Category: 発達障害・特別支援(チャレンジド)

「ピッケのつくるプレゼンテーション」個別級(特別支援級)で授業


先月、職業を考える授業の一環として、横浜の公立小学校4年生の子どもたちからオンラインインタビューを受けました。そのご縁で訪問することとなり、4年生のクラスでは次の課題であるというアニメーションの話を、個別級(特別支援)では1コマ授業をすることになりました。

前夜、宿泊ホテルで個別級の授業を考えます。人数や子どもたちの詳細など不明のため2案を用意しました。
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[ 問題 → ヒント → 答 ]の構成で2案:
A) 閉じたドア。鳴き声のヒント。さいごのシーンで種明かし=ドアが開いてカエル登場。
B) フタの閉まった箱。ヒント。中に入っていたのはバナナ。
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明けて当日。4年生の授業のあと個別級へ。
導入として、かぶっていた私の帽子に教室内の文房具を隠して、ヒントを出しながら皆で当てっこをしました。続いて、前の大画面で用意した2案を提示。子どもたちに答を考えてもらいながら、種明かしの場面まで進めます。次に、2グループに分けて、A)グループはドア、B)グループは箱、ひとり1台環境で各自1作品つくってもらいます。できあがったらグループ内で互いに発表。このあとグループ対決をするので、相手チームに聞こえないようにするのも楽しそうです。さいごに、A)グループ 対 B)グループ で、タブレット画面で提示しながら、問題の出し合いっこをしました。工夫に感心したりアイディアに大笑いしたりでにぎやかな全体発表になりました。

なかには、複数ドアを並べて正解はひとつという応用問題を作った子もありました。
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この学校では、当初ピッケをパソコンクラブで使ってみたところ、日頃はすすんで発言することの少ない個別級の子どもたちが、作った作品を「見て見て!」と積極的に発表したのだそうです。個別級での授業中も、パソコンクラブで先に使っている子が、操作に慣れない子に教えてあげる様子が見られました。

授業をさせていただいたどちらの学級の子どもたちも、とても意欲的でした。
学舎は改装時に壁を取り壊したそうでとても開放的な造りで、「メディアセンター」というパブリックスペースもありました。そして、子どもたちの授業を校長先生が気軽に覗きにこられます。そんなオープンマインドな学びの環境や校風が、この伸び伸び意欲的な子どもたちを育てるのだなと感じました。

授業後は、4年生の教室で一緒に給食もいただき、楽しい訪問となりました。
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「ピッケのつくるプレゼンテーション for Windows」については こちら>>
こちらから「児童のプレゼン力」コンテストに入賞した先生方の授業案もダウンロードしていただけます。

「ピッケのつくるえほん」ワークショップ@東京大学情報学環・福武ホール ラーニングスタジオ


CollableCAMP、ピッケ(グッド・グリーフ) の3団体協働での障害のある子もない子も一緒に学ぶ場作りのプロジェクト、第3回目を実施しました。

9月7日日曜日、小雨ふる秋の気配の福武ホール。
img_140909_s_小雨の福武ホール
今回も、開始前のアクティビティは、あえて、ピッケともお話づくりとも関係ない絵カードつなぎゲームをしました。
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最初の自己紹介では、名前と「夏たのしかったこと」を、それぞれ紹介してもらいました。
次に、おはなしづくりに入る助走的な活動として、2チームに分かれて、カードを引きお話を繋げていく遊び。
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できあがったお話をチーム全員で読み上げて発表する頃には、すっかり気持ちがほぐれています。

はたこうしろうさんの「なつのいちにち」と、ジオンさんの「はちうえはぼくにまかせて」の2冊で、絵本のおはなしを少し。
img_140909_s_夏の絵本
「ピッケ、おうちでもしてる!」と言ってくれる子もいて、練習はそこそこに本番へ。
前回10見開き前後の長いお話をつくる子が増えすぎてしまい、時間が足りなくなってしまったこともあり、今回は基本は4見開きと決めました。
贈る相手は、お母さんやお父さん、もうすぐ敬老の日ということで、おじいさんおばあさんとした子も多かったです。
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絵ができあがったら録音。
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出力した展開図を切って製本します。
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「発表したいひと~!」と手を挙げてもらい、順番に発表していきました。
作品を観たあとに質問や感想を募ると、お話のすみずみ細かな点もよく見ていることがわかります。
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ここで予定の3時間が経過。前回 時間切れであきらめた鑑賞会を、駆け足でしました。ポストイット片手に皆の作品を見直し、次々感想を貼っていきます。
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今日の活動を写真でふりかえり、アンケートを書いてもらって、お開き。

このプロジェクトは、様々な発達状態にあるお子さんが一緒に混じっての活動です。途中多少走り回る子がいてもOK、教室へ入れなくてもOK。創りたい気持ちはあって、その子なりの調整をしているので。
聴覚過敏のある子はうるさい声や拍手の音なども苦手だそうで、教室の外で皆から離れて作成。後半、本を工作するときには、教室の中へ入ってきてくれました。がんばって録音もして(録音は特に、ひと一倍たいへんだったことでしょう)、長丁場を最後までやり遂げました。お母さんの支援のなさり方が見事でした。

友だちどおしで参加している子たちは、互いの様子が気になり気遣って様子を見に行ったり、彼らなりのやり方で励ましています。最初お母さんと離れるのが心細くて泣いてしまった女の子も、さいごまでがんばり、アンケートに「たのしかった」と書いてくれていました。いろんな子がいることで、子どもたちどおしの関わりあいが生まれ、場もリラックスするように感じます。
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これまでの3月と6月の開催時には、午前午後2回実施しましたが、今回はワークショップは1回のみにして、終了後のオールスタッフでのふりかえりミーティングに時間をかけました。ひとりひとりの子どもについてエピソードを書きだして壁面に貼り付けて皆で共有。これが、想像していた以上に興味深かったです。ひとりの子についての時間経過の垂直方向、周辺の子どもとの関わりという水平方向、加えて、それぞれの子どもたちへのファシリテータからの働きかけとそれに対するリアクションという多層多視点になって、子どもひとりひとりの活動を浮き彫りに立ちあがらせてくれる感じ。
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ファシリテーションの立場からも、自分がその子と接した点が、その子のトライのどの段階だったのかが見えたり、有効でなかったと感じていた自分の言葉がけが、その後、ちゃんと子どもにアクション起こさせていたことがわかったり。
嬉しいのは、どの子も、上手くいかないことや自分の中での葛藤があったとしても、そのせいで立ち止まっても、とにかく工夫し時にはファシリテータに助けを求めて、なんとかやりくりして作品完成のゴールへたどりついていること。私たち大人は、カッコ悪くなったら、何か理由づけしてやめてしまうこと多々ありますが、子どもにはそれがない(短期で見てあったとしても、なんとかしようとしている)。子どもの精神のみずみずしさ、進んでいくひたむきさは素晴らしいです。
そして速度や方法に個人差はあったとしても、どの子からも語ろう創ろうとする意欲や他人を認める肯定感が強く感じられて、人間は誰しも本来はそうなのだと思えて、なんだか励まされるようでした。

また、ファシリテータひとりひとりが、とてもよく子どもたちを見て考えて、さらに互いの動きも見て動いているので、そこからも学べること多くて、ほんとに深いです。

神戸へ戻ってきて全作品を見直しながらひとりでふりかえりをしていると、子どもたちの、つくっているときの真剣な顔、発表の順番がまわってくるまでの心配で不安な顔、みんなの拍手にほっとした顔、友だちの作品のユーモアに大笑いしてる顔、書いてもらった感想が嬉しくてほころんでる顔…、いろんな顔が思い出されて、その時間を一緒に過ごせる幸せを感じます。ありがとう。
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たった3ヶ月に1度、参加してもらえる人数も少なくて、小さな試みにすぎないけれど、この「場づくり」をしっかり積み上げていくことで見えてくることがきっとあると思っています。

今年度は、あと2回(12/7、2/1)実施予定です。どうぞご参加ください。
(参加希望者が多くて毎回抽選になっています。開催の数週間前にCAMPさんのWebサイトから募集告知が出ます)

写真を、Facebookページ「PeKay」でご覧いただけます。

「ピッケのつくるえほん」ワークショップ@東京大学情報学環・福武ホール ラーニングスタジオ


CollableCAMP、ピッケ(グッド・グリーフ) の3団体協働で、障害のある子もない子も一緒に学ぶ場作りのプロジェクト、第2回目を実施しました。

6月1日日曜日、会場は初夏の陽気。
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CAMPとCollableの皆さんによる安定したファシリテーションのおかげで、ワークショップの進行はお任せして実質的なことだけに注力/観察できることはほんとにありがたいです。(今回も、CAMPからもCollbaleからも熱意あふれるボランティアスタッフが大勢はいってくれました。おーちゃん、いっちー、くろちゃん、まっつん、早朝からほんとにありがとう!)前回のプレで概要がつかめたので、今回は開始前のアクティビティや、おはなしづくりの導入に新しいトライも入れてみて、午前回と午後回の比較をするなどできました。

開始前のアクティビティは、あえて、お話づくりやピッケには直接関係ないものにしました。
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こちらは、開始後の、おはなしづくりに入る助走的な活動。
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いつも最初に、何か絵本の話をします。この日はホフマンさん。
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iPadのタップやピンチの操作を一緒に練習してから、本番。
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録音。あらかじめ、長文をしっかりメモ書きする子もいます。
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机の下にもぐって録音中。
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発表会。積木を組合わせてつくった潜水艦。
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このプロジェクトは様々な発達状態にあるお子さんにも区別なく混じってもらって物語をつくり語る(ナラティブ)活動です。発達障害児の中でも、自閉症スペクトラム障害(ASD)の子どもたちは、社会性の発達の乏しさを指摘されることが多い一方、ナラティブが彼らの社会性の発達を支えると言われています。ナラティブを通してASD児の世界を共有することもできます。それは互いにとって豊かな経験となります。
活動中に彼らからさまざまなシグナルが発せられます。 前回ご専門の先生から典型的ないくつかの意味を教えていただいたおかげで、子どもたちから同じシグナルが読みとれたとき、それに対しどう支援を出すか考える気持ちの余裕がありました。 実施する私たちにとっても興味深い課題がつまっています。

そして、このワークショップをつくっていくこと自体、企画や準備~実施~ふりかえりの一連が、私にとっても実験的な学びと気付きの場になっています。
プレの1回目は、Collable山田さん、CAMP村田さん、私の3人がメインメンバーでしたが、今回からCAMPの新谷さん中村さんも加わってくださり、さらにパワーアップ。 打合せでは、前回の記録ムービーを全員で見ながら活動の要所における子どもの様子を確認しながら、より良いファシリテーションについて考えたり、導入で行うアクティビティのプロトタイプを即興で作り5人でやってみてその場で改訂したり。 実に面白いです。

このプロジェクトはブラシュアップしながら継続していきます。 今年度は、あと3回(9/7、12/7、2/1)実施予定です。
ご参加をお待ちしています!

写真を、Facebookページ「PeKay」でご覧いただけます。

「ピッケのつくるえほん」ワークショップ@東京大学情報学環・福武ホール ラーニングスタジオ


2014年春、CollableCAMP、ピッケ(グッド・グリーフ)の3団体協働で、障害のある子もない子も一緒に学ぶ場作りのプロジェクトをスタート!(プロジェクトの概要)
その第1回を、3月2日東京大学情報学環・福武ホール ラーニングスタジオで行いました。

午前と午後、それぞれ3時間ずつ、いつもよりたっぷり時間をとって絵本づくり。
全体の進行は、CAMPの村田香子さんにお任せ。CAMPの皆さんは、どのメンバーもほんとにプロフェッショナルです。要所おさえつつ、でも表情はリラックスしていて、おかげで場もなごやか。
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まず最初に、輪になって自己紹介。それから今日することを伝えて、絵本のお話をして、iPad上での操作を練習。いつも感心するのですが、子どもたちの飲み込みの早いこと早いこと。「じゃあ、今から本番ね。それぞれ好きな席に座って…」と言い終わらない内にもう、あっという間にそれぞれ席へと散り、黙々と作り始めています。
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全員が夢中で作っていて、シーンと静かになるひとときありました。いいなー、この時間。
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録音は、それぞれ思い思いの場所で。テレビの裏にもぐりこんでいる子もいます。
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録音が終わった人から製本。
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そして、記入した発表シートを手にして、全体で発表会。
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その後、机の上に製本した絵本とiPadを並べて、互いの作品をあらためて鑑賞しながら感想を書いていきます。みんな真剣です。
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さいごに、今日の3時間をスライドショーで見ながらふりかえり。自分で絵本をつくってみてどうでしたか?

CollableとCAMP。この2団体と協働できること、ほんとに心強い限りです。
障害があるなどのマイノリティの「ために」ではなく、彼らと「ともに」創造し活動する社会をつくろうと、Collableを立ち上げた山田小百合さん。ガッツあります。
CAMPは、2001年から活動を開始した、いわば日本のワークショップ界の老舗中の老舗。過去にも今もいくつかの活動をご一緒させてもらっていて、その姿勢にも力量にも信頼をおいています。

そんなCollable山田さん、CAMP村田さん、そして私の3人で半年近くかけて計画し準備して迎えた今日でした。北川さんはじめCAMPの皆さんもバックステージで支えてくださり、去年の秋 初回実施日を3/2と決めてからは、私の上京のタイミングに合わせて3人で会って打ち合わせしたり、あとはskypeビデオミーティングやメールやりとりしながら、何度も練って見直しました。事前の会場での機材チェックなどは山田さん村田さんの2人で詰めてくれて、私は、ずいぶん楽させてもらいました。

当日は、聖学院大学の石川由美子先生が学生さんと一緒に来てくださり、子どもたちの様子を仔細に観察して、そこから貴重な読取りやアドバイスを授けてくださいました。
岐阜からは臨床心理士の小島先生もわざわざこのためにお越しくださり、さいごまでおつきあいくださりアドバイスをくださいました。
そして、CollableにもCAMPにも、日頃の活動をサポートしてくれる優秀なボランティアスタッフが大勢います。高校生1人大学生1人以外は皆さん社会人で、平日はお勤めをしているというのに、貴重な日曜に早朝から入ってくださいました。ほんとにありがたいです。

3時間もの長丁場、子どもたちの集中切れたり疲れてしまったりしないかしらと不安もあったのですが、ほんとに皆さいごまで熱心に取り組んでくれました。
ありがとうございました!

とりあえず1回やってみようが、皆さんのサポートのおかげで実現でき、手ごたえありました。反省点も多々ありますが、それも収穫と前向きにとらえることにします。
継続していこうと、Collable山田さん、CAMP村田さんと思いを新たにしています。次回へ向けての打ち合わせ日も、早速決めました。2回目は数か月先になりそうですが、決まりましたら、Facebookページ「PeKay」等でお知らせしますね。
特に、サポートが必要だったり多動気味だったり、逆にちょっとゆっくりさんで、こうしたワークショップへの参加をためらいがちだった子どもたち、歓迎です。一緒にお話づくりを楽しみましょう。

嬉しいメッセージ、もらいました。けんごくん、みどりちゃん、ありがとう!
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写真を、Facebookページ「PeKay」でご覧いただけます。
CAMPによるレポートページでは、ワークショップの詳細と子どもたちの作品をmovieでご覧いただけます。

勇気ある女性 ナミねぇさん


ナミねぇこと竹中ナミさんに、米国大使館より「日本の勇気ある女性賞」が贈られました。その受賞と還暦のお祝いの会に出席しました。

「チャレンジドを納税者に」をスローガンに、ICTを駆使し、チャレンジド(障害のある人)の自立と社会参画、とりわけ就労の促進をめざし活動されています。

誰だって-障害があっても無くても、子どもでも高齢者でも- 自立すること、人や世の中の役に立つことは、歓びであり誇りです。
ややもすると、障害者支援というと、庇護してあげる、庇護してもらう、と捉えられがちです。 20年近くも前に、そんな世の中はおかしい、誰もが「支える側」にもなれるはずと、プロップ(prop/支え合い)・ステーションを立ち上げられ、知恵と人柄とバイタリティで、今日まで道を拓いてこられました。 真に勇気ある女性です。

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「太陽」のようなので、多くの人が「よし一緒にするよ」と思わず巻き込まれたくなるのでしょう。

お祝いの会と言っても(司会者=息子さんもいるのに)ほとんどご自身で仕切って、自作も含め素敵な歌でもてなしてくださいました。 エンターテイナーです。
公開もされているスケジュール帳は予定がびっしり。 一体いつ練習なさったのでしょうか。 心に届く歌でした。

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もっともっと美しかったのですが、写真の腕が悪すぎました。

ナミねぇさん、おめでとうございます。
ナミねぇさんには及びもつかないけれど、私も、自分の立つ場所で、少しでも世の中が良い方に向かうよう、続けていこうと思いました。

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