「未踏事業SPECIAL」座談会とインタビュー動画が、日経ビジネスオンラインのサイトで公開されました。
未踏のページに引っ越したようです。
インタビューWebサイト
インタビュー動画
(Flashを使うのをやめて mp4にしたようなのですが、かなり重いです…)
「ピッケ」にまつわるあれこれ
「未踏事業SPECIAL」座談会とインタビュー動画が、日経ビジネスオンラインのサイトで公開されました。
未踏のページに引っ越したようです。
インタビューWebサイト
インタビュー動画
(Flashを使うのをやめて mp4にしたようなのですが、かなり重いです…)
フェローを務めるCANVASのコラムで「デジタルとこども」のお題をいただき、書いたものです。許諾いただき転載します。
———————-
このコラムを担当させていただくのは2回目です。
1回目では、子どもたちとコンピュータの最初の出あいを幸せにしたいと願いつくったインタラクティブ絵本「ピッケのおうち」について書きました。あれから6年、さらに試行錯誤を続け、おはなしづくりを体験できるソフト「ピッケのつくるえほん」を開発、2008年から子どもあるいは親子を対象にワークショップを行っています。
ワークショップのテーマはその回ごとに様々ですが、共通するのは、贈る相手を決めてつくること。お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん、妹や弟、引越していった友だち。なかには、自分にあげるという子も。それもまた良しです。
いっしょに操作方法を練習したら、いよいよおはなしづくりをスタート。幼児クラスは実に賑やかです。おはなしが次々口からこぼれ出て、聞き取って代筆する大人のスピードが追いつかないほど。小学校中学年くらいになると、集中。静寂の中もくもくと作ります。何度もプレビューして、さいごまで筆を入れて。
「できあがった絵本は、決めた相手に必ず読んでからプレゼントしてね。」約束をしておしまいです。
おはなしづくりワークショップには3つのステップがあります。
1)画面上にキャラクタやアイテムを配置して物語をつくる。
2)物語を紙の絵本として、自分の外へ取り出す。
3)絵本を手に、あるいは大画面で共有し、物語を語り分かち合う。
1)は主にひとりで行う創造活動、3)は物語を介して他者と繋がる活動です。
まず活動全体をデザインして、その中で、ICT(デジタル)が向くところにICTを使っています。すなわち、物語を紡ぐ試行錯誤と大画面での発表にはICTを、物語の外化には手にとり触れることができる紙の絵本を利用しています。
また、装飾的な演出や過剰な機能を避け、わかりやすく使いやすいデザインを心がけています。
日がとっぷり暮れるまで原っぱを駆け回り遊ぶ、時間を忘れ夢中で本を読みふける、そんなただひたすら楽しくてしかたなかった子ども時代の思い出が、誰にもあるのではないでしょうか。
想像の世界で心を解き放ち遊ぶことは、子どもの心を楽しみで満たします。言葉と絵で(絵本において絵もまた言葉です)物語を紡ぎながら、言葉の深い喜びを味わいます。つくった物語を自分の声で語り、人に聴いてもらうことも、嬉しく誇らしいものです。大切な人から認められることは、存在を祝福されること。祝福されている子どもは、自分を大切にし、人を信じることができます。こうして心の奥底にしっかり育った安全基地は、先の人生でも、見えないところで子どもたちを支えてくれることでしょう。
また現代の社会では、食べる物も着る物も、生産者と消費者が分かれてしまっています。子どもの生活に身近な絵本をつくることで、いつでもその境界を越え「つくる側」に回れるのだということを経験できます。
明治以降、社会も基幹産業も大きく変わりました。しかもその変化のスピードは、どんどん速まっています。例えば子どもの頃に「将来したい仕事」を書かされましたが、大人になった私が就いた職業は当時存在していません。ましてや、今の子どもたちが大人になったとき、どんな社会になっていて、どんな職業に就くかなんて、誰にもわからないのです。
これまで通りのやり方では通用しない。うすうす気づきながら直視せずにきたことが、3.11の震災をくぐり、白昼にさらされた感があります。子どもたちの生きる未来は、これまでとはまったく異なります。そこに、悲観や不安ではなく、希望の萌芽を見たいのです。
2月と5月、CANVASの皆さんにお任せして「キッズクリエイティブ研究所」ワークショップがありました。5月は、当初3月だった予定が震災のため延期になっての開催でした。
届いた約60本ずつの作品ムービーを見るうちに、震災後くもりがちであった心に、明るい光が射しこみました。子どもたちのおはなしに、ありがとう、いいよ、だいすき、うれしいといった素直な言葉と豊かな物語があふれていたのです。子どもたちの描く世界は、なんとまぶしく喜びに満ちていることか。とても嬉しく頼もしく感じられました。大丈夫、私たち大人は、子どもたち皆に生来備わったこの性質を、機会と場をつくって伸ばしてやりさえすればいいのだと。
自分を肯定し人を信頼できる、知りたい学びたいという気持ち、無ければつくる、人や社会と繋がる。そんな態度や姿勢を身につけることが、これからの子どもたちに、いちばんオールマイティに有効だと思っています。それは成績をあげる為なんていうちっぽけなことでなく、子どもたちが幸せになること、やってみたいことが思うままできるよう自由度をあげることになるでしょう。
「言霊の幸わう国」と古よりうたわれた豊かな日本語の言葉の中に、私たちは生まれました。言葉は単なる道具ではなく、人の内面をつくります。人と人とを繋げます。
ICTは、その両方、つくることと繋げることのサポートが得意です。ICTをうまく使った言葉と物語の創造・表現活動を通して、子どもたちの心に安全基地を育てたい。その一助になりたくて、私も「つくる」を続けます。
楽しみな未来へ、子どもたちに存分に羽ばたいてほしいと願っています。
<関連リンク>
「ピッケのつくるえほん」パソコン版に加え、iPadアプリもリリースしました!
http://www.pekay.jp/pkla/ipad
「ピッケのおうち」パソコンのブラウザ上で遊べます。(ご利用無料)
http://www.pekay.jp/house/
「ピッケのつくるえほん」の発想のきっかけは「ピッケのおうち」のペパドルです。
このペパドルで、子どもたちはごっこ遊びやおはなしづくりをします。
けんたくん(7歳)がペパドルでつくったおはなし
浮かんでは消えてしまう子どもたちのつくるおはなしをカタチにして残したいと思ったのが、きっかけです。
6月の「BAクリエイターズサロン」でも、その辺りの話をしました。
8月3331で行ったフラットークの3分トークも「開発の動機」がお題でしたので、その話をしました。
「ピッケのつくるえほん」についてよくいただくリクエストに、
・ 髪型や服装を選び子どものアバタをつくりたい
あるいは
・ 子どもの顔写真をはめたい
ということがあります。
特に親御さんからのリクエストの場合、そのお気持ちは、とてもよくわかります。でも今のところ入れていません。子ども本人を登場させると生活絵本になりやすくテーマを狭めるのでないかと思うので。
ある年齢の発達段階において、生活絵本が大事であることはわかるのですが、「ピッケのつくるえほん」は、最初の動機が上記であったこともあり「ものがたり(Narrative)」に主眼をおいています。
アバタ作成や写真の取込み機能を付加して「お子さんが主役!」とすれば、「商品」としてもぐんとわかりやすく売りやすくなるでしょう。
親御さんも嬉しい、たぶん、子どもも喜ぶでしょう。子どもは自分が写っている写真やビデオを見ること、大好きですから。
でもそれは、私が子どもたちに味わってほしいと願う「喜び」とは種類のちがうものです。また そういうものなら世の中にたくさん既にあって、何も新たにつくる必要はありません。
ワークショップの制作中、たまに、シーンと静まりかえるときがあります。ある時、ファシリテータの方が「朝倉さん、静かになっちゃったので、何か音楽をかけましょうか」と気を利かせて小声で尋ねてくれました。気遣いうれしかったのですが、そのままに。この静寂、この集中は、とても貴重な時間です。
ワッハッハと大笑いするわかりやすい喜び(これももちろん好きです)だけでなく、心を満たす一見静かな喜びも大切に考えています。
他によく言われることに
・ 横向き後向きなど複数の顔向きがほしい
・ 各表情にアニメーションを付け、各操作にも楽しいアニメーションや効果音がほしい
ということもあります。
「ピッケのつくるえほん」が届けたいのは、刺激的な面白さではなく深い喜びです。過剰な機能や装飾的な演出は、本質をぼかしてしまいます。そのため、これらを排しています。
「あると便利」をどんどん追加すると、企業の開発会議で生まれてくる「商品」と変わらなくなってしまいます。長く個人のボランティアとして続けてきたものを、安定運用のために「ピッケのつくるえほん」はビジネス化したわけで、売りやすさも考えねばならないのですが、捨てれぬこだわりがあります。「ピッケのおうち」から始まり、ゆっくり、自分の物差しで、納得いくようつくっています。
子どもは、もともと、ぬいぐるみや車のオモチャなどに自由に自分を投影し、世界を自由に見立ててごっこ遊びをします。
自分の写真やそっくりのアバタを登場させなくとも、登場人物に自分をなぞらえ、自由におはなしをつくります。
「りく、でんしゃにのる」りくくん(4歳)
子どもの想像力と創造力は、私たち大人の予想をはるかに上回り素晴らしいです。言葉は人を形成します。物語をつくり・語り・分かち合う活動を通して、子どもたちが深い喜びを味わう一助になれればと思っています。
キッズプラザ大阪でのワークショップの前日、西新宿の東放学園キャリアサポートセンターで「子どものためのデジタルコンテンツを考える」と題して講演しました。
コーディネイターは、女子美術大学大学院の為ヶ谷秀一先生です。
私が話せることと言えば、ピッケの話だけ。ピッケの開発における試行錯誤と、その中で私なりに気づいたこと。100%ピッケづくしです。
サッカー観戦で寝不足かもしれない金曜夜に、80名の方がご参加くださいました。ありがとうございます。
質疑応答。感想や質問をたくさん頂戴しました。
お試しコーナーも用意してくださいました。
アプリの実演をしながら具体的な手法をお伝えし、活用例のmovieをご覧いただき、次のようなお話をしました。
「ピッケのおうち」をつくった理由
・幼い頃に味わう「嬉しい・楽しい」は、人生を歩む力になる。
・子どもたちと新しいメディアの最初の出あいを幸せにしたい。
「ピッケのおうち」で気づいたこと
・幼児向けデジタルコンテンツは三者で成り立つよう作るのがいい。
・上手い不完全をめざそう。
「ピッケのつくるえほん」活動の要所
・物語をつくる
・物語を外化する
・物語を語る
・物語を分かち合う
・つくる側になる
子どものためのデジタルコンテンツデザイン
・アクティビティ全体をデザインする。
・マニュアル不要にわかりやすく。
・余分な枝葉は落とす。
・丹精こめてつくる。
・ソフトのデザインは作り手の思想。
子どもを幸せにすること。未来を考えること。
・心の中の安全基地=コミュニケーションの基盤を育てる。
・上質の喜びの体験を。
質疑応答で返答に窮したのは「事例調査や検証をどうしているのか」と「どうビジネス化しマネタイズしているのか」。
まず前者。考えていてもわからないので、作りながら考えようと始めたのがそもそもで、やっていることの言語化さえ、後でしている始末。
迷ったときにどっちへ進むかは、ひなたの匂いのする方です。何か(学術研究であったり、あるいは市場だったり)を分析し、その結果に基づいて作ったというものではないのです。手を動かしながら考えています。
後者。活動を継続するためにビジネス化必須は自覚していて、今も挑戦中。もっと知恵出してがんばらねばと思っています。
この分野に若い人にどんどん入ってきてもらうためにも「面白いですよ」だけではダメなので。
やってきた活動を言語化し整理できたこと、このテーマに関心をもつ方々に聴いていただけたことは、とてもありがたいことでした。
ピッケを続けていて嬉しく思うのは、遊んでくれる子どもたちが増えることはもちろん、同じ方向見て進む仲間と出会え、応援してくれる人も増えて、だんだんに心強くなってくること。
これからも、「子ども×デジタル」の未来を考え、戸外で身体を存分に動かして遊ぶように、心を解き放ち自由に遊べる原っぱを作りたいなと思っています。
「つくる」ことは、何より楽しい
を、日々実感しています。
「ピッケのつくるえほん」の英語版を作っていて
できあがり寸法 6.7cm × 6.7cm のプリント絵本は、
「米国人にとって、あまりに小さく、作るのも難しい」
との指摘あり。
そこで、ひと回り大きい作り方も考えました。
左がこれまでの6.7×6.7cm、右が新しく用意する9.2×9.2cm
でも、お正月に会った親戚ちびっこたち(2~7歳くらい)は
皆小さい方が好きでした。
英語圏の子どもたちはどうなのか。わからないので、
印刷ボタンを押したあと、好きなサイズを選べるようする予定です。
さてコレでよし!と思っていた矢先
「北米はA4でなくLetter Sizeですよ」
と カナダ二重国籍の知人が教えてくれました。 でもまぁ
A4がLetterになっても、サイズもできあがりで数ミリの違いですし
世界標準はA4なので、基本はこのままA4で。
北米は、Letter Size でインチ表記
ヨーロッパは、A判 Size でセンチ表記なのですね。
表記は2通りに。
新しいおはなしづくりソフト「ピッケのつくるえほん」(←仮称)
について、丸善、慶應、キッズプラザ大阪さんでお使いいただいた方から、たくさんのお問い合わせをいただいています。
info宛てのメール多数、このブログへのコメント、ニフティ窓口へ問い合わせ。
反響の大きさに驚くとともに、身の引き締まる思いです。
ありがとうございます。
既に公開されていると思い、検索で苦労して探してくださった方も
多いようで、申し訳ありません。
インタラクティブ絵本「ピッケのおうち」は公開されていますが
新しい「ピッケのつくるえほん」は、開発中。未公開です。
今後の見通しについて、きちんとお伝えすべきと思い
今の状況を書きます。
1)ソフトの開発状況について:
ワークショップで、子どもたちが操作につまっていた箇所や
アンケート結果などから、直したいと思う部分を改善中です。
2)今後の運用方法:
これが決まりません。
開発までは、なんとかやってきたのですが、今後公開後も
自費で続けていくことは、なんとも苦しく、安定運用のために
どうしたらよいかを模索中です。
当初めざしていた無償公開は難しいかもしれません。
有償になる場合は、極力、負担の少ない少額でできるようします。
1)2)の足並みがそろい公開できる日がきましたら、
いち早く、このブログでもお知らせいたします。
急ぎます。 どうぞ今しばらくお待ちください。
プレゼントページにある「ピッケのまめぼん」。
昨年picke.jp でサイトスタートした当初、自分の考察用につくっていた
ダミー本を、誰でもプリントできるようにしたのが、そもそもなのです。
なので、あまり「作りやすさ」ってことを意識していませんでした。
ところが、
キッズデザイン博来場者から「作るのがたいへん」の声あり。
英訳のときも、ネイティブの方から難しいと指摘を受けましたっけ…。
私は工作がそう苦ではないので気にならなかったのですが、
どうも改善したほうが良さそう。
もともとの作り方。ページを順に貼りあわせます。難しい?ですか?ですね…。
で、考えました。
この考える過程が結構好きです。山ほど作りましたとも。
今度は、のり無しでもOKで、切って、折って、ホチキス留めです。
とっても簡単! あさって金曜にお披露目予定です。
以前くじけた方も、ぜひ試してみてくださいね!