敏のある子はうるさい声や拍手の音なども苦手だそうで、教室の外で皆から離れて作成。後半、本を工作するときには、教室の中へ入ってきてくれました。がんばって録音もして(録音は特に、ひと一倍たいへんだったことでしょう)、長丁場を最後までやり遂げました。お母さんの支援のなさり方が見事でした。

友だちどおしで参加している子たちは、互いの様子が気になり気遣って様子を見に行ったり、彼らなりのやり方で励ましています。最初お母さんと離れるのが心細くて泣いてしまった女の子も、さいごまでがんばり、アンケートに「たのしかった」と書いてくれていました。いろんな子がいることで、子どもたちどおしの関わりあいが生まれ、場もリラックスするように感じます。
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これまでの3月と6月の開催時には、午前午後2回実施しましたが、今回はワークショップは1回のみにして、終了後のオールスタッフでのふりかえりミーティングに時間をかけました。ひとりひとりの子どもについてエピソードを書きだして壁面に貼り付けて皆で共有。これが、想像していた以上に興味深かったです。ひとりの子についての時間経過の垂直方向、周辺の子どもとの関わりという水平方向、加えて、それぞれの子どもたちへのファシリテータからの働きかけとそれに対するリアクションという多層多視点になって、子どもひとりひとりの活動を浮き彫りに立ちあがらせてくれる感じ。
img_140909_s_リフレクション2
ファシリテーションの立場からも、自分がその子と接した点が、その子のトライのどの段階だったのかが見えたり、有効でなかったと感じていた自分の言葉がけが、その後、ちゃんと子どもにアクション起こさせていたことがわかったり。
嬉しいのは、どの子も、上手くいかないことや自分の中での葛藤があったとしても、そのせいで立ち止まっても、とにかく工夫し時にはファシリテータに助けを求めて、なんとかやりくりして作品完成のゴールへたどりついていること。私たち大人は、カッコ悪くなったら、何か理由づけしてやめてしまうこと多々ありますが、子どもにはそれがない(短期で見てあったとしても、なんとかしようとしている)。子どもの精神のみずみずしさ、進んでいくひたむきさは素晴らしいです。
そして速度や方法に個人差はあったとしても、どの子からも語ろう創ろうとする意欲や他人を認める肯定感が強く感じられて、人間は誰しも本来はそうなのだと思えて、なんだか励まされるようでした。

また、ファシリテータひとりひとりが、とてもよく子どもたちを見て考えて、さらに互いの動きも見て動いているので、そこからも学べること多くて、ほんとに深いです。

神戸へ戻ってきて全作品を見直しながらひとりでふりかえりをしていると、子どもたちの、つくっているときの真剣な顔、発表の順番がまわってくるまでの心配で不安な顔、みんなの拍手にほっとした顔、友だちの作品のユーモアに大笑いしてる顔、書いてもらった感想が嬉しくてほころんでる顔…、いろんな顔が思い出されて、その時間を一緒に過ごせる幸せを感じます。ありがとう。
img_140909_s_女児顔アップ3
たった3ヶ月に1度、参加してもらえる人数も少なくて、小さな試みにすぎないけれど、この「場づくり」をしっかり積み上げていくことで見えてくることがきっとあると思っています。

今年度は、あと2回(12/7、2/1)実施予定です。どうぞご参加ください。
(参加希望者が多くて毎回抽選になっています。開催の数週間前にCAMPさんのWebサイトから募集告知が出ます)

写真を、Facebookページ「PeKay」でご覧いただけます。