Monthly Archives: 9月 2010

子どものための読書記録サービス「ミーテよみログ」


以前、絵本・子育てを応援するSNS mi:te[ミ-テ]を、このブログでも紹介しました。
そのミーテのリリースから4年、ひとりで本を読めるようになった子どもたちのために、読書記録サービス「ミーテよみログ」が始まりました。基本コンセプトと基本設計を、少しお手伝いしています。
シンプルな機能のみに絞られているのでわかりやすく、親子で楽しみながら使えます。お薦めです。(無料)
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ここはそれぞれの子どものトップページとなる「マイホーム」。子どもひとりずつに、1本の樹。ミーテのキャラクター、テテとミミがサイトを案内します。
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「本のへや」では、読んだ本を探して本棚に並べます。最上段の棚には「おすすめの本」。
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本を探すのは、ISBN入力やキーワード検索で。
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「ちていの図書かん」には皆の読んだ本が蓄積。
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「空のひろば」では、読んだ本の記録数をふり返ったり、他の子どもたちのおすすめを知ることができます。
ただ、ランキングは励みになるけれど、下手をすると数だけを競うことになる懸念もあります。よいアイディアだなと感心したのは、順位を厳密につけない工夫。「たくさん読んだお友だち一覧」は、20~49冊、50~99冊、100冊以上と、大きく分けるだけにとどめて、細かな冊数を明にしていません。これだと、どの冊数の子どもも登場することができるし、細かなランキングにとらわれにくくなりますね。

読み聞かせを入り口に、自分で読みたくなって読書へと進んでいく。
物語や言葉を楽しみながら、子どもたちと本との付き合いが、長く豊かに続きますように。

子どものための読書記録サービス「ミーテよみログ」は こちら>>

「ピッケのつくるえほん」ことはじめ


「ピッケのつくるえほん」の発想のきっかけは「ピッケのおうち」のペパドルです。
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このペパドルで、子どもたちはごっこ遊びやおはなしづくりをします。
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けんたくん(7歳)がペパドルでつくったおはなし
浮かんでは消えてしまう子どもたちのつくるおはなしをカタチにして残したいと思ったのが、きっかけです。
6月の「BAクリエイターズサロン」でも、その辺りの話をしました。
8月3331で行ったフラットークの3分トークも「開発の動機」がお題でしたので、その話をしました。

「ピッケのつくるえほん」についてよくいただくリクエストに、
・ 髪型や服装を選び子どものアバタをつくりたい
あるいは
・ 子どもの顔写真をはめたい
ということがあります。
特に親御さんからのリクエストの場合、そのお気持ちは、とてもよくわかります。でも今のところ入れていません。子ども本人を登場させると生活絵本になりやすくテーマを狭めるのでないかと思うので。
ある年齢の発達段階において、生活絵本が大事であることはわかるのですが、「ピッケのつくるえほん」は、最初の動機が上記であったこともあり「ものがたり(Narrative)」に主眼をおいています。

アバタ作成や写真の取込み機能を付加して「お子さんが主役!」とすれば、「商品」としてもぐんとわかりやすく売りやすくなるでしょう。
親御さんも嬉しい、たぶん、子どもも喜ぶでしょう。子どもは自分が写っている写真やビデオを見ること、大好きですから。
でもそれは、私が子どもたちに味わってほしいと願う「喜び」とは種類のちがうものです。また そういうものなら世の中にたくさん既にあって、何も新たにつくる必要はありません。
ワークショップの制作中、たまに、シーンと静まりかえるときがあります。ある時、ファシリテータの方が「朝倉さん、静かになっちゃったので、何か音楽をかけましょうか」と気を利かせて小声で尋ねてくれました。気遣いうれしかったのですが、そのままに。この静寂、この集中は、とても貴重な時間です。
ワッハッハと大笑いするわかりやすい喜び(これももちろん好きです)だけでなく、心を満たす一見静かな喜びも大切に考えています。

他によく言われることに
・ 横向き後向きなど複数の顔向きがほしい
・ 各表情にアニメーションを付け、各操作にも楽しいアニメーションや効果音がほしい
ということもあります。
「ピッケのつくるえほん」が届けたいのは、刺激的な面白さではなく深い喜びです。過剰な機能や装飾的な演出は、本質をぼかしてしまいます。そのため、これらを排しています。

「あると便利」をどんどん追加すると、企業の開発会議で生まれてくる「商品」と変わらなくなってしまいます。長く個人のボランティアとして続けてきたものを、安定運用のために「ピッケのつくるえほん」はビジネス化したわけで、売りやすさも考えねばならないのですが、捨てれぬこだわりがあります。「ピッケのおうち」から始まり、ゆっくり、自分の物差しで、納得いくようつくっています。

子どもは、もともと、ぬいぐるみや車のオモチャなどに自由に自分を投影し、世界を自由に見立ててごっこ遊びをします。
自分の写真やそっくりのアバタを登場させなくとも、登場人物に自分をなぞらえ、自由におはなしをつくります。
「りく、でんしゃにのる」りくくん(4歳)
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子どもの想像力と創造力は、私たち大人の予想をはるかに上回り素晴らしいです。言葉は人を形成します。物語をつくり・語り・分かち合う活動を通して、子どもたちが深い喜びを味わう一助になれればと思っています。

夏休み各地でワークショップ


夏休み期間中、沖縄こどもの国、大垣市情報工房(岐阜)、フェリス女学院大学(横浜)で「ピッケのつくるえほん」ワークショップが開かれました。いずれも私はノータッチ、それぞれのテーマやそれぞれのやり方で。8月末に、フェリスの学生さんたちの企画・運営で行われたのはエコテーマの絵本づくりです。
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ペンタブレットPC(東芝CM1)や電子黒板も活用して。
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導入には、ペパドルに割り箸をつけてのお芝居も。
工夫なさっていて、感心しました。
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6月のキッズプラザ大阪でも、他の皆さんにも参考になりそうなアイディアが随所にあったのです。(絵本のつくり方をわかりやすいパネルにされていたり) 各地での実践を共有できるよう、なにか考えないといけませんね。

フェリスで利用されていた東芝CM1を1台購入しました。
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ラバーコートで覆われたしっかりしたつくりで、持ちやすいハンドル付。少々ぶつけても大丈夫そう。
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モニタ部分は回転できるので、回して倒してペンだけでも使えます。これまで使った同様のペンタブレットPCより、ややしっかりした筆圧が要る感じです。(おそらく手で触ったときの誤操作などを考慮してしっかり目のチューニングになっているのかも)

ピッケのワークショップは、単発のイベント的実施だけでなく、地域で継続して行われるようなっていくことを望んでいます。少しずつ足がかりができてきました。この輪が広がっていくことが楽しみです。