Category: アート・映画

「BRIAN ENO AMBIENT KYOTO」@京都中央信用金庫 旧厚生センター


『BRIAN ENO AMBIENT KYOTO』来て良かった。神戸のジーベックホールでサウンドインスタレーションを観たのは1989年。
新しい領域を拓いて50年以上第一線で創り続けるってスゴいことだな。

会場の建物内どこにいても音が流れてる。

余韻に浸りつつそぞろ歩いて、渉成園。東本願寺の別邸らしい。暑さゆえ敬遠されるのか、広い庭に人陰まばらでほぼ貸切り。よく手入れされた回遊式庭園は、風が通って涼しい。街の喧騒は遠く、水の音、鳥のさえずり、庭師さんの鋏の音。ambient music の続き。

(京都にてmemo)

「ミニマル/コンセプチュアル:ドロテ&コンラート・フィッシャーと1960-70年代美術」@県美


関西出張中の友人と兵庫県立美術館の「ミニマル/コンセプチュアル:ドロテ&コンラート・フィッシャーと1960-70年代美術」へ。自分では選ばなかっただろう展示だけれど面白かった。スティーヴ・ライヒやフィリップ・グラスがやや遅れてほぼ同時期なのは、これらのアートからの影響もあるのでしょうか。大昔サンフランシスコのレコード屋さんで見つけ思い切って買った(4枚組Box!)『EINSTEIN ON THE BEACH』を聴き直したい気持ちになったけれど、もはや再生するプレイヤーが無いのでした。

「アアルト展」@竹中大工道具館


地元で大人しくしてます。竹中大工道具館の「アアルト展」へ。ボリュームは少なめなものの、建物と展示がよく合っていて素敵です。激動の時代を生きたとわかる年表や創業時のマニフェストも読み込んでしまいました。常設展示も道具好きには堪らぬわくわく感。触れる系展示が多く、このご時世どうなっているかしらと思いましたが、消毒の徹底でほぼ平常通り(木工室は閉まっています)。おかげで、これまでは混雑や誰かと一緒だったりで存分にとはいかなかった体験展示も、墨を引き組木もして、と満喫できました。

リニューアルオープンした京セラ美術館へ


京セラ美術館(元京都市美術館)のチケットを、本格的な暑さの前にと予約して、思い切って出かけてきました。特に建物(空間)と杉本博展がとても好みでした。旧い遺産が活かされ効いていて、気持ち良い空間になっていて。庭の存在もリニューアル前は知りませんでした。予約制のおかげで展示もカフェも贅沢に空いてるし、展示を欲張って3つとも予約したので、ほぼ1日ゆっくり過ごしました。建築模型の写真は、上が元の建物、下は今回のリニューアル。地面を緩やかなスロープ状に掘り下げ、正面玄関を地下1階に設けてあります。かつては気軽であった「美術館へ出かける」が特別なこととなりましたね。

「ミナ ペルホネン/皆川明 つづく」@兵庫県美


リニューアルオープンした京セラ美術館へ行きたいとは思うものの、予約サイトを覗いては閉じています。すっかり出不精になっていて京都を遠く感じてしまうのです。代わりというには随分ちがいますが、去年のMOTを見逃した「ミナ ペルホネン/皆川明 つづく」@兵庫県美を予約して出かけてきました。「洋服の森」はもとより、ものづくりの考え方を覗ける「種」の部屋も密度濃くて期待以上。
雨続きですが、久しぶりに気持ち晴れました。

読み手を信じる


今をときめく児童文学作家おふたりと京都でお会いする機会がありました。初対面にもかかわらず、すぐに緊張も解け、サインまで頂いてしまったのでした。

おひとりは、越水利江子(こしみず りえこ)さん。
すでに100冊以上を世に出されていて、児童文学にとどまらず、小説、ファンタジー、時代小説、絵本、伝記など幅広いジャンルを手がけられています。
そんな中から、子どもにも大人にも、できれば親子で読んでほしいのが『ガラスの梨 ちいやんの戦争』越水利江子 作、牧野千穂 絵、ポプラ社。

「ちいやん」こと小学3年生の笑生子(えいこ)の眼を通して、戦争で変わっていく日常の生活を描いています。モデルは越水さんのお母さんです。
大阪大空襲のシーンは、読んでいるだけで苦しくて胸が痛みました。書いた越水さんはそれどころではなかったでしょう。書きながらご自身も「ちいやん」として追体験し空襲の中を逃げまどったに違いなく、戦争のむごさ理不尽さを子どもたちに伝えねばと、苦しみながら筆を進められたのではと推察します。
そんな辛いシーンがあっても全体のトーンは健やかです。登場人物のひとりひとりが活き活きと立っていて、日々を生き抜く人間のたくましさや、繋がっていく命の尊さが、誠実に描かれています。成年兄やんが馬のクリの体を川の水で冷やしてやっているシーンは美しく、夕焼けの赤色が見えてくるようです。食べ物の描写も美味しそうなのですよ。難しい言葉や表現は使われていなくて、漢字にはルビがふってあるので、小学4年生くらいから十分に読めると思います。
巻末には68もの参考書籍・戦時資料がリストされています。おそらく資料を読みこむほどに怒りと悲しみが渦巻き、加えて今の時勢への危機感から、長年温めてこられたテーマを今こそ世に出さねばと使命感に似たお気持ちがあったのではないでしょうか。
牧野千穂さんの絵も上質で素敵です。

もうおひとかたは、楠章子(くすのきあきこ)さん。
『ばあばは、だいじょうぶ』楠章子 作 、いしいつとむ 絵、童心社 は、認知症を扱った絵本です。

「わすれてしまう病気」になってしまった大好きなばあばを、小学生の「ぼく」(つばさ)の視点から描いています。楠さんは、若年性認知症を発症したお母さんを15年以上も介護なさっていて、その経験をもとにした作品です。
ばあばの気持ちも つばさの気持ちも切なくて、胸がいっぱいになります。なかでもぐっとくるのは、忘れてはいけないとばあばが書いたたくさんのメモを一面に配した場面。この見開きにだけテキストが無い、すなわち静寂なのです。皆がばあばを探しに出払った空っぽの家のばあばの部屋でひとり、つばさとともに(つばさになって)、ひきだしの中のメモを1枚1枚手に取り読んでいる気持ちになります。さらに、あとがきの楠さんの文章にもまた、こみ上げてしまうのでした。「守っているつもりで、じつはいつも守られているのかもしれない。」
さいごを「うん、だいじょうぶ。きょうもわらっていこう。」でしめているのも、楠さんらしいなぁと感じました(って1回しか会ったことないのですけれど)。肩肘はってがんばるというのではなく、やわらかな方なのです。いしいつとむさんの絵が素晴らしくて物語とマッチしています。

おふたりにお会いして、つくるものには隠しようがなく作者自身が現れるのだと感じました。そして、おふたりの作品に共通すると気づいた点が2つあります。
ひとつは、取り上げるテーマ。それぞれ「戦争と平和」「認知症」という大切ではあっても、子どもへの伝え方が難しいテーマに挑んでいること。ご自身の経験や十分な準備の上に確かな筆の力で、見事に子どもへと届く物語と成り、結果、大人の読者をもひきつけます。
ふたつめは、読者への信頼があること。『ガラスの梨 ちいやんの戦争』では、焼夷弾が降る中、幼な友だちの皮膚がずるりとむけ、炎に包まれ黒くこげていく。そんな眼をそむけたくなるシーンもぼかさず描いています。『ばあばは、だいじょうぶ』には、わかりやすいハッピーエンドはありません。どちらも読者を、子どもだからと低く想定していません。読み手を信頼しているのです。

「きっと合うに違いないから紹介したい」と今回の場を設け引き合わせてくださった恩人は、東京からの日帰り。所用があると先に退席してしまいました。その後もいったい何時間おしゃべりしていたことでしょう。越水さんと楠さんは同じ児童文学界の先輩後輩として旧知の間柄で、おふたりのやりとりを聞いているだけでも楽しくて。越水さんは高校時代は演劇部、作家になる前は映画の世界で女優をなさっていたそうで、ご自身が歩んでこられた道がそのまま小説になりそうです。目下、大好きな土方歳三を、史実に基づいた伝記小説として執筆中とのこと。

そうだ、大事なお知らせを。
『ばあばは、だいじょうぶ』が映画化され、上映中です。つばさ役は寺田心くん、ばあば役は冨士眞奈美さん。ミラノ国際映画祭2018外国映画部門で、最年少での主演男優賞と最優秀監督賞(ジャッキー・ウー監督)のW受賞に輝いたそうです。私ももちろん、舞台挨拶付きの上映回チケットを購入済み。スクリーンで観るのが楽しみです。 公式Webサイトはこちら>>

世田谷文学館と日本民藝館


調布の小学校を訪ねる前に、「芦花公園」で途中下車して世田谷文学館へ寄ってみました。林芙美子展も面白かったし、ライブラリー“ほんとわ” は、子ども時代の日常にこんな場所があったら、どんなに嬉しいだろうと感じました。

別の日、静かなところでゆっくりしたい気持ちもあって「柚木沙弥郎の染色」展へ。ところが、平日というのに日本民藝館らしからぬ人出でびっくり。NHKで放映があったそうです。とはいえ、これだけ揃い、民藝館の環境、自然光で観れるのは貴重で、所蔵品のアフリカの面と取り合わせる等見せ方も素敵でした。

御影の小原流家元会館


小原流家元会館(神戸市東灘区御影)、クロージング展の最終日。
1月に見学させてもらった庭と建物をもう一度みたくて、「盛花」展の心づもりで出かけたら、そんなどころではなく。アニミズムの極致。地形活かした清家建築の独特なエネルギーとあいまって、圧巻でした。




胎内のような空間を抜け、モザイクタイルのオブジェを囲むらせん階段を上ると、広大な屋上庭園。遠く大阪湾~和歌山まで見渡せて、空には飛行機雲。

子どもの頃は「オハラリューんとこ左に曲がって」みたいな存在で、稽古に通ってたうん10年前も、入ったのは教場の建物まで。その奥にこんな広大な別世界があるなんて露とも知りませんでした。当時、新幹線でやってくる師範のマダムな方々の中ひとり初心者で、「お若い人」と呼ばれながら稽古してました。植物の立体構成で小宇宙つくるようで面白く、時間に磨かれた「型」ってスゴイ!と思いつつ。(もはや、すっかり忘れてしまったけれど)
教場へ続く石畳の坂。なつかしい。


清家清氏設計1962年竣工。経年劣化、バリアフリー化困難のため、やむなく閉館するとのことです。

石井桃子さんのドキュメンタリー映画


石井桃子さんのドキュメンタリー映画を観てきました。3本あるそうで、今日の上映はその3本目「かつら文庫」。小2お姉さんにくっついて”味噌っかす”で通ってた3歳男の子の 当時の様子×現在のインタビューなど。本で読んで知ってはいたつもりのことが情景となって立ち上ってくる感じでした。

教文館で観たバートン展とも繋がって、観に行ってよかったです。バートン展では、絵本の原画もさることながら、はじめて知った” Folly Cove Designers “のテキスタイルデザインが素敵でした。近所の主婦たちにデザインを教えることから始まったという設立の経緯もいいなーと。石井桃子さんも農業や酪農をなさったそうで、おふたりが気が合ったというのは、わかる気がします。生活に根ざした言葉は豊かで強いとも感じました。


7月には県立神奈川近代文学館で「石井桃子展」。今年は石井桃子さん没後10年、バージニア・リー・バートンさん没後50年ゆえ、様々な企画があるようです。訃報を知り書いたブログ、10年も経つのですね…。

子ども学カフェとミニチュア本の展示@慶應大学


子ども学カフェ@慶應大学は、上田信行先生による ” Playful “な学びの場!(踊りませんでしたが跳びはねました)。

続いての子ども学会理事会では、11月開催の学術会議などさまざまな計画。それぞれのご専門の視点での提案に感心してばかりでした。

隣接する慶應大学図書館で「豆絵本」の展示をしていました。
小さきものたち、愛おしすぎます。