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「ピッケのおうち」が幕を閉じます


最初のピッケ「ピッケのおうち」が幕を閉じます。少し前からどのブラウザでも Flash Player をオフするよう促していますし、多くの環境で既にもう動いていないことでしょう。Good Grief のサイト内で細々と始めたのは、かれこれ20年前。昔語りは退屈かもですが、自身の区切りのために書き留めます。

20年前、ややもするとコンピュータは小さな子どもにとって良くない、与えるべきではないと言われていました。 確かに当時は、大きい子向けの戦う系のゲームやお勉強のための知育ソフトがほとんどで、小さな子どもが楽しめるものは見当たりませんでした。とはいえ、これからの子どもたちは生涯、コンピュータやインターネットと付き合っていくことになるでしょう。その最初の出会いを幸せなものにしたいと願いつくったのが、親子であそぶWebsite「ピッケのおうち」でした。無いならつくろうとしたのです。

ICTへのネガティブな見方、懸念を、払拭したいという思いもありました。
80年代はパソコン(AMIGA)、90年代はSGIワークステーションで 3次元コンピュータグラフィックスでの「創る」に夢中になった私にとって、ICTは創造をエンパワーしてくれる頼もしい味方でした。ICTは「創造」をより自由にします。きっと将来、子どもたちそれぞれの得意や好きと結びついて世界を拡げてくれるでしょう。その可能性を低く見誤り、旧世代の狭い了見で遠ざけてしまうのは、もったいなすぎます。

1995年私の住む神戸は大きな地震に見舞われました。震度7に揺さぶられ、いろんなモノが覆りました。見慣れた街並みも、自分の内面も、大きな音をたてて。
元からその傾向はありましたが、効率重視の消費社会が意味ないものに思え、単なる「商品」をつくる気がすっかり失せてしまいました。

交通が遮断され自宅のライフラインも復旧せずホテル暮らしが続く中で、一部区間が復旧した電車とバスを乗り継ぎ、久しぶりに帰宅できることになりました。
三ノ宮駅までは電車、行列に1時間並んで臨時バスに乗り換えます。灯りのない真っ暗な闇の中を、地球が怒りをあらわにしたかのようなむきだしの傷口を走る車中で、乗客はみな無言です。車窓から変わりはてた街並みを眺めるとき、どうしようもない喪失感に襲われました。でもその直後、「でも大丈夫」と思える何かが、みぞおちのところに沸々と湧き上がってきたのです。まるであたたかな太陽が昇るように。自分でも思いもよらぬことで、この根拠のない「大丈夫」は、一体どこからきたのだろうかと不思議でした。その源泉は、幼い日に注がれた有形無形の愛情で培われたものにちがいなく、自分の根っこにそれが在ることに、私は深く感謝しました。

これからの自分の時間をどう使おうか…。
お気楽な理想主義者、偽善と言われても、自分の時間を社会を良くすることに費やしたい。何も大きなことではなく、身の丈にあったことで。
震災時すでにフリーランスではありましたが、企業のプロジェクトに関わっていたこともありすぐとはいかず、数年かけ少しずつシフトして、2001年に自分の事務所を開いた辺りから気持ちに沿う生活となりました。その頃ピッケも始めました。
子どもを幸せにすること、子どもたちに「大丈夫」の源泉を育てることに、ささやかであっても役立ちたい。そう願い続け、今に至っています。とは言っても大してできているわけでもなく、ご一緒できる仲間のいるごく限られた場で、小さく続けているだけですけれど。

かつて「ピッケのおうち」で遊んでくれた子どもたちの中には、きっと成人を迎えた人もいますね。2005~13年に常設されていたキッズプラザ大阪で、あるいは、2007年12月からの2年間「キッズ@nifty」公式コンテンツとして、幼児~小学生だった世代に一番あそんでもらったかなと思います(昔はインターネットを、契約している ISP – Internet Service provider – のWebsiteを入口に使うのが主流でした)。何年か前に、男子大学生から子どものとき毎日あそんでたとメッセージ届いたのは嬉しかったな。ピッケと遊んでくれた子どもたち、ありがとうございました。
寂しい気持ちはあるけれど、役目を終えたと感じます。

一方「ピッケのつくるえほん」のお話づくりは、まだまだ役目があると思っています。「ICTで創ろう。子どもたちに物語る楽しみを」これはしつこく続けます。

親子であそぶインタラクティブ絵本「ピッケのおうち」 12月31日まで
https://www.pekay.jp/house/

こんな感じでした。
おうちステージでの遊び(movie 1分30秒)

リズムのもりステージ(movie 1分52秒)

もし未だ Flash Player をオフにしていない奇特な方がいらしたら、マウス操作のパソコンで「 Flash Player を許可」すると12月末まで動きます。

9か月ぶり「ピッケのつくるえほん」ワークショップ@豊橋


11月14日土曜日、快晴。9か月ぶりに外国ルーツのご家族が多く暮らす地区へ出かけてきました。この日はNPO法人フロンティアとよはしさんの主催です。

前回からずいぶん長くあいてしまい、新型コロナも第3波到来と言われる中で、はたして参加者あるだろうかと心配でした。案の定、開始時刻になっても誰も来ません…。公園で遊んでいる子などに声をかけたところ4人が参加してくれました。(団地内で見かける子どものほとんどは外国ルーツです)
会場は窓を開けて、私たちスタッフも子どもたちも検温と手指消毒。
4人とも初参加で、学校のお友達にあげる絵本をつくったり、中央図書館の司書さんに絵本を読んでもらったり、それぞれ楽しんでいました。

今のところ、市民ボランティアによる活動を月1回のペースで再開する予定です。
新型コロナの感染状況により変更はありえますが、次回は12月12日土曜日、午前は市営西部住宅、午後は県営岩田住宅、それぞれの集会所で開催します。

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使用アプリ:  ピッケのつくるえほん for iPad
ピッケに関するお知らせやレポート:  Facebookページ「ピッケ」
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大学でゲスト講義


愛知淑徳大学 人間情報学部(佐藤朝美先生)でゲスト講義を担当しました。
まず3年生の授業から。リモートと対面半々と聞いていたのに、嬉しいことに全員が来てくれました。事前のオーダーは、「学生さんたちに社会へ眼を向けてほしい。子供向けの活動で心がけていることやその醍醐味を伝えてほしい」とのこと。それをうけて、活動の動機やねらいを、活動のデザインについては「物語世界に子どもたちが浸りきって遊べるよう全体をデザイン」した具体例として IDEA R LAB での3つのワークショップを紹介しました。
 ピッケ おはなしのもり 絵本づくり
 廃材リユース(妖精)×ピッケ
 廃材リユース(楽器)×ピッケ
活動事例としては、社会課題に関わる2件 ー愛知県での外国籍の子どもたち対象事例と、病児訪問活動のコロナ禍での対応ー に絞って詳しく話しました。

4年生の授業では、目下追い込み中の卒業制作や卒論をプレゼン頂きコメント。例えば、こんな取り組みもありました。東郷町「いこまい館」(親子向け施設)の空間改善策のひとつとして、もっとも利用の多い年齢層である1歳児がハイハイでくぐって遊べるトンネルを段ボール箱でつくり利用してもらい観察。ところがコロナ禍で当初想定していた活用が見込めなくなったために、家庭での利用に転用した。着眼点、実践力とも素晴らしいです。
学生さんと話すのは新鮮で楽しく、私にとっても学び多い一日となりました。

青森の中学校とオンライン授業


同志社中学校と風間浦中学校の4日間に渡るオンライン交流研究会の最終日、同志社中学校 反田任先生のコーディネートで、風間浦中学2年生の授業を担当させて頂きました。

風間浦村は、津軽海峡に面した本州最北端の村。同志社との縁は1864年にまでさかのぼります。同志社創立者である新島襄は、函館へと向かう航海中、悪天候に見舞われ風間浦の下風呂港に寄港、2日間滞在しました。その史実に因み1992年に新島襄寄港記念碑が建立されたのを機に両校の交流が始まったのだそうです。以来、年に一度、風間浦中学校の2年生全員が、先生や教育委員会の方の引率で京都を訪れ、大学キャンパスを見学し外国からの留学生と交流したり、同志社中学生と授業や課外活動を共にする交流を続けています。毎年ではないですが、同志社中学の生徒(生徒会の生徒さん)が風間浦中を訪れての交流もされています。

昨年度は、ちょうどその同志社来訪中にピッケの絵本づくりをさせて頂きました。(昨秋の同志社中学での授業の様子
今年度は Covid-19感染予防の配慮からリアルでの交流はできなかったものの、代わりにオンラインで企画なさり、嬉しいことにそのプログラムのひとつとしてピッケも加えてくださったのでした。

今年の2年生も画面越しの「ハイ!」の声が大きくて元気いっぱい。「休憩要らないです」と授業2つ分=90分を連続で最後まで。集中力とあふれるアイディアに感心しました。後日、完成作品を拝見するのが楽しみです。

風間浦村は、村をあげて、子どもたちや教育をとても大事になさっていると感じます。それは、取組みの熱心さ、生徒さんへの接し方からも伝わってきます。
村の世帯数は わずか905世帯。私の住んでいる神戸の某町某丁目の世帯数より少ないのです。にもかかわらず、村立の小学校と中学校がひとつずつ在ります。
教育現場のICT環境も最先端です。2017年度から小学校高学年と中学生はiPadひとり1台の環境で、しかも中学生は自宅への持ち帰りOKなので我が物として使いこなしています。
生徒だけでなく先生方も学び続ける意欲にあふれていて、同志社中学の協力でICT研修会も開催されています。

オンライン授業のさいご、反田先生が「なにかひとこと」と振ってくださったので、ついこんな話をしました。
ICTを、ぜひ「創造(Creation)」 に活かしてください。その手元のiPadみたいなものの中に入ってるだけではないのですよ。ICTは、皆さんの「創る」を助け大きな力になります。生活の中のどんなモノとも結び付いて何にでも化けます。ICT、デジタルを何のためにどう使うか、考えるのは楽しいですよ。ぜひアイディアを出し創る人になってくださいね。

反田先生をはじめとする両校の皆さんのおかげで、今年も風間浦中の生徒さんと絵本づくりができて、晴れやかな心持ちとなりました。

写真を追加(ブログを公開したところ「これも使ってください」とお送り下さいました)

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同志社中学校(英語)、風間浦中学校で導入されています:
iPadアプリ「ピッケのつくるえほん for iPad」
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高校でゲスト講義


茨城県立竜ヶ崎第二高等学校で、2年生、3年生それぞれ2時間の授業を担当させていただきました。お招きいただくのは5回目です。いずれも人間文化科の授業で、Winソフト「ピッケのつくるプレゼンテーション」を使って絵本をつくりました。訪問当初はパソコン教室のデスクトップパソコン、2年前からは普通教室でHP製タブレットPC(キーボード着脱タイプ)を使っての制作となりました。タッチパッド、指またはペンでの画面タッチのいずれもできるので、それぞれ好みの方法で操作していました。

2年生は事前にアイディアラフを描いてくれていました。昨年度も体験している3年生は、保育検定の出題も意識してテーマを選びます。お手伝いや初めてのお使い、お母さんとはぐれてしまったオバケちゃん、雪あそび、積木あそび、ケンカと仲直り、ひとりで寂しい→あそぼう!を言える 等、様々なお話が生まれました。

完成した絵本は製本して、保育実習で子どもたちに読んであげたあと園にプレゼントされます。さらに優秀作品については、「茨城アジア教育基金」を支える会の皆さんによって翻訳されラオスの子どもたちへと届けられます。

竜ヶ崎二高の生徒さんたちは、皆さんとても元気がよく創る意欲も旺盛で、毎年の訪問が楽しみです。

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学校向けWindowsソフト「ピッケのつくるプレゼンテーション:https://www.pekay.jp/pkp/
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科学館の絵本づくり@多摩六都科学館(西東京)



10月18日(日曜)は、多摩六都科学館で外国にルーツをもつ小学生対象「科学館の絵本をつくろう!」ワークショップでした。展示に着想を得たフィクションや「しくみの部屋」のからくりの面白さを精密に描くノンフィクションなど思い思いの絵本が完成しました。

写真付詳細は、多摩六都科学館のFBページでご覧いただけます。

おへやでピッケ@新潟


新潟の2つの病院で「おへやでピッケ」が始まりました。チャイルド・ケモ・ハウス(愛称:チャイケモ)さんと続けてきた入院中の子どもたちを訪問する「おでかけピッケ」がコロナ禍でかなわなくなり、代替にと考えた貸出型のピッケです。

前半は新潟大学医歯学総合病院の小児科病棟へ。嬉しいことに、ドクター、師長さん、保育士さん、CLSさん小児科のどなたもが歓迎してくださり実現へ向けて動いてくださいました。お忙しい中で時間を捻出してくださった保育士さん、CLSさんと事前オンラインレクチャーができたのも有意義でした。
いま子どもたちの入院生活は、感染症への心配からますます制約が増えています。家族の付き添いさえ時間や人数を制限され、楽しみな保育士さんとの時間も、ひとり1日30分のみ。保育士さんからすれば、その貴重な30分にピッケのフォローまで増えるのですから大変です。次の子へ渡す前にはアルコール消毒をしたりの手間もかかります。それなのに、ぜひしましょうと言ってくださり、ほんとにありがたいです。

新潟大学病院での2週間のあとは、続いて新潟県立がんセンター新潟病院小児科病棟へ貸出の予定です。

受け入れの新潟側で奔走してくださっているのは、大和紀子さん。「がんの子どもを守る会」の新潟支部幹事、新潟大学病院小児科病棟親の会「SMILE(スミレ)の会」のメンバーとして、闘病中の子どもたちやご家族の力になりたいと活動なさっています。ピッケで訪問させて頂いている京大病院や大阪府の母子医療センターもですが、ご自身のお子さんを亡くされた元患児の親御さんたちやその活動グループに、いつも助けて頂いています。

長年ご一緒させて頂いているチャイケモも、小児がんで闘病中の子どもたちやそのご家族にとって理想の病院をつくろうと、元患児家族やご自身もサバイバーの医師を中心に設立された医療施設です。

さらに今回は、山梨の「星つむぎの村」さんにも大変お世話になり、数が足りない iPadまで貸して頂きました。(闘病中の子どもたちへ星空を届ける「病院がプラネタリウム」「フライングプラネタリウム」をなさっています)

こんな時だから尚さら闘病中の子どもたちへお話づくりの楽しみを届けたい。とはいえ私ひとりではどうにもならないところを、網の目のような人の繋がりのおかげで、子どもたちのもとへ届けることができています。皆さんありがとうございます。
新潟の子どもたち、どうぞお話づくりを楽しんでくださいね。

※ 「おへやでピッケ」は、公益財団法人ノエビアグリーン財団の助成を受けています。

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使用アプリ:  ピッケのつくるえほん for iPad
ピッケに関するお知らせやレポート:  Facebookページ「ピッケ」
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# 新潟でのスタートのタイミングで「ピッケとがーこ」の再放送が始まりました。なつかしいNHKエデュケーショナル「てれび絵本」チームの皆さんからエールを送られたようで嬉しいことでした。

チャイケモでピッケとコーヒー


チャイルド・ケモ・ハウス(愛称:チャイケモ)で、滞在中の患児さんご家族やご自宅からオンライン参加のご家族を対象にしたイベント「ふらりカフェ」がありました。
美味しいコーヒーを飲みながら( by 日本コーヒーフェスティバル実行委員会)、おしゃべりをしたり絵本をつくったり。お子さんたちが眠ってからほっとできる時間がもてるようにと、今回は夜23時までのオープンです。私はひと足先に抜けさせてもらいましたが、夜が更けるほど保護者の方が多くお見えになったようです。

合間に翌週から新潟で始まる「おへやでピッケ」の発送準備もしました。

公開OKの絵本は、チャイケモでの展示用に1冊余分に製本。消防車の表紙は3人の息子さんへ贈るパパ作です。この可愛い絵本箱は於保さんが作ってくれました。

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「アアルト展」@竹中大工道具館


地元で大人しくしてます。竹中大工道具館の「アアルト展」へ。ボリュームは少なめなものの、建物と展示がよく合っていて素敵です。激動の時代を生きたとわかる年表や創業時のマニフェストも読み込んでしまいました。常設展示も道具好きには堪らぬわくわく感。触れる系展示が多く、このご時世どうなっているかしらと思いましたが、消毒の徹底でほぼ平常通り(木工室は閉まっています)。おかげで、これまでは混雑や誰かと一緒だったりで存分にとはいかなかった体験展示も、墨を引き組木もして、と満喫できました。

おへやでピッケ@チャイケモ


チャイルド・ケモ・ハウス(愛称:チャイケモ)さんと入院中の子どもたちを訪問し絵本づくりの楽しみを届ける「おでかけピッケ」。スタートからかれこれ7年が過ぎました。コロナ禍で外部者の立ち入りが叶わなくなった今年度は、急遽オンラインに計画変更。1週間ピッケの入ったiPadを貸し出しますので、闘病中の子どもたちはもちろん付添いのご家族の方にも、それぞれのベッドサイドで絵本づくりを楽しんでもらえます。名付けて「おへやでピッケ」です。
ノエビアグリーン財団さんの助成のおかげで新しいiPadも6台購入でき、何度かのお試しや打合せを経ていよいよ本番。初回の今日は、いつもはサポートしてくださる側の病院ボランティアNPOの方も創る側としてご参加くださり、なごやかな良い時間となりました。

※ 2019年度2020年度の「おでかけピッケ」「おへやでピッケ」は、公益財団法人ノエビアグリーン財団の助成を受けています。
チャイルド・ケモ・ハウス(チャイケモ)
2013 年4月神戸に開設された国内初の小児がんをはじめとした医療的ケアが必要な子どもと家族のための施設。患児家族らにより設立、運営されている。医師のいる診療所と患児が家族とともに暮らせる住居がひとつの建物内にあり、家族一緒に暮らしながら治療を受けることができる。

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