今年度も「アートとこころのケア講座」(於:兵庫県こころのケアセンター)で講師を務めました。今年で5回目です。この講座では「病児や発達に困りごとのある子どもたちのサポート」に絞ってお話ししています。
体験時間には、お話づくりの楽しみを思い出してもらいたくて、5歳の頃にワープ。幼い頃のできごと、思い出す場所や人、言葉等をお話にしてもらいました。園の先生に手紙を書いたらお返事をくれた、ピアノが届いた嬉しい日、デパートへ出かけた(大食堂、屋上遊具)。皆さんが語るお話に、私も忘れかけていたなつかしい光景が蘇りました。(写真右上はデパートの屋上風景)
療育や医療的ケアの領域では特に、ナラティブモードの語りが助けになります。その際、インタビューなど言語のみだと向き合う二項関係になりますが、メディアを介することで三項関係となります。セラピストとクライアント、親と子ども、教員と児童生徒といった二項関係においては、前者にそのつもりがなくとも後者にとっては圧を感じてしまう場合があります。対して、両者が横並びとなる三項関係ではドミナントが弱まり、後者がリラックスしやすくなります。また、デジタルメディアであれば、文字のみによらず、絵や音声も総動員しての表現ができるので自由度があがり、これまでの手法では表出の難しかった思いを伝えることができます。インタラクティブに操作しながらの発話は物語の中に入っていきやすいです。全員に有効ではないかもしれませんが、良くデザインされたデジタルメディアは、発達に困りごとのある子どもたちの創造表現を助けます。
受講くださった内の何人かでも、デジタルメディアを介したお話づくりの可能性を感じ、ご自身が携わるお仕事や活動あるいは家庭へ持ち帰り活かしてくださる方があると嬉しいです。
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