9月23日(月曜祝日)、豊橋市中央図書館の自主事業として、外国ルーツのご家族が多く暮らす地区へ出かけてきました。今年度になって4回目、通算で7回目です。
午前の市営西部住宅、開始時刻になっても誰も来ません。いつも来てくれる3年生女児さえも。伊藤孝良 元図書館長が家まで様子を見に行くと、お母さんが仕事に出かけたので3歳の弟の面倒をみているとのこと。保護者の許可を得て、伊藤さんを真ん中に仲良く3人で手を繋いでやって来てくれました。他へも声がけし、子どもたちどおしの誘い合いで6人となりました。
今回のテーマは「○○のやくそく」。司書の田中さんが「やくそく」(ニコラ・デイビス 文、ローラ・カーリン 絵)を読み聞かせしてくれました。
弟くんも、かえるが飛び跳ねるお話をつくり、録音も「さんさい」「ぴょんぴょん」とお姉ちゃんと一緒にできました。
午後の県営岩田住宅は12人が参加してくれました。岩田での私のいちばんの気がかりは、ブラジルルーツの6歳の女の子。前回初めて日本語に挑戦し全身で喜んでいたのに、きっとがっかりさせてしまうだろうなと。というのは、名古屋大学小川研主催デジタル・ストーリーテリングの前回は、母語できるファシリテータが1人に1人ずつ付いてじっくり聴いて話しながら作れる環境でした。でも予算ゼロの図書館自主事業ではそれは難しいのです。なんとかひとりだけでも母語できるボランティアさんを探せないかと伊藤さんやフロンティアとよはしさんがあたってくださったのですが、大学生は授業、大人は勤務日等で見つけることができず。いつものように自治会の舛木さんが兄妹へ付いて通訳をしてくださいました。毎回必ず手伝ってくださりありがたいです。とはいえ、母語で弾むように1対1でやりとりできた前回とのギャップは大きく、女の子の顔がみるみる曇っていくのがわかります。録音をお兄ちゃんと一緒にしたことで少し元気になってくれて、上映は嬉しそうで、いくらかほっとしました。
10歳のお兄ちゃん(ブラジル人学校に在籍)も母語のみだったお話に日本語も併記し、録音も日本語でがんばりました。
嬉しいことに、女の子は、お兄ちゃんに付いて日本語教室へ通い出したそうです。自分から行きたいと望んで。
家族と一緒に日本へやって来てくれた子どもたちに「日本語できるようになりなさい、覚えなさい」とは言いたくないのです。母国の言葉や文化も大切にしながら、子どもたち自らが、日本語話すのは楽しい、覚えたいと感じてほしい。
そのために私たち大人ができるのは、機会と場を用意すること。今は「人」が足りなくて苦労しています。丁寧に見てあげれたら伸びるだろうという子が眼の前にいるのに手が足りません。もどかしいです。もし豊橋近辺の方で手伝ってくださる方あれば、ぜひお願いします。ポルトガル語かビサヤ語できる人も切望しています。子どもたちの物語が生まれる場に立ち会うのは楽しいですよ。そして、子どもたちから学ぶことも多いです。
豊橋市は、外国籍の子どものために、就学前の保育園(プレスクール)、集住地区の小学校には国際学級(プレクラス)や放課後子ども教室、中学生向け支援校があるなど、他の自治体に比べかなり手厚いです。また、NPOフロンティアとよはし、NPO外国人就労支援センターなど、長年活動を続ける市民団体も複数あります。
国策として外国人労働者の受け入れをすすめているのですから、本来であれば国が率先し手当てすべきところを、受け入れる地方自治体や市民が代わりに担っているのが現状かと思います。国の仕組みが整うのを待つ時間的猶予はありませんし、今後ますます日本の各地で家族とともに来日する外国人が増えてくることでしょう。
子どもは社会の宝です。日本人の子どもであろうと外国籍の子どもであろうと、皆で大切に育てていきたいです。
次回は10月19日土曜日、午前は西部住宅、午後は岩田住宅です(フロンティアとよはし主催)。翌20日日曜日の午後は、岩田住宅でデジタル・ストーリーテリングのワークショップ(名大小川研主催)の2回目もあります。
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