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読み手を信じる


今をときめく児童文学作家おふたりと京都でお会いする機会がありました。初対面にもかかわらず、すぐに緊張も解け、サインまで頂いてしまったのでした。

おひとりは、越水利江子(こしみず りえこ)さん。
すでに100冊以上を世に出されていて、児童文学にとどまらず、小説、ファンタジー、時代小説、絵本、伝記など幅広いジャンルを手がけられています。
そんな中から、子どもにも大人にも、できれば親子で読んでほしいのが『ガラスの梨 ちいやんの戦争』越水利江子 作、牧野千穂 絵、ポプラ社。

「ちいやん」こと小学3年生の笑生子(えいこ)の眼を通して、戦争で変わっていく日常の生活を描いています。モデルは越水さんのお母さんです。
大阪大空襲のシーンは、読んでいるだけで苦しくて胸が痛みました。書いた越水さんはそれどころではなかったでしょう。書きながらご自身も「ちいやん」として追体験し空襲の中を逃げまどったに違いなく、戦争のむごさ理不尽さを子どもたちに伝えねばと、苦しみながら筆を進められたのではと推察します。
そんな辛いシーンがあっても全体のトーンは健やかです。登場人物のひとりひとりが活き活きと立っていて、日々を生き抜く人間のたくましさや、繋がっていく命の尊さが、誠実に描かれています。成年兄やんが馬のクリの体を川の水で冷やしてやっているシーンは美しく、夕焼けの赤色が見えてくるようです。食べ物の描写も美味しそうなのですよ。難しい言葉や表現は使われていなくて、漢字にはルビがふってあるので、小学4年生くらいから十分に読めると思います。
巻末には68もの参考書籍・戦時資料がリストされています。おそらく資料を読みこむほどに怒りと悲しみが渦巻き、加えて今の時勢への危機感から、長年温めてこられたテーマを今こそ世に出さねばと使命感に似たお気持ちがあったのではないでしょうか。
牧野千穂さんの絵も上質で素敵です。

もうおひとかたは、楠章子(くすのきあきこ)さん。
『ばあばは、だいじょうぶ』楠章子 作 、いしいつとむ 絵、童心社 は、認知症を扱った絵本です。

「わすれてしまう病気」になってしまった大好きなばあばを、小学生の「ぼく」(つばさ)の視点から描いています。楠さんは、若年性認知症を発症したお母さんを15年以上も介護なさっていて、その経験をもとにした作品です。
ばあばの気持ちも つばさの気持ちも切なくて、胸がいっぱいになります。なかでもぐっとくるのは、忘れてはいけないとばあばが書いたたくさんのメモを一面に配した場面。この見開きにだけテキストが無い、すなわち静寂なのです。皆がばあばを探しに出払った空っぽの家のばあばの部屋でひとり、つばさとともに(つばさになって)、ひきだしの中のメモを1枚1枚手に取り読んでいる気持ちになります。さらに、あとがきの楠さんの文章にもまた、こみ上げてしまうのでした。「守っているつもりで、じつはいつも守られているのかもしれない。」
さいごを「うん、だいじょうぶ。きょうもわらっていこう。」でしめているのも、楠さんらしいなぁと感じました(って1回しか会ったことないのですけれど)。肩肘はってがんばるというのではなく、やわらかな方なのです。いしいつとむさんの絵が素晴らしくて物語とマッチしています。

おふたりにお会いして、つくるものには隠しようがなく作者自身が現れるのだと感じました。そして、おふたりの作品に共通すると気づいた点が2つあります。
ひとつは、取り上げるテーマ。それぞれ「戦争と平和」「認知症」という大切ではあっても、子どもへの伝え方が難しいテーマに挑んでいること。ご自身の経験や十分な準備の上に確かな筆の力で、見事に子どもへと届く物語と成り、結果、大人の読者をもひきつけます。
ふたつめは、読者への信頼があること。『ガラスの梨 ちいやんの戦争』では、焼夷弾が降る中、幼な友だちの皮膚がずるりとむけ、炎に包まれ黒くこげていく。そんな眼をそむけたくなるシーンもぼかさず描いています。『ばあばは、だいじょうぶ』には、わかりやすいハッピーエンドはありません。どちらも読者を、子どもだからと低く想定していません。読み手を信頼しているのです。

「きっと合うに違いないから紹介したい」と今回の場を設け引き合わせてくださった恩人は、東京からの日帰り。所用があると先に退席してしまいました。その後もいったい何時間おしゃべりしていたことでしょう。越水さんと楠さんは同じ児童文学界の先輩後輩として旧知の間柄で、おふたりのやりとりを聞いているだけでも楽しくて。越水さんは高校時代は演劇部、作家になる前は映画の世界で女優をなさっていたそうで、ご自身が歩んでこられた道がそのまま小説になりそうです。目下、大好きな土方歳三を、史実に基づいた伝記小説として執筆中とのこと。

そうだ、大事なお知らせを。
『ばあばは、だいじょうぶ』が映画化され、上映中です。つばさ役は寺田心くん、ばあば役は冨士眞奈美さん。ミラノ国際映画祭2018外国映画部門で、最年少での主演男優賞と最優秀監督賞(ジャッキー・ウー監督)のW受賞に輝いたそうです。私ももちろん、舞台挨拶付きの上映回チケットを購入済み。スクリーンで観るのが楽しみです。 公式Webサイトはこちら>>

「ピッケのつくるえほん」ワークショップ@豊橋


外国にルーツのある子どもたちを対象とした愛知県豊橋市でのワークショップ、今年度の初回は5月5日こどもの日。諸事情で今回は居住区まで出かけることができず、中央図書館での開催となりました。

いつものように、学校経由で西部住宅に住む外国ルーツの子どもたちへ告知してくださったのですが、残念ながら参加はゼロ。予想はしていましたが、図書館へ自分たちで来てもらうのは未だ早かったとわかりました。

そんなわけで日本人ばかりとなったものの、4~15歳の幅ひろい年齢層の子どもたちと絵本づくりを楽しみました。

今年度は、毎回テーマを決めてお話をつくってもらう予定です。初回は「○○のぼうけん」。小学1年生女児は空へ飛んで行きました。

自習室での勉強を終えた中学生たち。途中からの参加ゆえ半分ほどの制作時間にもかかわらず、追い上げました(録音は無し)。さすがの集中力。

外国ルーツの子どもたちにとって、図書館はまだまだ遠い。さてどうするか。
今しばらくは彼らのコミュニティへ出かけ、次のステップでは、迎えに行って一緒に図書館まで来て館内を探検するなど、子どもたちの様子を見ながら段階的に図書館に親しんでもらえるよう、関わる皆で考えます。
物語を読んでもらう+物語をつくる で言葉の楽しみを知り、子どもたちだけでなく保護者にも図書館まで足を運んでもらって、いずれは図書館が外国人支援の一拠点となれるように。

そもそもは、昨年度、豊橋市が文部科学省からの委託を受けて始まったプロジェクトでしたが(と言っても正式決定は夏前だったので始められたのは10月、実質は半年)、文科省がこの「地域の教育資源を活用した教育格差解消プラン」自体を終了したので、今年度からは豊橋市図書館の自主企画となりました。
図書館職員の田中さん冨田さんはじめ、スタート時からのメンバーも各人のリソースを持ち寄って手弁当で続けます。元館長の伊藤孝良さん、名古屋大学准教授の小川明子さん、もちろん私も。名古屋大院生の李旭華さんも頼もしいです。
次回は、市営西部住宅と県営岩田住宅へ出かけます。「次はいつ?」と楽しみにしてくれてた子どもたちと、またお話づくりができますように。

継続して来てくれる子が増えるといいなとスタンプカードをつくりました。

今後の開催など決まれば、豊橋市図書館のFBページ に情報が出ます。 豊橋市図書館のFacebookページ>>

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使用アプリ:  ピッケのつくるえほん for iPad
ピッケに関するお知らせやレポート:  Facebookページ「ピッケ」
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「ボランティアの会」でピッケ@チャイルド・ケモ・ハウス


「おでかけピッケ」をご一緒しているチャイルド・ケモ・ハウス(愛称:チャイケモ)さんで、ピッケのお話をしてきました。
今年度から毎月「ボランティアの会」を開催なさるとのこと。対象は、チャイケモでボランティアとしてすでに活動中の方、今後やってみたい方、病気の子どもや家族の支援について一緒に考えたい方等。その第1回にお招きいただきました。

近頃は外への訪問が多かったので久しぶりのチャイケモ。ご飯を炊いて、皆でわいわいおしゃべりしながらのランチも楽しかったです。私も簡単サラダを持参。

第一部では、体験もはさみながらピッケの話

第二部は、副理事長の田村亜希子さんによるガイダンス。続いてハウス内を見学。チャイケモを設立されたお気持ちをあらためて聴けて良かったです。

設立経緯などを記したブログ記事はこちら>>

チャイルド・ケモ・ハウスさんと小児病院を訪問する「おでかけピッケ」、子どもたちの病状やその日の体調に合わせ絵本づくりを楽しみます。ありがたいことに「公益財団法人ノエビアグリーン財団 助成事業」に応募してくださり、なんと採択いただけたので、今年度は、交通費の心配なく遠方へも出かけられます。ご希望ありましたらご連絡くださいね。

チャイケモのFacebookページ>>

お花見2019@夙川


川べりをおしゃべりしつつそぞろ歩くだけのお花見に、今年も出かけてきました。満開前であったとはいえ、花は年々寂しくなっています。それでも、この夙川の桜を眺めてようやく春が来るのでした。

週末は、須磨浦公園へ出かけました。
あたたかな陽射し、桜の向こうに瀬戸の海。

「春の海 ひねもす のたりのたりかな」与謝蕪村

まさに、のたりのたりの春でした。

「ピッケのつくるえほん」ワークショップ@豊橋


3月3日ひなまつりの日曜、豊橋市中央図書館のアウトリーチとして、外国ルーツのご家族が多く暮らす地域へ出かけ、絵本の読み聞かせとピッケの絵本づくりをしました。午前は市営西部住宅の集会所で、午後は県営岩田住宅の集会所で。どちらの会場も前回に続き3回目です。

会場に着くと、子どもたちが歓声をあげて走り回っています。開始前、しかもこんなに大勢の子どもたちが集まってくれたのは初めてです。
ギャングエイジに入るか入らないかくらいのエネルギーあふれる男児たち。前回はトリオだったのがさらに人数増え、それはそれは(ごく控え目に言って)賑やか。おもちゃの銃でバキュン!しながら、跳ぶわ、走るわ。でも、伊藤館長の読み聞かせが始まると、最初はふざけていたのが、徐々に聞き入っています。

お話をつくり始めると、銃を置いて没頭していました。とはいえ、自分ができあがると、また大騒ぎに戻るのですが。男児はほぼ全員がそんな具合。でも、つくる時はどの子もぐっと集中します。

駆け回る男児のひとり、参加2回目フィリピン2年生男児の録音。見開きごとに「**が**しとる」(「しとる」は「している」の豊橋弁)S+Vの1文が基本。しかし徐々に表現に工夫をし始めます。「どんぐり」といった単語の語彙に苦労したり助詞の選択ににとまどったりしながらも、S+V+Oとしたり「**で」と場所を補足してみたり。「雨が降っとる」といちど口にしたのを自分で言いなおし「くもりが雨になりました」と再録音したりもしました。描きたいシーンにぴたりとくる言葉や表現を探す様子に、良い作品にしたいというあふれる気持ちが感じられます。

言葉以外のところでも、気づくことがありました。例えば、「ハサミで切る」が難しい子がいます。ひとりの小2年生は、刃を大きく開き、そのままナイフのように握って、力で切ろうとします。一方、外国ルーツの子であっても日本で幼稚園や保育園に通っていれば、園で習うのでハサミを扱えます。ちなみに、今回から入ってくれた名大大学院生の旭華さんによると、中国の家庭では、刃物は危ないので幼児には触らせず、小学校へあがってから学校で習うのだそうです。私を含め多くの日本人も、自然に覚えたわけではなくて、幼い頃に家庭や園で教えられ練習したからこそ、できるようになったのです。このハサミの件に限らず、自分の狭い「あたり前」に囚われたうかつさから気づけていない点が多々あるに違いなく、感度を上げねばと思います。

何人かの子たちは、事前にどんなお話をつくるか考えて来ていました。例えば初参加の姉弟のふたりが考えてきたのは、こんなお話でした。
小3姉「うさぎとくまを思いついて。崖から落ちるところから始めて、あとは作りながら考えた」
小2弟「フィリピンへ行ったとき考えた。1年のとき行って、それがお話になった」(本人弁まま)

午前の西部住宅は、初回に来てくれた小2女児を中心とした口コミ広がりなので、同じ2年生が大半を占め、親を伴なわず子どもたちだけで来ています。当初の計画では親子での参加を想定していたのですが、対小学生では、まず子ども、それから子どもが親を誘って一緒に参加とするほうが無理がなさそうです。

とくに男児は大騒ぎでヤンチャしている時と集中してつくっている時とのギャップが大きくて、そこに可能性を感じます。後者の時間割合が増えるように、「制する」のではなく、場のつくり方、カリキュラム、ファシリテートで工夫したいです。どの子も、前より良い作品をつくりたいと願い挑戦しているので、今後はテーマを設けるなど、次のステップへ進めてみます。録音時や発表時の「音」の質を上げることも課題です。

午後の岩田住宅は、午前と打って変わって落ち着いた進行に。

こちらも前回参加の子たちの口コミで増えました。フィリピンの4年生女児は数人の友だちを伴って

ブラジルの小5男児は5歳の妹さんと一緒に来てくれました。自治会の舛木さんが、日本語を解さない兄妹のためにポルトガル語の通訳をしてくださいました。

図書館の冨田さんが日本語の絵本を、ブラジル人のお母さんがポルトガル語の絵本を読んでくれました。

弟へ贈る絵本をつくったフィリピンの1年生男児は、ビサヤ語等が母語。日本語も話すけれど、録音は英語でしていました。理由を教えてもらったところ、お父さんは仕事で日本語を使うけれどお母さんは家の中だけなので日本語は話さない。日本語だと言いたいことが100%言えないこともあり、伝えたいことがいちばん言いやすく、家族全員が理解できる英語にしたとのこと。

子どもたちを取りまく母語や日本語の環境、習熟度、家庭の事情もそれぞれで、丁寧にみていかねばとあらためて思います。ワークショップを終えてからの図書館の皆さんとのふりかえり、名古屋大学の小川明子さんの明晰なアドバイスもありがたいです。

2つの会場とも「次はいつ?」と子どもたちから尋ねられました。「どんどん楽しくなってきた。またつくりたい!」と。
3回目にしてようやく定着してきた感。来年度もなんとか続けたいです。

今後の開催など決まれば、豊橋市図書館のFBページ に情報が出ます。 豊橋市図書館のFacebookページ>>

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廃材リユース×ピッケ ワークショップ@玉島 IDEA R LAB(子ども回)


初日の大人対象回からの続き)
2日目の日曜日は子ども対象回「ちいさな妖精とちいさな絵本」。

黄色の風船を目印に、屋根裏の秘密部屋へ導かれるようにしました。ダンボールのピッケたちは、4年前「おはなしのもり」の時につくった子たち。梁に頭を打つので注意。

さて準備は万端。ラボへ戻り、早めに到着した兄弟くんたちとおはなし絵カードで遊びました。

全員そろったのでマテリアルライブラリーへ移動。足元に気をつけながらひとりずつ屋根裏部屋へ。グリムの「こびととくつや」をざっと読みました。(ちゃんと1冊通して読まなかったことをあとになって反省)

大月さんに廃材の由来を教えてもらいながら、それぞれの妖精をつくる材料を選びます。

手にとり眺め、大切にケースに集めてラボへ持ち帰りました。

子どもたちの早いこと早いこと。迷いがないのです。熱中。

赤い実を食べるのが好きな妖精。

森に住んでいるそう。(名前も教えてもらったのだけど忘れてしまいました、2文字)

お茶とお菓子で休憩したあと、絵本づくり。

つみきを組み合わせて忠実に妖精を表現しています。「ピッケとみみちゃんと妖精はバスを待っています」

録音。製本して完成。

発表会では順番に、まず妖精を紹介してもらい、それから絵本を上映しました。

「家まで届けよう」えにしくん(小6年)作

裏表紙に描いた食べたお皿で妖精の存在を感じさせつつ、姿は現さない新手法。まんねんさんが届けてくれたマスカットを食べたのは、こんな妖精です。

昨年度までは特に誘導しなくともつくった工作と絵本がつながったのだけれど、今回は繋がらない子がありました。原因に心あたりがいくつかあり、次回は活動のデザインをもっと丁寧に見直します。やろうとしているのは、身体(手を動かしてつくる)と空想、デジタルとアナログ、有形と無形がシームレスにつながった大きな物語世界の中で、子どもたちが創る楽しみに存分に浸れる場を用意すること。

前回も参加してくれた6歳の男の子。12歳のお兄ちゃんともども「次もまた来たい!」と言ってくれました。嬉しいな。

玉島では、大月さんはじめ界隈の皆さんにいつもほんとにお世話になります。ワークショップ当日のあわただしいお昼を、アゲモラ部屋(あげたりもらったり直したりする)でご馳走になり、500平米超の洋品店を住みながらリノベし続けてるサトミちゃんからは牡蠣のはさみ焼き(実演付き)や米粉のシフォンケーキが届き、あっこちゃん、岡ちゃん、なんちゃんからも差し入れ。多くがこのコミュニティに魅せられた移住者です。新しく滋賀から越してきた女性は、縫う人チクちゃん。すでにすっかり溶け込んでいました。
そして、4年前の初回から毎回手伝ってくれるヒサモこと久森有希さん。今回は神戸~玉島を運転まで。いつもありがとう。
今年も玉島のゆったりした時間の中で、ワークショップをすることができました。早くも次回が楽しみです!

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【 IDEA R LAB 】大月ヒロ子さんが、故郷玉島のご実家をリノベーションしてつくられたクリエイティブリユースの拠点かつ実験場。
http://www.idea-r-lab.jp/
https://www.facebook.com/IDEARLAB
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廃材リユース×ピッケ ワークショップ@玉島 IDEA R LAB(おとな回)


今年度も、クリエイティブリユース×ピッケの絵本づくりワークショップで、IDEA R LAB(岡山県倉敷市玉島)へ出かけてきました。これまでよりさらにゆったり時間をかけたくて、1日1回のみの開催、初日の土曜日はおとな対象回でした。

ラボから歩いて1分のマテリアルライブラリーに、地域から生まれた多種多様な端材や廃材がストックされています。集まったそれらを丁寧に整理分類することで、創りたい気持ちを触発してくれる材料(マテリアル)となります。リサイクルやアップサイクルと違う点は、単なる「再利用」ではなく、クリエイティビティを加えて新たな価値とともに素敵によみがえらせること。そうすることで、廃材とともに、人やコトが社会の中で繋がり循環してゆきます。このマテリアルライブラリーも、元熱帯魚センターだった建物を大月さんはじめ皆さんでリノベーションしたものです(私も5年くらい前の夏 古タイルを洗ったので、貢献度0.000001%くらい?)。その現在進行形の場で、大月ヒロ子さんから直にお話を聴けるなんて、とっても贅沢。

様々な材料に触発されながらイメージをふくらませ、ラボへ戻って制作開始。前半では、廃材を使って大切な人に贈る小さな贈り物を作ります。みなさん没頭中。

中盤で、お茶を飲みながらピッケの活用事例などをお話しさせていただき、後半は、贈り物に添える小さな絵本を作ります。
絵本をつくることが昔からの夢だったという女性。

メリーゴーランドと絵本「メリーゴーランドであそぼうよ」。録音も素晴らしかったです。

昨夏、被災した子どもたちの預かりをしている児童クラブへ出かけたとき知り合った真備町の方が、ご参加くださいました。ご自身も被災されて大変な中、子どもたちの支援を続けていらっしゃいます。今年の夏休みは海水浴へ連れて行ってあげる計画だそうです。

皆さんの作品。それぞれ絵本とリンクしていました。

玉島で過ごす日々は、私のとって心身の滋養です。アパートをリノベしたレジデンスに宿泊し、ご飯は皆でつくって皆で食べます。玉島は魚介類も野菜も果物も美味しい~。

今年のおとな回用おやつは、キャラメルナッツタルトを焼きました。

あしたは子ども回。「マテリアルライブラリーの屋根を直したので、屋根裏の秘密部屋に上がれるよー」と大月さんからの事前情報。急な階段を上ってみると… こんなに素敵な空間!これはぜひ子どもたちにも上がらせてあげたい。

子ども回に続く

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【 IDEA R LAB 】大月ヒロ子さんが、故郷玉島のご実家をリノベーションしてつくられたクリエイティブリユースの拠点かつ実験場。
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おでかけピッケ@京都市立病院


京都市立病院の分教室(院内学級)へ、チャイルド・ケモ・ハウス(愛称:チャイケモ)の於保さん(アートディレクター)、川井さん(自立支援員)と出かけてきました。府立医科大学附属病院に続き、はじめて訪問させていただく病院です。市立病院の院内学級はこれまでで最も小規模で、少ない人数でゆっくり落ち着いて取り組むことができました。

小1男児は、授業が始まる20分も前に来てくれました。ボランティアの大学生さんにも加わってもらい、おはなし絵カードで遊びながら開始時間を待ちました。機関車の絵カードは「トーマス」、街並みは「マック」、ラッパは「ハッピーセット」、リレーでお話を紡ぎました。

テレビ会議システムを使いベッドサイドと教室のそれぞれが自己紹介をしてから、おはなしづくりに入りました。

贈る相手を誰にしましょうと問うと、「あ、もうすぐお誕生日の人がいる!」「りいさちゃん!」長く会えていない妹さんとのこと。途中、看護師さんが横について治療も受けつつ、夢中でつくり完成させました。

全員が録音までできました。
病室から参加の小学3年生男児も、妹さんへ贈る絵本。こんなお話です。
買ってもらった動くカメのロボット。うらやましがる友だちに、貸して!と追いかけられて、山を越え谷を越え、さいごは気球に乗って空へ。タイトルは「脱出成功!」。日頃からオリジナルの漫画も描いていて(素晴らしい描き込みの力作なのです)、ストーリーも絵作りも録音も抜群でした。

同じく病室から参加の中学1年生男子は「旅する演奏会」。歌が得意なおたまじゃくしの兄弟の夢はコンサートを開くこと。何年か経ってカエルに成長。一方、リスの兄弟は声に自信がなかったので楽器を弾くのを頑張りました。ある日カエルの兄弟とリスの兄弟が出会い、夢が同じだったのでグループを作り旅に出て、親子コンサートを開き大成功。7見開きもの長編となりました。

2コマ90分の授業が終了。小1男児くんは「(長い時間椅子に座りすぎて)お尻が痛くなっちゃったよ」と言いながら、完成した絵本を持って病室へ戻っていきました。

分教室の先生が何より喜んでいらしたのは、制作中の子どもたちの表情が素晴らしいこと。訪問した私たちも嬉しかったです。

子どもたちにとって、お話を作ること自体が楽しいのはもちろん、絵や言葉でお話をつくることで、長い入院生活でがんばっている様々な気持ちを解放することができます。ご家族や医療者にとっても、作品から子どもさんの心の内を垣間見ることができます。
「おでかけピッケ」入院中の子どもたちのところへチャイケモの方と一緒に伺います。ご希望ありましたらどうぞご連絡ください。

※ 本活動に、広島の教材販売会社の社長さん(有限会社ワキタ 脇田秀夫様、有限会社ヒロキョー 箱田博司様、有限会社サラダ文教社 皿田弘美様)がチャイケモへ寄付してくださった3台のiPadも活用させていただいております。
チャイルド・ケモ・ハウス(チャイケモ)
2013 年4月神戸に開設された国内初の小児がんをはじめとした医療的ケアが必要な子どもと家族のための施設。患児家族らにより設立、運営されている。医師のいる診療所と患児が家族とともに暮らせる住居がひとつの建物内にあり、家族一緒に暮らしながら治療を受けることができる。

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おでかけピッケ@京都府立医科大学附属病院


京都府立医科大学附属病院の分教室(院内学級)へ、チャイルド・ケモ・ハウス(愛称:チャイケモ)の井上さん(保育士さん)、川井さん(自立支援員さん)と出かけてきました。はじめて訪問させていただく病院です。小学部と中学部の合同授業として、2コマ90分で絵本づくりをしました。

分教室内には、モニタ、PC+プリンタ等が揃っています。京大附属病院と同じテレビ会議システムもあるので、教室へ来ることが難しい3人の児童生徒さんは、それぞれのベッドサイドから参加できました。各人での制作中は教室全景を映し、操作説明をするときには手元を大きく映しながら伝えます。

看護師さんの出入りもありながら、子どもたちそれぞれの病状やその日の体調に合わせて進めます。お薬がきいて眠ってしまった男の子は、皆と一緒に居たくて病室には戻らず最後まで参加しました。先生から「好きな色は赤」と教えていただき、お名前入りの赤色表紙+中は白紙ままの絵本として製本しました。

4年生男児作「魚と船の物語」。メモを取りながら長文の録音もやり遂げました。壊れた船は積木で表現しています。


「雷がごうごう鳴っている時に、大きな魚は船を襲うそうです」「大きな魚は 船を襲うことに成功しました」「大きな魚は、次の壊す船を探す旅に出ようとした瞬間、壊れた船から 3匹の小魚が飛び出してきました。そして小魚たちは、大きな魚にこう言いました。『弟子にしてください!』」「こうして 大きな魚と小魚たちは 仲間になったのでした」

別の4年生男児作「くりんとまんねんのたいけつ」

「あるひ くりんくんとまんねんくんが けんかをしました。そして野球で対決をすることになりました」「そして対決が終わり、勝ったのはくりんくんでした」「勝ったくりんくんは、まんねんくんにやさしくしてあげました」「そしてふたりはベンチに行き、くりんくんがまんねんくんに『いっしょにいちごを食べよう』と言って、ふたりは仲良くなりました」「おしまい」
とても優しいお話で、ふたりの後ろに見える大きな夕日もこのシーンにぴったりです。

6年生女児さんたちも、絵もストーリーも凝った長編のお話をつくりました。タイトルもローマ字の「Kakurenbo」です。録音の段になって、「みつかっちゃったぁ~」のセリフが照れくさくて少し躊躇。見つけられる側のうさぎちゃんやりすくんのセリフをチャイケモの川井さんが引き受けて、楽しい作品に仕上がりました。裏表紙も素敵です。(一部を抜粋)

教室でつくった4人は、録音の声が互いにかぶらないよう、ひとり1見開きずつ順番にすることに。これが実に楽しかったです。

受け入れてくださった分教室の先生方に、とても感謝しています。普段の時間割の中に2コマ、しかも小学部と中学部の合同授業として入れることは、やりくりにご苦労かけているに違いなく、準備も当日も後日も、かなりのご負担かけてしまっていることと思います。にもかかわらず、ぎりぎりまで、紙をもっと良いのに変えようとか、プリンタのヘッダーをクリーニングするともっときれいに印刷できるかもしれないから後日やり直してみようとか。少しでも子どもたちに良い体験をとおひとりおひとりの先生が取り組んでくださり、ありがたく、とても嬉しいです。見習おう、といつも思います。
子どもたちに対しても「お話を聞かせてくれてありがとう」の気持ちです。

子どもたちにとって、お話を作ること自体が楽しいのはもちろん、絵や言葉でお話をつくることで、長い入院生活でがんばっている様々な気持ちを解放することができます。ご家族や医療者にとっても、作品から子どもさんの心の内を垣間見ることができます。
「おでかけピッケ」入院中の子どもたちのところへチャイケモの方と一緒に伺います。ご希望ありましたらどうぞご連絡ください。

※ 本活動に、広島の教材販売会社の社長さん(有限会社ワキタ 脇田秀夫様、有限会社ヒロキョー 箱田博司様、有限会社サラダ文教社 皿田弘美様)がチャイケモへ寄付してくださった3台のiPadも活用させていただいております。
チャイルド・ケモ・ハウス(チャイケモ)
2013 年4月神戸に開設された国内初の小児がんをはじめとした医療的ケアが必要な子どもと家族のための施設。患児家族らにより設立、運営されている。医師のいる診療所と患児が家族とともに暮らせる住居がひとつの建物内にあり、家族一緒に暮らしながら治療を受けることができる。

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本領発揮できる自由な世界 2019


昨年度に続き「アートとこころのケア講座」(於:兵庫県こころのケアセンター)で講師を務めました。いつもは物語づくり活動全般についての話題提供が多いのですが、今回は「病児や発達に困りごとのある子どもたちのサポート」に絞っての話です。事前にお送り頂いた情報(名前など個人情報のない属性のみのデータ)で、介護職に携る参加者が何人かいらっしゃると知り、シニア対象の事例もひとつ入れました。たっぷり3時間あったので、事例を紹介しつつ、場づくりにおける留意点をお伝えし、子どもたちの動きや発言、作品について解説しました。

ピッケのおうち」の工作類のサンプルや、そのアレンジで手作りしたマグネットのペパドルも持って行って開始前の時間にご覧頂きました。

いくつかの事例は、このブログにも書き残しています。カテゴリーで選ぶと探しやすいです。
Category:「小児医療」
Category:「発達障害・特別支援(チャレンジド)」

お話づくりの楽しみと可能性をご自身で感じてほしくて、体験時間を設け4人グループで作品をつくってもらいました。短時間であったにもかかわらず録音までなさったグループもありました。

昔ピッケで絵本づくりをしてくれた女の子のお母さんからその当時届いたメッセージを、今回も紹介しました。

チーコは長いこと周囲とうまく付き合えず、苦しい思いからファンタジーの世界へ逃避しがちだったのですが、ピッケがうまく橋渡しをしてくれました。チーコが作ったピッケの作品を見た先生が「こんなに豊かな世界を持っているんですね!」と、文字を書いて表現するのは難しいけれど、絵と音声ですてきなお話を作れることをご理解いただけました。ピッケの世界はチーコにとってとても自由な世界のようで、チーコにとってピッケは「本領発揮できるところ」らしいです。( 当時 小学1~2年生 )

ピッケは「本領発揮できる自由な世界」。1年生だったチーコちゃんにそう感じてもらえたのは、私にとって今も励ましであり大切な指標です。

その数年後には、チーコちゃん作の俳句作品がNHKの番組で紹介されるまでになりました。今は6年生です。メッセージを公開させていただいてよいでしょうかとご連絡をさしあげた際、快諾とともに嬉しい近況もお知らせくださいました。

文字を読んだり書いたりできなくても、物語の主人公になってピッケとたくさんのことに挑戦できました。学びを楽しみ、物語を楽しみ、沢山の感情を表現できるようになったのは、ピッケで培った力だと思っています。幼稚園や学校で長いこと理解されず、理解できず、周囲に溶け込めず、辛い日々を送っていましたし、学習にも大きなハンデがありましたから… 今では国語の課題でパラレルワールドの物語とか書いたりするようになりましたよ。

ASD児など発達に困りごとのある子どもたちにとっては、人や社会と接続するための言葉による表現が、皆と同じを強いられる従来の方法では難しい場合があります。一方、彼らの内側にある言葉は、むしろ豊かに育っています。その豊かな言葉を聞けないのは、本人が困ったりもどかしく思うのはもちろんのこと、社会にとっても、とても残念で、もったいないです。誰もが自分に合った方法で表現できるよう、変わるべきは社会の側です。

後半で、ブルーナーの唱える2つの思考様式、論理科学モードとナラティブモードについてと、関連して三項関係の話もしました。療育や医療的ケアでナラティブ法をとる際、インタビューなど言語のみだと向き合う二項関係になりますが、メディアを介することで三項関係となります。セラピストとクライアント、親と子ども、教員と児童生徒。いずれにおいても、前者にそのつもりがなくとも後者にとっては圧を感じてしまう場合があるのです。両者が横並びとなる三項関係では二項関係に比べドミナントが弱まり、後者がリラックスしやすくなります。タイムラグを許容するという点でもメディアを介する利があります。リアルタイムに立ち会えるに越したことはありませんが、メディアが残るので(ピッケであれば音声入りの物語)、後になってからでも解析できます。また、文字のみによらず、絵や音声も総動員しての表現ができるので自由度があがり、これまでの手法では表出の難しかった思いを伝えることができます。インタラクティブに操作しながらの発話は物語の中に入っていきやすいです。全員に有効ではないかもしれませんが、良くデザインされたデジタルメディアは、発達に困りごとのある子どもたちの創造表現を助けます。

言葉の喜びや楽しみは、子どもたちが生きていく上での大きな力となります。社会の中で不自由を感じている子どもたちには尚さら、言葉と物語の深い喜びを味わい、本領を発揮して、幸せに生きてほしいと願います。ピッケでわずかながらでもお手伝いできれば幸いです。

# ピッケのルーツ「ピッケのおうち」は、Flashなのでそろそろ動作しなくなり始めていて、2020年にはすっかり見れなくなるそうです。もしマウス操作のパソコン環境(WinでもMacでも)がありましたら、今のうちに最初のピッケに会ってやってください。私の Win10 × Chomeブラウザでは未だ動いているのですが、いつまでかな… と思うと寂しいです。

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iPadアプリ「ピッケのつくるえほん for iPad」:https://www.pekay.jp/pkla/ipad
学校向けWindowsソフト「ピッケのつくるプレゼンテーション:https://www.pekay.jp/pkp/
最初のピッケ「ピッケのおうち」:https://www.pekay.jp/house/ ※ Flash Playerのはいったマウス操作のパソコンで。紙工作もあります。
ピッケに関するお知らせやレポート: Facebookページ「ピッケ」
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