Category: 豊橋

放課後子ども教室でピッケ@豊橋市立岩田小学校


放課後子ども教室でのピッケ絵本づくりに同行させていただき、お手伝いしてきました。昨年度も数回実施なさっている豊橋市中央図書館によるアウトリーチ。見学させていただくのは初めてです。

週末に集住地区で行ってきたワークショップと同様に、外国ルーツの子どもたちが対象です。違うのは例えば次のようなこと。
平日の放課後教室内での実施ゆえ、親子ではなく子どもたちのみ、したい子だけの任意参加です。導入や発表会など皆でそろってする進行ではなく、個別対応となります。理由は、授業の終わり時間が学年によって異なる上に、最初にする宿題に要する時間も、保護者がお迎えに来る時間もまちまちなため。なので、仕上がらない子も多くて、前回の続きからつくる子もありました。

まず1年生がやって来ます。わいわい宿題をしている頃に中学年が、終り頃に高学年の子たちがやって来て、この日は20人前後の外国ルーツの子どもたちが訪れ、その中で、絵本づくりをした子は16人、印刷、製本までした子は6人でした。宿題を終えると、校庭を走り回って遊ぶ子も多いです。

以前岩田住宅の集会所で参加してくれた子もいて、日本に来たばかりの同級生のために、ビサヤ語で通訳してくれました。特に低学年では、未だ日本語がおぼつかない子が多くて、同じルーツの子が通訳しながら教えてあげていました。岩田小学校の外国ルーツの子どもたちは10年前にはブラジル出身の子が大半であったのが、今はフィリピン、なかでもミンダナオ島出身者が多くなっているそうです。

週末のワークショップでは一律45分程度の短い制作時間となるのでお話は文字よりも録音を優先しています。対してこの放課後教室ではそれぞれのペースでできますし、簡単な日本語での文字入力までできるとよさそうです。繰り返しなぞり書きする日本語ドリルが辛い子も、覚えたひらがなをすぐ使って絵本がつくれればドリルにも張り合いが出るかも。

指導員の先生が4名いらして、勉強もみながら、多言語で通訳をし、生活の基本ルール、例えば 挨拶する、人を指差さない、他の人と話しているときは待つ、なども気づいたその場で伝えています。てんてこ舞いの忙しさの中での熱心な指導は、母のような愛情にあふれていました。迎えにきた保護者ともよくコミュニケーションをとっていらして、保護者(母親)にとっては情報を得ながら母語で話せるひとときとなっている様子です。

岩田小学校を含む2校には、来日したばかりの子どもたちのための国際学級(プレクラス)があり、基本的な生活習慣や必要最小限の日本語を教えているそうです。就学前の幼児向けにも同様の目的の保育園(プレスクール)があります。中学生に対しては、昨年4月に日本語初期支援校「みらい」が、岩田小学校のすぐ近くの市立豊岡中学校に開校したそうです。指導員の方やボランティア参加の伊藤元館長から、様々な支援の仕組みがあることを教えて頂けて、良い機会となりました。

集住地区(西部住宅、岩田住宅)へ出かける次回は、6月8日土曜、ワークショップ形式で行います。3か月ぶり、子どもたち来てくれますように(間があきすぎてて かなり不安…)。

今後の開催など決まれば、豊橋市図書館のFBページ に情報が出ます。 豊橋市図書館のFacebookページ>>

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「ピッケのつくるえほん」ワークショップ@豊橋


外国にルーツのある子どもたちを対象とした愛知県豊橋市でのワークショップ、今年度の初回は5月5日こどもの日。諸事情で今回は居住区まで出かけることができず、中央図書館での開催となりました。

いつものように、学校経由で西部住宅に住む外国ルーツの子どもたちへ告知してくださったのですが、残念ながら参加はゼロ。予想はしていましたが、図書館へ自分たちで来てもらうのは未だ早かったとわかりました。

そんなわけで日本人ばかりとなったものの、4~15歳の幅ひろい年齢層の子どもたちと絵本づくりを楽しみました。

今年度は、毎回テーマを決めてお話をつくってもらう予定です。初回は「○○のぼうけん」。小学1年生女児は空へ飛んで行きました。

自習室での勉強を終えた中学生たち。途中からの参加ゆえ半分ほどの制作時間にもかかわらず、追い上げました(録音は無し)。さすがの集中力。

外国ルーツの子どもたちにとって、図書館はまだまだ遠い。さてどうするか。
今しばらくは彼らのコミュニティへ出かけ、次のステップでは、迎えに行って一緒に図書館まで来て館内を探検するなど、子どもたちの様子を見ながら段階的に図書館に親しんでもらえるよう、関わる皆で考えます。
物語を読んでもらう+物語をつくる で言葉の楽しみを知り、子どもたちだけでなく保護者にも図書館まで足を運んでもらって、いずれは図書館が外国人支援の一拠点となれるように。

そもそもは、昨年度、豊橋市が文部科学省からの委託を受けて始まったプロジェクトでしたが(と言っても正式決定は夏前だったので始められたのは10月、実質は半年)、文科省がこの「地域の教育資源を活用した教育格差解消プラン」自体を終了したので、今年度からは豊橋市図書館の自主企画となりました。
元館長の伊藤孝良さん(ボランティア)を要に、図書館職員の田中さん冨田さんはじめ、スタート時からのメンバーも各人のリソースを持ち寄って手弁当で続けます。名古屋大学大学院准教授の小川明子さん、もちろん私も。名古屋大院生の李旭華さんも頼もしいです。
次回は、市営西部住宅と県営岩田住宅へ出かけます。「次はいつ?」と楽しみにしてくれてた子どもたちと、またお話づくりができますように。

継続して来てくれる子が増えるといいなとスタンプカードをつくりました。

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「ピッケのつくるえほん」ワークショップ@豊橋


3月3日ひなまつりの日曜、豊橋市中央図書館のアウトリーチとして、外国ルーツのご家族が多く暮らす地域へ出かけ、絵本の読み聞かせとピッケの絵本づくりをしました。午前は市営西部住宅の集会所で、午後は県営岩田住宅の集会所で。どちらの会場も前回に続き3回目です。

会場に着くと、子どもたちが歓声をあげて走り回っています。開始前、しかもこんなに大勢の子どもたちが集まってくれたのは初めてです。
ギャングエイジに入るか入らないかくらいのエネルギーあふれる男児たち。前回はトリオだったのがさらに人数増え、それはそれは(ごく控え目に言って)賑やか。おもちゃの銃でバキュン!しながら、跳ぶわ、走るわ。でも、伊藤館長の読み聞かせが始まると、最初はふざけていたのが、徐々に聞き入っています。

お話をつくり始めると、銃を置いて没頭していました。とはいえ、自分ができあがると、また大騒ぎに戻るのですが。男児はほぼ全員がそんな具合。でも、つくる時はどの子もぐっと集中します。

駆け回る男児のひとり、参加2回目フィリピン2年生男児の録音。見開きごとに「**が**しとる」(「しとる」は「している」の豊橋弁)S+Vの1文が基本。しかし徐々に表現を工夫し始めます。「どんぐり」といった単語が出てこないなど語彙に苦労したり助詞の選択ににとまどったりしながらも、S+V+Oとしたり「**で」と場所を補足してみたり。「雨が降っとる」といちど口にしたのを自分で言いなおし「くもりが雨になりました」と再録音したりもしました。描きたいシーンにぴたりとくる言葉や表現を探す様子に、良い作品にしたいというあふれる気持ちが感じられます。

言葉以外のところでも、気づくことがありました。例えば、「ハサミで切る」が難しい子がいます。ひとりの小2年生は、刃を大きく開き、そのままナイフのように握って、力で切ろうとしました。一方、外国ルーツの子であっても日本で幼稚園や保育園に通っていれば、園で習うのでハサミを扱えます。ちなみに、今回から入ってくれた名大大学院生の旭華さんによると、中国の家庭では、刃物は危ないので幼児には触らせず、小学校へあがってから学校で習うのだそうです。確かに考えてみれば、私を含め多くの日本人も、自然に覚えたわけではなくて、幼い頃に家庭や園で教えられ練習したからこそ、できるようになったのですよね。このハサミの件に限らず、自分の狭い「あたり前」に囚われたうかつさから気づけていない点が多々あるに違いなく、感度を上げねばと思います。

何人かの子たちは、事前にどんなお話をつくるか考えて来ていました。例えば初参加の姉弟のふたりが考えてきたのは、こんなお話でした。
小3姉「うさぎとくまを思いついて。崖から落ちるところから始めて、あとは作りながら考えた」
小2弟「フィリピンへ行ったとき考えた。1年のとき行って、それがお話になった」(本人弁まま)

午前の西部住宅は、初回に来てくれた小2女児を中心とした口コミ広がりなので、同じ2年生が大半を占め、親を伴なわず子どもたちだけで来ています。当初の計画では親子での参加を想定していたのですが、対小学生では、まず子ども、それから子どもが親を誘って一緒に参加とするほうが無理がなさそうです。

とくに男児は大騒ぎでヤンチャしている時と集中してつくっている時とのギャップが大きくて、そこに可能性を感じます。後者の時間割合が増えるように、「制する」のではなく、場のつくり方、カリキュラム、ファシリテートで工夫したいです。どの子も、前より良い作品をつくりたいと願い挑戦しているので、今後はテーマを設けるなど、次のステップへ進めてみます。録音時や発表時の「音」の質を上げることも課題です。

午後の岩田住宅は、午前と打って変わって落ち着いた進行に。

こちらも前回参加の子たちの口コミで増えました。フィリピンの4年生女児は数人の友だちを伴って

ブラジルの小5男児は5歳の妹さんと一緒に来てくれました。自治会の舛木さんが、日本語を解さない兄妹のためにポルトガル語の通訳をしてくださいました。

図書館の冨田さんが日本語の絵本を、ブラジル人のお母さんがポルトガル語の絵本を読んでくれました。

弟へ贈る絵本をつくったフィリピンの1年生男児は、ビサヤ語等が母語。日本語も話すけれど、録音は英語でしていました。理由を教えてもらったところ、お父さんは仕事で日本語を使うけれどお母さんは家の中だけなので日本語は話さない。日本語だと言いたいことが100%言えないこともあり、伝えたいことがいちばん言いやすく、家族全員が理解できる英語にしたとのこと。

子どもたちを取りまく母語や日本語の環境、習熟度、家庭の事情もそれぞれで、丁寧にみていかねばとあらためて思います。ワークショップを終えてからの図書館の皆さんとのふりかえり、名古屋大学の小川明子さんの明晰なアドバイスもありがたいです。

2つの会場とも「次はいつ?」と子どもたちから尋ねられました。「どんどん楽しくなってきた。またつくりたい!」と。
3回目にしてようやく定着してきた感。来年度もなんとか続けたいです。

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「ピッケのつくるえほん」ワークショップ@豊橋


豊橋市中央図書館のアウトリーチとして、外国ルーツのご家族が多く暮らす地域へ出かけ絵本の読み聞かせとピッケの絵本づくりをしました。午前は県営岩田住宅の集会所で、午後は市営西部住宅の集会所で。どちらの会場も前回に続き2回目です。

午前回。フィリピンにルーツのある4年生の女の子が、学校でもらったチラシを手に来てくれました。完成したのは、来月生まれてくる赤ちゃんへ贈る絵本。

上にお姉ちゃんがいるので、弟だといいなぁと楽しみにしているそう。

ブラジル人学校に通う9歳の男の子は、お母さんへ贈る絵本をポルトガル語で。

「素敵」をタガログ語とポルトガル語でそれぞれ何と言うかを、教えてもらいました。
ブラジルルーツの2歳の女の子も、お母さんと一緒に好きな物をいっぱい並べてお話をつくりました。

午後回。前回参加のフィリピンルーツの女の子が友だち3人と転がるように駆けて来てくれました。ところが、定刻になっても集会所の鍵が届きません。男の子たちは、すぐにもつくりたくて、とても待てず、しばし青空ワークショップとなりました。寒さが厳しくない日でよかった。

エネルギーあふれる男児トリオは、ブラジルルーツ、フィリピンルーツ、日本人。女の子がよく気がついて操作を教えてあげていました。

日本語が得意でない外国ルーツの子にとって、絵や音声も使えるデジタル絵本は表現の自由度を上げます。とはいえ日本語必須というわけではなく母語の絵本でもOK。自由に表現し、言葉の楽しみに浸ることが優先です。
課題は、いかに外国ルーツの子どもたちに知ってもらい参加してもらうか。できればお母さんお父さんも一緒に来てほしい。そこも含めてのトライアルなので、図書館の皆さんが様々なルートでの声がけを試みてくださっています。なんと言っても子ども同士の口コミは確実に効果あり、徐々に増えていきそうです。
自治会の方たちも快く場を貸してくださりご親切です。団地の敷地内で日向ぼっこしてる人に話しかけたら、たまたま世話役の方で、子どもさんのある住民に声をかけ連れて来てくださいました。手伝いに入ってくれるブラジルルーツの2人の若者、ブルーノさんとさゆりさん(春から米国の大学へ進学するそう)は、通訳をしたり絵本を訳してくれたりで大助かりです。中央図書館の皆さんも、すっかり慣れたもので、大きな荷物を運び、絵本を読み、フル稼働。開催日がご自身の休日にあたるとお子さんを連れて参加してくれます。
気持ち良い場が育ちつつあり、タブレットがフル稼働となる日を夢見つつ、これからも続けます。

「3月に生まれる赤ちゃん」ルティさん(小4年)作

「A Aventura de Flufy」Thiagoくん(9歳)作 音声はポルトガル語

表紙)「フラッフィーの冒険」
① サーカスにあそびに行きました
② サーカスのあと、友だちのガブリエルと公園へあそびに行ってきました
③ 疲れたので家に帰りました
④ そしてとても疲れていたので寝ました
裏表紙)おしまい

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「ピッケのつくるえほん」ワークショップ@豊橋


豊橋市中央図書館のアウトリーチとして、三連休後半の2日間、ポルトガル語と日本語の絵本の読み聞かせとピッケの絵本づくりをしました。日曜は県営住宅の集会所へ、月曜は市営住宅の集会所へ。どちらも、外国ルーツのご家族が多く暮らす地域です。付近には、ブラジル料理の店やブラジルの食材を扱うスーパーもあります。

集会所横の掲示板には、緊急時の避難、車庫証明、就職面接会等について日本語/ポルトガル語での案内がありました。

お祖母さんがお孫さんにポルトガル語で、お母さんがお子さんにタガログ語で。それぞれのご家族で、絵本を母語で読んでもらいました。英語以外の外国語絵本となると書店でも手に入りにくく、参加者のご家庭でもほとんど持っていないそうです。母語で読める絵本がこれだけ揃うというのは図書館なればこそです。

続いて、ピッケの絵本づくり。
日本語が得意でない外国ルーツの子にとっても、また「文字」を知らない小さな子にとっても、絵や音声も使えるデジタル絵本は、表現の自由度を上げます。夢中でつくる子どもたちの様子に、絵本においては、絵も言葉であることを、あらためて実感しました。

お父さんがフィリピン人、お母さんがブラジル人の5歳の女の子は、裏表紙に「お誕生日おめでとう」と録音しました。あさって4歳になる弟にプレゼントするそうです。

製本後は発表会。( 絵本、iPad、プリンタに加えて、プロジェクタやスクリーンまで何もかも一式、図書館から運んで来てくださっています )

2歳の弟のためにつくった絵本を、さっそくお母さんと弟に見せてあげていました。

終了後のふり返りでは、伊藤館長や名古屋大学の小川明子さんをはじめとするチームの皆で、方向性を確認し、外国ルーツのご家族にもっと参加してもらえるようアプローチの方法も考えました。次回は2月3日です。

今後の開催情報などは、豊橋市図書館のFBページ をご覧ください。 豊橋市図書館のFacebookページ>>

今回の様子は、豊橋市図書館のブログでも紹介されています。

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「ピッケのつくるえほん」ワークショップ@豊橋


豊橋市中央図書館のアウトリーチとして、22日土曜はデイサービスセンターで、23日日曜はエコビレッジで、ポルトガル語と日本語の絵本の読み聞かせとピッケの絵本づくりをしました。
初日の会場は、センターというより「生活」の場のよう。子育て世代の職員さんがお子さん連れで出勤されていて、子どもたちは利用者とも仲良しです。赤ちゃん+お母さん~シニアが、思い思いに好きな場所でお話づくりを楽しみました。介護職員さんの中に数名いらした外国ルーツの方に、ポルトガル語の他、スペイン語の本も読んでもらいました。

2日目は「ちゃいるーかの森」(エコビレッジ「いるかビレッジ」内)。広い庭、菜園では野菜づくり、鶏やうさぎも飼育されていて、手作りのソーラーパネルまでありました。

ここも職員と利用者がボーダレスで、それぞれ子連れ参加。子どもたちにとってはほぼ「我が家」ですから、そのにぎやかなことといったら。

最初に、館長さんが日本語の絵本を、

続いて、スタッフのまりさんがポルトガル語の絵本を読んでくれました。

そのあと絵本づくり。18人もだったので発表会までは無理かしらと思っていましたが、録音、製本、全員の発表までできました。


完成絵本は、妹さんへ、お父さんお母さんへ等それぞれが決めた相手へプレゼントする約束です。


1月2月は、外国ルーツのご家族が多い地域の集会所へ出かけます。(日時や会場が決まったら、豊橋市図書館のFBページに出ます)

次回開催情報をチェック! >> 豊橋市図書館のFacebookページ 

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「ピッケのつくるえほん」講習会@豊橋市中央図書館


愛知県豊橋市が文部科学省「地域の教育資源を活用した教育格差解消プラン」の委託を受けて実施する、外国にルーツのある子どもとその親を対象にしたプロジェクトが始まりました。絵本を活用したインプットとアウトプットの言語活動を通して日本の言葉や文化に親しむとともに、母国の言葉や文化に誇りをもち大切にできることを目指します。もちろん、学力の基盤となる日本語の力を付けるねらいもあります。その中で、ピッケはアウトプットの言語活動を担当します。今日はまず、司書さんをはじめとする市立図書館の皆さんに中央図書館にご参集いただいての90分×3回の講習会があり、講師を務めました。皆さんさすがプロフェッショナルで、操作体験の短い時間で作品にまとめあげるし、活用についてのアイディアも出て手ごたえあり、今後が楽しみです。

2つの大学でゲスト講義


愛知県の2つの大学で、ゲスト講義をしました。

愛知淑徳大学 人間情報学部(佐藤朝美先生)では、アプリ開発をなさる3年生の学生さんを対象に、ピッケをデザインの視点から語りました。
事前のオーダーは「学生さんたちが開発する際、自己満足や自己実現の閉じたものにとどめずに、社会へ眼を向け、子どもを育む環境をつくる担い手となる意識をもてるように」とのこと。それを受けて、活動の動機やねらいに加え、次のように話しました。「ピッケのアプローチは、先にITありきではない。実現したいこと → そのための活動デザイン → ITが『創る』をエンパワーしてくれるので適所に取り入れる」。この順序が逆さになっている事例を時折みかけるもので、今さらとは思いつつ。あとは実践面。自身が開発したアプリを、頭を初期化して、使う人目線で試すことの大切さや、日頃の生活の中でもデザインの眼や心を鍛えることできますよ、といった話をしました。
4年生の授業では、卒業制作の中間発表プレゼンに対して、コメントさせていただきました。

豊橋創造大学短期大学部 幼児教育・保育科(佐野真一郎先生)では、将来、保育士や幼稚園教諭になる学生さんたちが学ばれています。企業でお勤めされてから、保育士になりたくて大学へ戻られたという方もありました。創造大では、Winソフト「ピッケのつくるプレゼンテーション」を導入してくださっているので、ひとり1台環境です。時間もたっぷり3時間頂けたので、講話だけでなく、おはなし絵カードで遊んでみたり、子どものアクションを引き出す物語づくりも、全員が発表するところまでできました。

授業後は、パワーポイントを駆使して作成した絵本作品を見せてもらったり、自分史をつくる課題が出ているらしく、持参の子ども時代の写真を示しつつ小学校での素敵な体験を話してくれたり(始業などの合図は、村の木で作ったという身長の何倍もある長ーいホルンを6年生が吹く、卒業証書は自分たちで紙漉きから等)、交流も楽しかったです。
創造大の佐野先生や学生さんは、昨年2月に開催した市制施行110周年記念事業市民提案イベントの時にも、準備~当日~撤収と大活躍してくれました。先輩たちの活躍を伝えながら、また何かのときは皆も手伝ってね、とちゃっかりお願いもしてきました。

大学でのゲスト講義が終わって、次は子どもたちとの絵本づくり。今夏も、東京を皮切りに、徳島、鳥取、長野、神奈川などへ出かけます! 一覧はコチラ>>

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ピッケのつくるえほん for iPad:http://www.pekay.jp/pkla/ipad
ピッケのつくるプレゼンテーション(学校向けWinソフト):http://www.pekay.jp/pkp/
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「ピッケのつくるえほん」ワークショップ @豊橋こども未来館ここにこ


9月9日(土)、愛知県豊橋市のこども未来館(愛称:ここにこ)でワークショップをしました。今回で6回目です。2月に「デジタルで創ろう!」を開催した同じ会場です。

お父さんと参加してくれた4歳の男の子は、連れてきた小さなぬいぐるみと一緒に、お母さんへ贈る絵本をつくりました。できあがった紙の絵本を、早速ぬいぐるみに見せていました。

今回、兄弟姉妹での参加が多くありました。4歳の双子ちゃんも。
4年生のお姉さんと2年生の弟くんは、どちらもいとこたちへ贈る絵本です。


別の姉弟の4年生お姉さんは、おじいちゃんへ贈る絵本をつくっていました。

あと3作品ほど紹介しますね。
「そらのたび」みそのちゃん(6歳)

「たのしいつみきあそび」ゆいちゃん(8歳)

「楽しい川遊び」いくとくん(11歳)

「ピッケ大好き!」兄妹が参加してくれました。5年生のお兄ちゃんは、はじめて好きになったキャラクターがピッケだそうです。嬉しいなー。幼稚園入園前から、雨で外遊びできない日に、お母さんと一緒に「ピッケのおうち」で遊んだとのこと。大きくなるにつれピッケに会いに行く回数が減っていたのけれど、昨年「久しぶりにピッケやりたいな」となったのをきっかけに、3つ年下の妹さんにも火が付いたのだそうです。
その妹さんが、お手製のピッケ専用モバイルパソコンを持ってきてくれました。

本体は靴箱のリユースで、マスキングテープで丁寧に装飾してあります。モニタ部分は「ピッケのおうち」「リズムのもり」のステージ他オリジナル背景を差し替えられるようになっていて、ピッケたちもマグネットで留まります。針金は「ケーブル」で、山の背景に斜めに貼ると良い感じでした。白紙片2枚が貼られた赤い球体は2つボタンのマウスです。背景画はシワにならないようフタに挿し込んでしまえるようになっていて、他一式はキーボードの下に格納できます。まさにモバイル。素敵なアイディアがつまっていました。

時期は未定ですが、また ここにこでピッケしますね。ここにこ通信やここにこのホームページをチェックしてください。
それまで待てない人は、創造大の今井ゼミ主催「CoderDojo豊橋」に参加すると、ピッケの絵本づくりができます。学生さんたちメンターにヒントをもらいながら、参加者各自がしたいことを自分のペースで進める講座です。大半がScratch等のプログラミング希望のPC利用者ですので、iPadでピッケの絵本づくりをしたい旨を伝えてください。原則、毎週火曜木曜 16:30~18:00、Webで事前申し込みが必要です。

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最初のピッケ:「ピッケのおうち」15年以上昔につくったもので、iPadやスマホ上では動作しません。マウス操作のパソコンでのみピッケと遊べます。
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「デジタルで創ろう!」キッズワークショップとシンポジウム in 豊橋@こども未来館ここにこ


2月11日、12日、こども未来館ここにこ(愛知県)で、豊橋市制施行110周年記念事業市民提案イベントとして「デジタルで創ろう!キッズワークショップとシンポジウム in 豊橋」(主催:らるご子ども教育研究所、共催:豊橋市、後援:豊橋市教育委員会)が開催されました。

子どもたちの生活にスマホやタブレットが急速に普及しています。ゲームで遊んだりムービーを見るなど消費者としての利用が多い中、デジタルで創ることの楽しさや拡がる可能性を伝えたくて、ゲームや絵本をつくる子ども向けワークショップと大人を対象にしたシンポジウムを実施しました。

初日午前はピッケの絵本づくりワークショップ、ここにこでのピッケは今回で5回目です。リピーターの兄妹は、おばっちシリーズの続編「おばっちの大冒険」をつくってくれました。
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6歳女の子作の物語は夜の光景から始まります。
きょうの動物園はもうおしまい。だんだん暗くなってきました。 (中略)
朝おきたら動物園はまっ白。みんなで雪合戦をしてあそびました。
IMG_作品_ゆきのひのどうぶつえん_ゆずきちゃん
録音をしてデジタル絵本、印刷して紙の絵本をつくり、さいごはデジタル絵本を上映しました。

午後は教育関係者や子どもの保護者を対象にシンポジウムを行いました。デジタルメディアを活用した創造表現活動による学びの方法や意味について共に考える場です。
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第一部は、佐野真一郎先生(豊橋創造大学)による司会進行のもと、プログラミング教育の第一人者である阿部和広先生(青山学院大学)、ピッケの開発者として朝倉、幼児×デジタルメディアの先駆的研究者である佐藤朝美先生(愛知淑徳大学)が登壇しました。
まず阿部先生から、プログラミング教育の最新動向についての解説があり、プログラミングは新しい表現手段、新しい学びとなり得ること、(小学校の義務教育等において)子どもたちと先生にとって取り組む価値がある と説明がありました。
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次に私からは、子どもの創る物語世界を紹介し「想像力と創造力は本来どの子どもにも備わるもの。私たち大人は、子どもの生来の力を信じて引出し伸ばすための支援をしましょう。そこにデジタルメディアは有効です」とお話ししました。
佐藤先生は、幼少期に身に付けた非認知スキル(社会情動的スキル)が将来の重要なキーとなること、レズニック氏の提唱する学びのスパイラル(想像→創造→実行→共有→省察…)で行うプログラミングや物語づくりといったデジタルメディアを活用したオープンエンドな創造表現活動は、非認知スキルの獲得を促すと学術的見地からお話し下さいました。
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続いて会場の皆さんによる自由討論、質疑応答のパネルディスカッションのあと、第二部は会場を移してハンズオンタイムとし、子ども向けワークショップで利用したプログラミング「ピョンキー」(ScratchベースのiPadアプリ)とおはなしづくり「ピッケのつくるえほん」を体験しつつ、活用方法など意見交換をしました。
シンポジウムには、豊橋のみならず、浜松や名古屋~岐阜から多数、大阪、奈良、東京、鹿児島からもご参加がありました。2020年度には、プログラミング教育が小学校で必修となる見込みです。まず教える先生に、その楽しさや面白さをぜひ知ってほしいです。参加された先生方が起点となって、「デジタルで創る」活動がよりよい形で広まることを登壇者一同願っています。

夕刻からは、阿部先生が講師となりプログラミングのファシリテータ講習を行いました。「ピョンキー」の操作指導とともに、ワークショップで子どもたちをファシリテートする際の留意点や場のつくり方、PCとタブレットの違いやその活かし方など、長年の実践からの貴重な知見を惜しげなくシェアしてくださいました。
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「野球で言うなら王貞治さんから直接指導うけるみたいなもの」という声も聞こえ、会場のあちこちで阿部先生にサインをもらったり記念撮影する様子が見られました。
学びは本来楽しいものであり、創ることにはあらゆる学びがつまっています。この日参加してくださった皆さんも、阿部先生の熱のこもった指導や実践に触れ、あらためて実感なさったのではないでしょうか。

2日目は、阿部先生講師で、ご自身も開発に携わった「ピョンキー」を使って子どもたちがオリジナルゲームづくりに挑戦しました。
前半は、基本的な操作を練習した後、iPadに内蔵された加速度センサーを利用しiPadを傾けるとキャラクターが動くといった高度なことまでやってみました。
後半は、3つのグループに分かれてゲームづくりです。まずは互いにジャンケンの手を撮影しあい、その3コマを高速ループ再生しボタンを押して停止させ、スロットの仕組みを理解します。
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そのあとグループ内で応用するアイディアを出し合います。絵を描いたり、自分たちでポーズをとって撮影しあったり、素材づくりから工夫してオリジナルゲームをつくりました。
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ゲームが完成すると、もう夢中で遊んでいます。全グループの完成を待って、テーブルを回って各グループの力作をお披露目しあいました。
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(後列は、大活躍してくれた創造大学の学生さんたちです)

午後回には地元のケーブルテレビの取材も入り、後日放映されました。

今回のイベントは、多くの方に支えていただき実現しました。なかでも豊橋創造大学の佐野先生と今井正文先生、学生さんたちには準備~当日の何から何までお世話になりました。おかげで充実の内容で無事終えることができました。
そして、終わりは始まりです。イベントだけの単発にとどめず、ここから輪を広げていきましょう。それができそうな手応えを感じました。
デジタルで創るのは楽しい!を、私自身も再認識できた2日間でした。
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写真を、Facebookページ「PeKay」でご覧いただけます。

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使用アプリ: ピョンキーピッケのつくるえほん for iPad
CoderDojo豊橋:初心者向けのプログラミング講座。創造大の今井ゼミにて毎週火曜に開催されています。Scratch、Pyonkee、Minecraft他いろいろ。希望すればピッケもできます。
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