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放課後子ども教室でピッケ@豊橋市立岩田小学校


外国ルーツの児童対象放課後子ども教室で絵本づくりをお手伝いしてきました。豊橋市中央図書館のアウトリーチです。

短い日本語の入力に挑戦。なぜだかカタカナで入力したい子が多くて、「オウチヘカエリタイ」までもがカタカナ。土曜は集住地区で今年度2回目のワークショップします。

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女子大でゲスト講義


7月9日。相模女子大学 子ども教育学科(七海陽先生)3年生の授業でゲスト講義させていただきました。

保育士、幼稚園教諭をめざす学生さんたちです。社会人聴講生の方もおひとり。
子ども教育学科では、「ピッケのつくるえほん」iPad版リリース当初から、かれこれ7年間、3年生の授業として絵本を作ってくれています。

帰路、七海先生から速報メッセージ「(受講した)学生が『魂が震えた』と」。大げさであったとしても嬉しいです。制作中の絵本も、まもなくできあがるとのこと。完成作品を見るのが楽しみ!

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「ピッケのつくるえほん」ワークショップ@豊橋


6月8日土曜日、豊橋市中央図書館の自主事業として、外国ルーツのご家族が多く暮らす地区へ出かけてきました。どちらも今年度になってからは初めて、通算で4回目です。前回3回目にしてようやく賑わってきたのに、大人の勝手な事情で3か月も空いてしまい、はたして来てくれるだろうか…と心配でした。残念ながら不安は的中。午前の市営西部住宅では、子どもたち現れず。

自治会長さんから「ここでは、とにかく続けること。誰も来なくても、週1回月に1回、必ず同じ場所でやっていることが大事。それを続けて信用される」と教えられました。

午後は県営岩田住宅の集会所へ。開始時間が近づくと、子どもたちがぽつぽつやって来てくれて、ほっ。とはいえ人数は前回の1/3まで減って5人。参加3回目の女児は「長いあいだ、まだかなぁと思った」と話してくれました。申し訳ない気持ちと、待っていてくれてありがとうの気持ちと。

今年度は、毎回テーマを決めてお話をつくってもらう予定です。今回は、日本人の子どもたち対象の5月と同じ「○○のぼうけん」としました。まずは「かいじゅうたちのいるところ」の読みきかせから。伊藤元館長の読みが、とても良いのです。

アプリの使い方は結構みんな覚えていて、初参加の子にも開始を待つ間に教えてくれたので、私からの操作説明は簡単に済みました。

以前「3月に生まれる赤ちゃん」をつくった5年生女児。無事に妹さんが生まれたそうです。今回は文字がメインの絵本でした。

他にも文字入力までする子もいて、録音、製本、発表会。

たとえ日本で生まれても、家庭で母語のみで育ち、小学校へ上がって日本語を使い始めた場合、読み書き全般と少し込み入った聞く話すが不得手となりがちです。自分の名前は書けても「いわたしょうがっこう」と手書きするのは難しかったり、生活の基本用語以外の語彙が少なくて思ったことを表現できなかったり。
初参加の4年生は、理解がとても早くてスイスイ完成。物語のキーワード「まほうのたんばりん」のテキスト入力もしました。ただ、日本語の長い文章を話すとなると思うようにはいかず、妹さんと一緒に録音しました。タンバリンをたたくと未来へワープ、もう一度たたくと無事もどってこれました。

1年生の妹さんは、海へ冒険に行くお話。長い文章は、お兄ちゃんと分担して録音しました。「ごろごろ~ ごろごろ~!」雷の音はお兄ちゃん。

2年生女児も家庭では母語のみ。「お話のアイディアはどこからきたの?」と尋ねると、お姉ちゃんの通訳を介して「七人のこびと」(『白雪ひめと七人のこびと』)と教えてくれました。

はじめて集住地区で実施したときの「だれも来ない」を、再び味わいました。
3歩進んで2歩下がる。信用をつくるところから再度やり直しです。
図書館職員の方が多忙で難しい時は、ボランティアのみでの実施も可としていただけたので、今回は図書館職員さんが準備してくださった一式を持って、伊藤元館長と私、名大の李さんの3人で出かけました。今後は、子どもたちにちゃんと次の実施日を約束できるようします。
次回は7月20日土曜日、午前は西部住宅、午後は岩田住宅です。

今後の開催など決まれば、豊橋市図書館のFBページ に情報が出ます。 豊橋市図書館のFacebookページ>>

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放課後子ども教室でピッケ@豊橋市立岩田小学校


放課後子ども教室でのピッケ絵本づくりに同行させていただき、お手伝いしてきました。昨年度も数回実施なさっている豊橋市中央図書館によるアウトリーチ。見学させていただくのは初めてです。

週末に集住地区で行ってきたワークショップと同様に、外国ルーツの子どもたちが対象です。違うのは例えば次のようなこと。
平日の放課後教室内での実施ゆえ、親子ではなく子どもたちのみ、したい子だけの任意参加です。導入や発表会など皆でそろってする進行ではなく、個別対応となります。理由は、授業の終わり時間が学年によって異なる上に、最初にする宿題に要する時間も、保護者がお迎えに来る時間もまちまちなため。なので、仕上がらない子も多くて、前回の続きからつくる子もありました。

まず1年生がやって来ます。わいわい宿題をしている頃に中学年が、終り頃に高学年の子たちがやって来て、この日は20人前後の外国ルーツの子どもたちが訪れ、その中で、絵本づくりをした子は16人、印刷、製本までした子は6人でした。宿題を終えると、校庭を走り回って遊ぶ子も多いです。

以前岩田住宅の集会所で参加してくれた子もいて、日本に来たばかりの同級生のために、ビサヤ語で通訳してくれました。特に低学年では、未だ日本語がおぼつかない子が多くて、同じルーツの子が通訳しながら教えてあげていました。岩田小学校の外国ルーツの子どもたちは10年前にはブラジル出身の子が大半であったのが、今はフィリピン、なかでもミンダナオ島出身者が多くなっているそうです。

週末のワークショップでは一律45分程度の短い制作時間となるのでお話は文字よりも録音を優先しています。対してこの放課後教室ではそれぞれのペースでできますし、簡単な日本語での文字入力までできるとよさそうです。繰り返しなぞり書きする日本語ドリルが辛い子も、覚えたひらがなをすぐ使って絵本がつくれればドリルにも張り合いが出るかも。

指導員の先生が4名いらして、勉強もみながら、多言語で通訳をし、生活の基本ルール、例えば 挨拶する、人を指差さない、他の人と話しているときは待つ、なども気づいたその場で伝えています。てんてこ舞いの忙しさの中での熱心な指導は、母のような愛情にあふれていました。迎えにきた保護者ともよくコミュニケーションをとっていらして、保護者(母親)にとっては情報を得ながら母語で話せるひとときとなっている様子です。

岩田小学校を含む2校には、来日したばかりの子どもたちのための国際学級(プレクラス)があり、基本的な生活習慣や必要最小限の日本語を教えているそうです。就学前の幼児向けにも同様の目的の保育園(プレスクール)があります。中学生に対しては、昨年4月に日本語初期支援校「みらい」が、岩田小学校のすぐ近くの市立豊岡中学校に開校したそうです。指導員の方やボランティア参加の伊藤元館長から、様々な支援の仕組みがあることを教えて頂けて、良い機会となりました。

集住地区(西部住宅、岩田住宅)へ出かける次回は、6月8日土曜、ワークショップ形式で行います。3か月ぶり、子どもたち来てくれますように(間があきすぎてて かなり不安…)。

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読み手を信じる


今をときめく児童文学作家おふたりと京都でお会いする機会がありました。初対面にもかかわらず、すぐに緊張も解け、サインまで頂いてしまったのでした。

おひとりは、越水利江子(こしみず りえこ)さん。
すでに100冊以上を世に出されていて、児童文学にとどまらず、小説、ファンタジー、時代小説、絵本、伝記など幅広いジャンルを手がけられています。
そんな中から、子どもにも大人にも、できれば親子で読んでほしいのが『ガラスの梨 ちいやんの戦争』越水利江子 作、牧野千穂 絵、ポプラ社。

「ちいやん」こと小学3年生の笑生子(えいこ)の眼を通して、戦争で変わっていく日常の生活を描いています。モデルは越水さんのお母さんです。
大阪大空襲のシーンは、読んでいるだけで苦しくて胸が痛みました。書いた越水さんはそれどころではなかったでしょう。書きながらご自身も「ちいやん」として追体験し空襲の中を逃げまどったに違いなく、戦争のむごさ理不尽さを子どもたちに伝えねばと、苦しみながら筆を進められたのではと推察します。
そんな辛いシーンがあっても全体のトーンは健やかです。登場人物のひとりひとりが活き活きと立っていて、日々を生き抜く人間のたくましさや、繋がっていく命の尊さが、誠実に描かれています。成年兄やんが馬のクリの体を川の水で冷やしてやっているシーンは美しく、夕焼けの赤色が見えてくるようです。食べ物の描写も美味しそうなのですよ。難しい言葉や表現は使われていなくて、漢字にはルビがふってあるので、小学4年生くらいから十分に読めると思います。
巻末には68もの参考書籍・戦時資料がリストされています。おそらく資料を読みこむほどに怒りと悲しみが渦巻き、加えて今の時勢への危機感から、長年温めてこられたテーマを今こそ世に出さねばと使命感に似たお気持ちがあったのではないでしょうか。
牧野千穂さんの絵も上質で素敵です。

もうおひとかたは、楠章子(くすのきあきこ)さん。
『ばあばは、だいじょうぶ』楠章子 作 、いしいつとむ 絵、童心社 は、認知症を扱った絵本です。

「わすれてしまう病気」になってしまった大好きなばあばを、小学生の「ぼく」(つばさ)の視点から描いています。楠さんは、若年性認知症を発症したお母さんを15年以上も介護なさっていて、その経験をもとにした作品です。
ばあばの気持ちも つばさの気持ちも切なくて、胸がいっぱいになります。なかでもぐっとくるのは、忘れてはいけないとばあばが書いたたくさんのメモを一面に配した場面。この見開きにだけテキストが無い、すなわち静寂なのです。皆がばあばを探しに出払った空っぽの家のばあばの部屋でひとり、つばさとともに(つばさになって)、ひきだしの中のメモを1枚1枚手に取り読んでいる気持ちになります。さらに、あとがきの楠さんの文章にもまた、こみ上げてしまうのでした。「守っているつもりで、じつはいつも守られているのかもしれない。」
さいごを「うん、だいじょうぶ。きょうもわらっていこう。」でしめているのも、楠さんらしいなぁと感じました(って1回しか会ったことないのですけれど)。肩肘はってがんばるというのではなく、やわらかな方なのです。いしいつとむさんの絵が素晴らしくて物語とマッチしています。

おふたりにお会いして、つくるものには隠しようがなく作者自身が現れるのだと感じました。そして、おふたりの作品に共通すると気づいた点が2つあります。
ひとつは、取り上げるテーマ。それぞれ「戦争と平和」「認知症」という大切ではあっても、子どもへの伝え方が難しいテーマに挑んでいること。ご自身の経験や十分な準備の上に確かな筆の力で、見事に子どもへと届く物語と成り、結果、大人の読者をもひきつけます。
ふたつめは、読者への信頼があること。『ガラスの梨 ちいやんの戦争』では、焼夷弾が降る中、幼な友だちの皮膚がずるりとむけ、炎に包まれ黒くこげていく。そんな眼をそむけたくなるシーンもぼかさず描いています。『ばあばは、だいじょうぶ』には、わかりやすいハッピーエンドはありません。どちらも読者を、子どもだからと低く想定していません。読み手を信頼しているのです。

「きっと合うに違いないから紹介したい」と今回の場を設け引き合わせてくださった恩人は、東京からの日帰り。所用があると先に退席してしまいました。その後もいったい何時間おしゃべりしていたことでしょう。越水さんと楠さんは同じ児童文学界の先輩後輩として旧知の間柄で、おふたりのやりとりを聞いているだけでも楽しくて。越水さんは高校時代は演劇部、作家になる前は映画の世界で女優をなさっていたそうで、ご自身が歩んでこられた道がそのまま小説になりそうです。目下、大好きな土方歳三を、史実に基づいた伝記小説として執筆中とのこと。

そうだ、大事なお知らせを。
『ばあばは、だいじょうぶ』が映画化され、上映中です。つばさ役は寺田心くん、ばあば役は冨士眞奈美さん。ミラノ国際映画祭2018外国映画部門で、最年少での主演男優賞と最優秀監督賞(ジャッキー・ウー監督)のW受賞に輝いたそうです。私ももちろん、舞台挨拶付きの上映回チケットを購入済み。スクリーンで観るのが楽しみです。 公式Webサイトはこちら>>

「ピッケのつくるえほん」ワークショップ@豊橋


外国にルーツのある子どもたちを対象とした愛知県豊橋市でのワークショップ、今年度の初回は5月5日こどもの日。諸事情で今回は居住区まで出かけることができず、中央図書館での開催となりました。

いつものように、学校経由で西部住宅に住む外国ルーツの子どもたちへ告知してくださったのですが、残念ながら参加はゼロ。予想はしていましたが、図書館へ自分たちで来てもらうのは未だ早かったとわかりました。

そんなわけで日本人ばかりとなったものの、4~15歳の幅ひろい年齢層の子どもたちと絵本づくりを楽しみました。

今年度は、毎回テーマを決めてお話をつくってもらう予定です。初回は「○○のぼうけん」。小学1年生女児は空へ飛んで行きました。

自習室での勉強を終えた中学生たち。途中からの参加ゆえ半分ほどの制作時間にもかかわらず、追い上げました(録音は無し)。さすがの集中力。

外国ルーツの子どもたちにとって、図書館はまだまだ遠い。さてどうするか。
今しばらくは彼らのコミュニティへ出かけ、次のステップでは、迎えに行って一緒に図書館まで来て館内を探検するなど、子どもたちの様子を見ながら段階的に図書館に親しんでもらえるよう、関わる皆で考えます。
物語を読んでもらう+物語をつくる で言葉の楽しみを知り、子どもたちだけでなく保護者にも図書館まで足を運んでもらって、いずれは図書館が外国人支援の一拠点となれるように。

そもそもは、昨年度、豊橋市が文部科学省からの委託を受けて始まったプロジェクトでしたが(と言っても正式決定は夏前だったので始められたのは10月、実質は半年)、文科省がこの「地域の教育資源を活用した教育格差解消プラン」自体を終了したので、今年度からは豊橋市図書館の自主企画となりました。
元館長の伊藤孝良さん(ボランティア)を要に、図書館職員の田中さん冨田さんはじめ、スタート時からのメンバーも各人のリソースを持ち寄って手弁当で続けます。名古屋大学大学院准教授の小川明子さん、もちろん私も。名古屋大院生の李旭華さんも頼もしいです。
次回は、市営西部住宅と県営岩田住宅へ出かけます。「次はいつ?」と楽しみにしてくれてた子どもたちと、またお話づくりができますように。

継続して来てくれる子が増えるといいなとスタンプカードをつくりました。

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「ボランティアの会」でピッケ@チャイルド・ケモ・ハウス


「おでかけピッケ」をご一緒しているチャイルド・ケモ・ハウス(愛称:チャイケモ)さんで、ピッケのお話をしてきました。
今年度から毎月「ボランティアの会」を開催なさるとのこと。対象は、チャイケモでボランティアとしてすでに活動中の方、今後やってみたい方、病気の子どもや家族の支援について一緒に考えたい方等。その第1回にお招きいただきました。

近頃は外への訪問が多かったので久しぶりのチャイケモ。ご飯を炊いて、皆でわいわいおしゃべりしながらのランチも楽しかったです。私も簡単サラダを持参。

第一部では、体験もはさみながらピッケの話

第二部は、副理事長の田村亜希子さんによるガイダンス。続いてハウス内を見学。チャイケモを設立されたお気持ちをあらためて聴けて良かったです。

設立経緯などを記したブログ記事はこちら>>

チャイルド・ケモ・ハウスさんと小児病院を訪問する「おでかけピッケ」、子どもたちの病状やその日の体調に合わせ絵本づくりを楽しみます。ありがたいことに「公益財団法人ノエビアグリーン財団 助成事業」に応募してくださり、なんと採択いただけたので、今年度は、交通費の心配なく遠方へも出かけられます。ご希望ありましたらご連絡くださいね。

チャイケモのFacebookページ>>

お花見2019@夙川


川べりをおしゃべりしつつそぞろ歩くだけのお花見に、今年も出かけてきました。満開前であったとはいえ、花は年々寂しくなっています。それでも、この夙川の桜を眺めてようやく春が来るのでした。

週末は、須磨浦公園へ出かけました。
あたたかな陽射し、桜の向こうに瀬戸の海。

「春の海 ひねもす のたりのたりかな」与謝蕪村

まさに、のたりのたりの春でした。

「ピッケのつくるえほん」ワークショップ@豊橋


3月3日ひなまつりの日曜、豊橋市中央図書館のアウトリーチとして、外国ルーツのご家族が多く暮らす地域へ出かけ、絵本の読み聞かせとピッケの絵本づくりをしました。午前は市営西部住宅の集会所で、午後は県営岩田住宅の集会所で。どちらの会場も前回に続き3回目です。

会場に着くと、子どもたちが歓声をあげて走り回っています。開始前、しかもこんなに大勢の子どもたちが集まってくれたのは初めてです。
ギャングエイジに入るか入らないかくらいのエネルギーあふれる男児たち。前回はトリオだったのがさらに人数増え、それはそれは(ごく控え目に言って)賑やか。おもちゃの銃でバキュン!しながら、跳ぶわ、走るわ。でも、伊藤館長の読み聞かせが始まると、最初はふざけていたのが、徐々に聞き入っています。

お話をつくり始めると、銃を置いて没頭していました。とはいえ、自分ができあがると、また大騒ぎに戻るのですが。男児はほぼ全員がそんな具合。でも、つくる時はどの子もぐっと集中します。

駆け回る男児のひとり、参加2回目フィリピン2年生男児の録音。見開きごとに「**が**しとる」(「しとる」は「している」の豊橋弁)S+Vの1文が基本。しかし徐々に表現を工夫し始めます。「どんぐり」といった単語が出てこないなど語彙に苦労したり助詞の選択ににとまどったりしながらも、S+V+Oとしたり「**で」と場所を補足してみたり。「雨が降っとる」といちど口にしたのを自分で言いなおし「くもりが雨になりました」と再録音したりもしました。描きたいシーンにぴたりとくる言葉や表現を探す様子に、良い作品にしたいというあふれる気持ちが感じられます。

言葉以外のところでも、気づくことがありました。例えば、「ハサミで切る」が難しい子がいます。ひとりの小2年生は、刃を大きく開き、そのままナイフのように握って、力で切ろうとしました。一方、外国ルーツの子であっても日本で幼稚園や保育園に通っていれば、園で習うのでハサミを扱えます。ちなみに、今回から入ってくれた名大大学院生の旭華さんによると、中国の家庭では、刃物は危ないので幼児には触らせず、小学校へあがってから学校で習うのだそうです。確かに考えてみれば、私を含め多くの日本人も、自然に覚えたわけではなくて、幼い頃に家庭や園で教えられ練習したからこそ、できるようになったのですよね。このハサミの件に限らず、自分の狭い「あたり前」に囚われたうかつさから気づけていない点が多々あるに違いなく、感度を上げねばと思います。

何人かの子たちは、事前にどんなお話をつくるか考えて来ていました。例えば初参加の姉弟のふたりが考えてきたのは、こんなお話でした。
小3姉「うさぎとくまを思いついて。崖から落ちるところから始めて、あとは作りながら考えた」
小2弟「フィリピンへ行ったとき考えた。1年のとき行って、それがお話になった」(本人弁まま)

午前の西部住宅は、初回に来てくれた小2女児を中心とした口コミ広がりなので、同じ2年生が大半を占め、親を伴なわず子どもたちだけで来ています。当初の計画では親子での参加を想定していたのですが、対小学生では、まず子ども、それから子どもが親を誘って一緒に参加とするほうが無理がなさそうです。

とくに男児は大騒ぎでヤンチャしている時と集中してつくっている時とのギャップが大きくて、そこに可能性を感じます。後者の時間割合が増えるように、「制する」のではなく、場のつくり方、カリキュラム、ファシリテートで工夫したいです。どの子も、前より良い作品をつくりたいと願い挑戦しているので、今後はテーマを設けるなど、次のステップへ進めてみます。録音時や発表時の「音」の質を上げることも課題です。

午後の岩田住宅は、午前と打って変わって落ち着いた進行に。

こちらも前回参加の子たちの口コミで増えました。フィリピンの4年生女児は数人の友だちを伴って

ブラジルの小5男児は5歳の妹さんと一緒に来てくれました。自治会の舛木さんが、日本語を解さない兄妹のためにポルトガル語の通訳をしてくださいました。

図書館の冨田さんが日本語の絵本を、ブラジル人のお母さんがポルトガル語の絵本を読んでくれました。

弟へ贈る絵本をつくったフィリピンの1年生男児は、ビサヤ語等が母語。日本語も話すけれど、録音は英語でしていました。理由を教えてもらったところ、お父さんは仕事で日本語を使うけれどお母さんは家の中だけなので日本語は話さない。日本語だと言いたいことが100%言えないこともあり、伝えたいことがいちばん言いやすく、家族全員が理解できる英語にしたとのこと。

子どもたちを取りまく母語や日本語の環境、習熟度、家庭の事情もそれぞれで、丁寧にみていかねばとあらためて思います。ワークショップを終えてからの図書館の皆さんとのふりかえり、名古屋大学の小川明子さんの明晰なアドバイスもありがたいです。

2つの会場とも「次はいつ?」と子どもたちから尋ねられました。「どんどん楽しくなってきた。またつくりたい!」と。
3回目にしてようやく定着してきた感。来年度もなんとか続けたいです。

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廃材リユース×ピッケ ワークショップ@玉島 IDEA R LAB(子ども回)


初日の大人対象回からの続き)
2日目の日曜日は子ども対象回「ちいさな妖精とちいさな絵本」。

黄色の風船を目印に、屋根裏の秘密部屋へ導かれるようにしました。ダンボールのピッケたちは、4年前「おはなしのもり」の時につくった子たち。梁に頭を打つので注意。

さて準備は万端。ラボへ戻り、早めに到着した兄弟くんたちとおはなし絵カードで遊びました。

全員そろったのでマテリアルライブラリーへ移動。足元に気をつけながらひとりずつ屋根裏部屋へ。グリムの「こびととくつや」をざっと読みました。(ちゃんと1冊通して読まなかったことをあとになって反省)

大月さんに廃材の由来を教えてもらいながら、それぞれの妖精をつくる材料を選びます。

手にとり眺め、大切にケースに集めてラボへ持ち帰りました。

子どもたちの早いこと早いこと。迷いがないのです。熱中。

赤い実を食べるのが好きな妖精。

森に住んでいるそう。(名前も教えてもらったのだけど忘れてしまいました、2文字)

お茶とお菓子で休憩したあと、絵本づくり。

つみきを組み合わせて忠実に妖精を表現しています。「ピッケとみみちゃんと妖精はバスを待っています」

録音。製本して完成。

発表会では順番に、まず妖精を紹介してもらい、それから絵本を上映しました。

「家まで届けよう」えにしくん(小6年)作

裏表紙に描いた食べたお皿で妖精の存在を感じさせつつ、姿は現さない新手法。まんねんさんが届けてくれたマスカットを食べたのは、こんな妖精です。

昨年度までは特に誘導しなくともつくった工作と絵本がつながったのだけれど、今回は繋がらない子がありました。原因に心あたりがいくつかあり、次回は活動のデザインをもっと丁寧に見直します。やろうとしているのは、身体(手を動かしてつくる)と空想、デジタルとアナログ、有形と無形がシームレスにつながった大きな物語世界の中で、子どもたちが創る楽しみに存分に浸れる場を用意すること。

前回も参加してくれた6歳の男の子。12歳のお兄ちゃんともども「次もまた来たい!」と言ってくれました。嬉しいな。

玉島では、大月さんはじめ界隈の皆さんにいつもほんとにお世話になります。ワークショップ当日のあわただしいお昼を、アゲモラ部屋(あげたりもらったり直したりする)でご馳走になり、500平米超の洋品店を住みながらリノベし続けてるサトミちゃんからは牡蠣のはさみ焼き(実演付き)や米粉のシフォンケーキが届き、あっこちゃん、岡ちゃん、なんちゃんからも差し入れ。多くがこのコミュニティに魅せられた移住者です。新しく滋賀から越してきた女性は、縫う人チクちゃん。すでにすっかり溶け込んでいました。
そして、4年前の初回から毎回手伝ってくれるヒサモこと久森有希さん。今回は神戸~玉島を運転まで。いつもありがとう。
今年も玉島のゆったりした時間の中で、ワークショップをすることができました。早くも次回が楽しみです!

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【 IDEA R LAB 】大月ヒロ子さんが、故郷玉島のご実家をリノベーションしてつくられたクリエイティブリユースの拠点かつ実験場。
http://www.idea-r-lab.jp/
https://www.facebook.com/IDEARLAB
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