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グッド・グリーフ!


事務所の屋号"Good Grief!"(グッド・グリーフ!)は、よく、グッド・リーフ → はっぱ? とか、グッド・グリーク → ギリシャ?と間違えられます。
実は、漫画"PEANUTS"の作者チャールズ・M・シュルツ氏の口癖です。「まいっちゃうよ」「やれやれ」といったニュアンス。その制作姿勢や世界観にあやかりたくて、あつかましくも屋号にしてしまったのでした。漫画の中で、登場人物のチャーリーブラウンがたびたび口にしますが、一般にはあまり使われない言葉だそうです。でも、とってもシュルツさんらしいコトバ。作品の根底にも、"Good Grief!" な空気が流れていると感じます。

子どもの頃から"PEANUTS Comic Strips"が大好きでした。
野球は負け続け、蹴ろうとするボールをルーシーに毎度引込められ、赤毛の女の子にはフラれて、いつもため息のチャーリーブラウン。成績はDマイナスだけどスポーツ万能、スヌーピーのことを犬じゃなく鼻の大きい子だと思ってるペパーミントパティ。ガミガミ屋で毒舌さえわたり、でも、シュローダーの前では時に女の子っぽい面も見せるルーシー。おませな妹サリー。ぬけさく鳥のウッドストック。どの登場人物も、輪郭がくっきりしていて実在しているよう。橋の上で、チャーリーブラウンとライナスが、ため息まじりに哲学的な会話をするシーンなんかも好きでした。漫画の中のアメリカ文化も新鮮で、スクールバスや夏のキャンプ、マシュマロを焼いて食べたり、春のイースターで卵を探したり。ハロウィーンも、ライナスがかぼちゃ畑で大王を待ち続ける漫画から知りました。

CGを始める前、神戸の子ども服の会社に勤めていたのですが、ラッキーなことに、スヌーピーの洋服と関連雑貨のデザインの担当になりました。大好きな"PEANUTS"の原画を、日本中の誰より先に見られるとっても幸せな職場です。そして、入社から数年たったある年の夏、なんと出張でシュルツさんの事務所を訪ねることになったのです。

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  その場で描いていただいたサイン、家宝です。

サンフランシスコから車で2時間たらずの小さな町、サンタローザ。シュルツさんが建て町の子どもたちに開放されているスケートリンクやテニスコート、野球やフットボールのグラウンドなどがありました。「シャイな方だから、出張者に会うことはまずない」と聞いていたのですが、アトリエの中にまで招き入れていただきました。シュルツさんは、アシスタントを使わず、罫線引きも墨入れも全部ご自分でなさいます。華やかなことを好まず、TV出演やインタビューなどは苦手で、サンタローザでの日々の生活を愛していらしたそうです。スタッフも気心の知れた最小限の人数、事務所もアトリエも、こじんまりとした居心地の良い場所でした。

シュルツさんは、2000年の今日亡くなられました。ご自宅で眠ったまま。

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訃報にふれ、ひとりでした追悼式。2000年2月
飾ったのは、平日版の最終回と新聞の切り抜き。

その翌日、日曜版の最終回が新聞に掲載されました。おだやかで愛と感謝に満ちたシュルツさんの言葉がありました。

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  プリントを事務所の壁に飾っています。

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Dear Friends,
I have been fortunate to draw Charlie Brown and his friends for almost 50 years.
It has been the fulfillment of my childhood ambition.
Unfortunately, I am no longer able to maintain the schedule demanded by a daily comic strip.  My family does not wish Peanuts to be continued by anyone else,
therefore I am announcing my retirement.
I have been grateful over the years for the loyalty of our editors and the wonderful support and love expressed to me by fans of the comic strip.
Charlie Brown, Snoopy, Linus, Lucy… how can I ever forget them…

—————2000.2.13 日曜版より——