2013年4月、神戸のポートアイランドに、日本初の小児がん専門治療施設ができました。名前は「チャイルド・ケモ・ハウス」(愛称:チャイケモ)。チャイケモでは、お医者さんのいる診療所(クリニック)と小児がんの子どもが家族と一緒に暮らせる住居(ハウス)がひとつの建物の中にあり、我家のような環境で家族一緒に暮らしながら、安心して化学療法(ケモセラピー=抗がん剤治療)を受けることができます。まさに理想の「家」です。
患児やそのご家族や医療従事者が中心となり、「夢の病院」とは?を模索し続け、着想から8年を経てようやく完成したのが、チャイケモです。
中心メンバーである田村さんの長男 結人くん、萩原さんの次女 さやかさんは、チャイケモの完成を見ることなく天国へ旅立たれました。田村さんも萩原さんも、ご自身のお子さんを亡くされた後も奔走し続けて病院設立を実現させ、今もなお走り続けておられます。
田村亜紀子さんのスピーチ(@TEDxSannomiya)「家族のカタチ」:
こちらのmovieで、チャイケモの概要がわかります。
「がんになっても笑顔で育つ」チャイルド・ケモ・ハウスのご紹介:
院長の楠木重範先生ご自身も、多感な思春期に闘病し小児がんを克服した、かつての患児です。それだけに、子どもたちがつらい思いするのは治療だけにとどめたいと強く思っていらっしゃいます。
ところが、ようやく建物が完成し、医療従事者の常勤も始まり万全の受け入れ態勢が整ったにもかかわらず、今のところハウスへの入居者がありません。(クリニックは、ポートアイランドの住民の皆さんの町の小児科としてすっかり定着しています)
そこで、この場所を必要とする小児がんの子どもやご家族、そして医療関係者の方に知っていただけるよう、2泊3日のお泊りプログラムが企画されました。現在入院治療中(主治医の外泊許可が必要です)または、退院し自宅療養中の小児血液・腫瘍の患児家族の方などが対象となります。家族が家族らしく、子どもが子どもらしく、兄弟姉妹友だちとも遊べる治療環境を実際に体験できます。2泊3日はむずかしい場合は1泊だけでも日帰りでも大丈夫です。皆さんの周りにこの情報が役立ちそうな方がいらしたら、ぜひ伝えてあげてください。
「お泊まりプログラム」について詳しくは こちら>>
今の日本の医療保険制度では、保険適用があるのは患児本人のみとなります。チャイケモでは、ご家族が安心して患児に付き添えるよう、診療報酬以外の負担を患児家族に求めず寄付によって運営していきたいと考え、さまざまなご支援を受け付けています。お気持ちにあった方法をお選びいただけます。
「支援の方法」について詳しくは こちら>>
ピッケは、絵本づくりで少しだけお手伝いをさせていただいています。
写真は、小児がんを経験した子ども達とご家族を対象に、CAMPの皆さんとご一緒にワークショップをした2013年夏合宿時の様子です。
本格的な入居が始まったら、1回限りのイベントとしてだけでなくいつでも好きなときに絵本をつくれるようにしてあげたい。CAMPさんのiPadを常時使わせていただくわけにもいかず、継続利用のためのiPadをどうするかが悩みのタネでした。
このたびありがたいことに、iOSコンソーシアムさんのご支援で チャイケモへiPad2 20台を来年3月までの1年間貸していただけることになりました。
本日発信のプレスリリースは こちら>>
さっそく先月は大学病院の院内学級で利用させていただきました。
これまで病院を訪問する活動については書いてこなかったのですが、今後は、このブログでもときどきは紹介させていただきますね。
3月16日にチャイケモ主催で開催された小児がん拠点病院のシンポジウムで、印象に残った言葉があります。阪大病院の分教室の九後先生が
「入院している子どもにとって学校は社会の橋渡しである」
と話してくださったのです。
長期入院中の子どもたちにとって、教室は格別の場所です。
ご支援いただいたiPadを有効に活用して、微力ながら、チャイケモなど専門治療施設で闘病中の子どもたちのための学びの場づくりのお手伝いをしたいと思っています。
「夢の病院をつくろう チャイルド・ケモ・ハウスができるまで」 (ポプラ社)
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2018年追記:小児がん専門治療施設としてスタートしたチャイケモ、現在は小児がんをはじめとした医療的ケアが必要な子どもと家族のための施設となっています。