Category: 旅行

ヘルシンキ旅行メモ5 街の中のデザイン


アラビアの工場は、朝の集合とランチに利用しただけで買物はせず、隣接した海辺の住宅地域を散策しました。

街の開発時に「予算の2%をアートに使う」と定められたそうで、建物も素敵ですし、随所にアートが潜んでいます。そぞろ歩きを楽しみました。


以下はヘルシンキ市内で撮ったスナップ。
郵便局。ポストも封筒もオレンジ色。

ヘルシンキ現代美術館キアスマ(Nykytaiteen museo Kiasma)

地下鉄。左はリサイクルのゴミ箱。右の天井部は行き先表示なのですが、判読むずかしいです。車内の座席も赤色でした。

左からバス停標識。トラムの座席は路線図のデザイン。道路横断の押しボタン。

中央駅のサイネージ。右は買い方わからず焦った券売機。2文字で緑色だからか何となくJRと似ていますね。

左は道路を掃除する車。右はレンタル自転車。

スーパーにある生鮮食料品などの量り売り用の機器。番号を押す→重さを量る→出てきた値段シールを貼る。どのスーパーでも共通なのでわかりやすく、好きな量を買うことができて、良いシステムだと思いました。

街並みも、旧いモノも新しいモノも、美しいデザインが多く、もっと撮っておけばよかったと今になって思います。すぐに眼が慣れてしまうのです。
帰国した空港や最寄り駅の駅ビルで、雑然とした落ち着かない心もちになりました。視覚もですが、音も多いのだと気付きました。BGM、館内放送、さまざまなノイズ。でも、その違和感もせいぜい1日。すぐまた元の生活環境に慣れました。
視るもの、聴くもの、使い勝手や動線、どんなデザインの中で暮らすかは、無意識のレベルなだけにじわりと効いて、様々な面に影響していることでしょう。

ヘルシンキ旅行メモ
ヘルシンキ旅行メモ1幼稚園
ヘルシンキ旅行メモ2 図書館・書店
ヘルシンキ旅行メモ3 リサイクル・アップサイクル
ヘルシンキ旅行メモ4 社会の中の学びの場
ヘルシンキ旅行メモ5 街の中のデザイン
ヘルシンキ旅行メモ6 番外(宿、食事)
ヘルシンキ旅行メモ7 雑感

ヘルシンキ旅行メモ4 社会の中の学びの場


図書館以外にも、そのつもりなく訪れた先で、子どものために用意された学びの場に出会いました。

ヘルシンキ市立博物館(Helsinki City Museum)。入館無料。

展示のメインはヘルシンキ市の歴史です。膨大なフィルムのストックを閲覧できる部屋もありました。

昨年リニューアルされた子どものための展示が抜群によかったです。

自由に休憩や工作ができる部屋。壁面には子どもの作品が飾られています。部屋の一角にお面をつくる材料が用意されていて、母娘が楽しんでいました。説明書きは、フィンランド語とスウェーデン語の2通りがあります。

昔の暮らしを楽しい展示で見せています。左は靴屋、右は食料品店で、お店屋さんごっこもできるようになっていました。

昔の教室を再現した部屋。パネル展示を見ると学校で編み物を習ったようです。

昔の暮らしを再現したなんとも愛らしい空間もありました。どれも入ってよい触ってよい展示です。

好みのコスチュームを着て舞台上で演じられる部屋もありました。パペットを使った劇もできます。

1階のロビーには、アアルトデザインのどんぐり型ライトがさがっています。

子どもたちのコート掛け。

トイレに男女の別はなくて、ドアを入ると、手洗いもそれぞれに備えた個室が並んでいる造りでした。
実は素敵すぎて2回訪ねました。最初は平日夕方遅くで空いていましたが、2度目の土曜は家族連れで賑わっていました。
入り口には、ベビーカー置き場のサインボードがありました。

国立美術館(Ateneumu)ではアアルト展が開催されていました。
会場内のハンズオンコーナーは、黒を基調にした展示で、建築、木材等マテリアル、構成デザインなどについて、大人も子どもも遊びながら学べます。

この女の子は、家をつくりそれを汽車に変えて、とかなり長い時間楽しんでいました。

二点透視図法と一点透視図法を試せる展示。(写真は二点透視図法)

積み木。写真下段は、木の種類による手触りの違いを確かめられる展示。

休館で入れなかったのですが、立派な児童館もありました。図書館でも様々な活動が行われている様子だったので、どう役割分担しているのでしょう。
他にも、まる一日のんびり過ごしたセウラサーリ野外博物館(Seurasaaren ulkomuseo)にも、昔の子ども部屋を体験できる場や、子どもを対象にしたワークショッププログラムが用意されていました。

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ヘルシンキ旅行メモ3 リサイクル・アップサイクル


旅のメイン目的は、kinologue主宰、Cleaning Day Japan事務局代表 の森下詩子さんと IDEA R LAB代表の大月ヒロ子さんにより企画された、3日間のアップサイクルツアーに参加することでした。

このツアーの趣向のひとつに「現地の人と交換できるアップサイクル・アイテムを持ち寄る」がありました。荷造り未着手、翌朝7時には発つという夜、「ひとつ作ろう」のつもりが、あとひとつ、もうひとつ。祖母の羽織の裏地+カーテンの留め具、母の着物地+昭和なボタンなど、手を動かし始めると面白くて止まらなくなります。箱もモロゾフの菓子箱をアップサイクル。

旅の後半、アップサイクルツアー初日は、早めランチのあと、さっそくアップサイクル・アイテムの交換会でした。

和布のくるみボタンのブローチ、マーブリング染めした紙コップでランプ、ポップなガムやチョコのパッケージをそのままブローチ、木から彫ったスプーンetc. もう皆さんレベルが高すぎて、持っていった物を引っ込めたくなりました。とはいえ、真似したくなるわくわくなアイディアいっぱいで楽しかったー。

U6 Uusix は、ヘルシンキ市のリサイクル・センター。元はゴミ焼却場だったそうで、広大です。

ストアも併設。

センター内の作業所を見学させてもらいました。
ヘルシンキ市の社会保険省の管轄で、失業者の雇用を目的とし、自立を支援しています。3か月から始めることができて、1日4時間、週に4日働き、ルーティンを身につけます。金土日はお休みです。4時間の中には、ワークショップ(例えばコミックのワークショップ)や美術館へ出かける等のエクスカーションも含まれます。移民のために、週1回、言語の研修もあるそうです。報酬は、ここに来ることで200ユーロ、失業保険に加えて9ユーロ/日、さらに交通チケットが支給されます。
単に労働というだけではなく、リハビリの一環ととらえ、人を育成することを大事にしているそうです。このセンターに市職員70人が勤務、通っている利用者は450人。リサイクルということで、一見、環境と関係ありそうにみえますが、環境省とは関係ないそうです。

目的別に複数ある工房を、それぞれを担当するインストラクターの方に説明いただきながら、順に見せていただきました。
手作りの小さいものをつくる工房。40名分ほどの席があり、3名のインストラクターがいます。

廃材にデザインと人の手を加えて、アクセサリーなどによみがえらせます。


今は、寄付で皮が届いたので、それを使って新しいものを始めてみているとのこと。

木工の工房には、依頼された修理を請け負う部門と、新しくつくる部門とがあります。木工のスキルなくやって来た人に、イチから教えるそうです。

陶器の工房では、まず最初に自分の使うマグカップを作ることから始めます。
ここは、布製品を縫製するところ。工業用ミシンが並んでいます。

敷地内のそれぞれ別建物で、自転車修理場と、パソコン修理場がありました。自転車は警察からも届くそうです。

Word、Excelの4日間の講習を受講すると、1ユーロで修理済パソコンを購入することができ、それが受講のモチベーションにもなるそうです。
また、社会保障をもらっている人を対象に、その家族に自転車が必要と認められると、ここで無償でもらうこともできるそうです。

回収した廃材はいずれも、使える物は修理をしてクリーニングをして売る。使えないものは材料として工房へという流れです。クリーニング担当は、就職へとつながるそうです。
毎年夏には、各部門が店を出して販売するそうです。

ツアーでは、他にも、クリーニングデイ事務局を訪問して創始者の話を聴いたり、アップサイクリング・デザインセンターで廃材工作のワークショップに参加したりしました。贅沢にも、少人数で、舞台裏の運営まで詳しく知ることができ、現地集合/解散、途中入り/抜けOK、面白そうなことあれば予定を柔軟変更というリラックスした楽しい学びのツアーでした。

ツアー以外にも、大月ヒロ子さんに案内いただいて、リサイクル・アップサイクルのショップを周りました。その中のひとつ Emmausは、神父がホームレス支援のために立ち上げたパリ拠点のNGO団体で、元ホームレスの人たちが不要品の回収、修理、販売を担当、売上が彼らの生活費や自立支援に充てられるそうです。

日本でも各地でCleaning Dayが開催されています。フィンランドでの発祥の理念を尊重し「アップサイクル」(単なる再利用ではなく、モノに新しい価値や有用性を見出す)であれば、自分にあった規模と地域性に富んだアイディアで、それぞれの形のCleaning Dayを開催できるそうです。FBページ

ところで、Cleaning Day Japanには、本国にはない発展的アレンジがあります。クリーニングデイのタグ裏にメッセージ(モノのストーリー)を書けるようしたり、コンセプトにぴったりなフィンランド映画『365日のシンプルライフ』や『Take It Slow!』の上映とセットにしたのは、Cleaning Day Japanだけのオリジナル、森下詩子さん(クリーニングデイ・ジャパン事務局代表)の素敵な発案です。

モノや、モノをつくることには物語がある、という考えにとても共感します。私も、大月さんの「クリエイティブリユース」ワークショップでゲスト講師を務めた時、子どもたちに作品の物語をカードに書いてもらいました。玉島でのピッケワークショップでも「廃材リユース×物語づくり」としています。
「廃材×物語」クリエイティブリユースワークショップ @神戸KIITO
廃材リユース×ピッケ クリスマスワークショップ@玉島 IDEA R LAB(子ども回)

U6もEmmausもCleaning Day Japanも、ストアや当日のイベントとして見えている部分は、社会の中を循環する大きな輪のほんの一部にすぎません。日本でも「sustainable(持続可能)な社会の実現」が言われ、アップサイクルの理念が認知され始め、廃材を使った工作などの活動も行われるようになってきました。楽しさを入り口に参加したり、継続的関わりへの動機が楽しさであることは大事です。でもそれだけでは一過性の楽しいイベントで終わってしまいます。表層的な見映えに流されない足腰の強い活動であるためには、明確なビジョンをもち、社会の中での最適な枠組みをしっかりデザインすることが必須だと再認識しました。
ヘルシンキでは、公の事業として社会福祉と結びついていました。自分の関心へ引き寄せようとするからかもしれませんが、日本でなら、子どもの教育と結び付けたいと感じました。

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・クリエイティブリユースを実感できる場所「IDEA R LAB
大月ヒロ子さん個人が、故郷玉島(倉敷市)のご実家をリノベーションしてつくられたクリエイティブリユースの拠点であり実験場。どんどん楽しく広がっています。
・次回 クリーニングデイ#8 は 2017年8月26日(土)開催! 最新情報は Cleaning Day Japan のWebで。
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ヘルシンキ旅行メモ
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ヘルシンキ旅行メモ2 図書館・書店


(旅行メモを更新する暇ないまま帰国しました。メモの続きを。)

Espoo郊外の小さな図書館を見学させてもらいました。フィンランドの図書館は、本を読むだけでなく、電子化もすすんだ情報の拠点であり、地域コミュニティの拠点、開かれた学びの場でもあります。

Espooに限らず、各地域にたくさんの図書館があります。一方、小学校すべてに図書館があるわけではないそうです。図書館は、基本的に自宅の近所にあり、子どももひとりで歩いて出かけます。(ただし、都市部で駅の大型モール内にある場合などを除く)

見学させてもらった日は、夏休みが始まったところで、近隣の子どもたちがやって来て工作のワークショップに参加していました。

子どもだけでなく、バギーに赤ちゃん乗せたお母さんも、シニアも、のんびり過ごしています。ここは絵本のコーナー。

学校の授業でも利用されていて、近所の小学校から、ひとクラスでやってくることもよくあるそうです。担任の先生が、図書館に限らず、美術館、博物館などへ児童を連れて出かけるとのこと。日本では、担任の先生の裁量での学外授業は、なかなか簡単ではないですよね。
他に日本との違いを感じたのは、絵本。日本では、未就学児は、絵がメインの絵本を大人に読んでもらうことが主流です。対してフィンランドでは、絵本を読んでもらうこともありますが、小学校へ上がる頃には、この程度の文字量+挿絵の本を自分からすすんで読むのだそうです。

行き当たりばったりに歩いたヘルシンキ市街地で、ひときわ趣があり気になった建物がありました。ひとりで動いていた別の日にもたまたま通りがかり、GoogleMapで図書館であることは確認できたので、思い切って重い扉を開けて入ってみました。

Rikhardinkatu図書館、外観も内観も歴史を感じます。
高い天井、重厚な空間に圧倒されます。どのフロアにも、木の机+椅子の部屋と、間接照明のゆったりしたソファスペースがあって、自宅のリビングに居るようにくつろいで本を読む姿がありました。階段の踊り場に大きな老犬も眠っています。


夜19時から、中央の吹き抜けの空間で現代舞踏のパフォーマンスが始まり、誰でも自由に観ることができました。

建物は旧いですが、WiFi完備、電子書籍、機器の貸し出しがあり、諸々の手続きはICカードでしている様子でした。写真右:フィンランド語で書かれた内容は不明ですが、掲示板にポストイットがいっぱい貼ってあります。

アアルト大学 (Otaniementie)の図書館は、テーブル、椅子も全てアアルトデザイン。

国立図書館は、毎度タイミングはずしてしまい開館時間内に行けずじまい。次回に。

有名な老舗書店。何度か足を運びました。天窓は、開いた本をイメージしているとのこと。2階アアルトデザインのカフェは眺めただけ。

宿の近く、住宅地にある素敵な書店。地階に降りると居心地よいソファスペース、奥の真っ白なギャラリースペースでは、コンサートもするそう。さらにその奥にも隠れ家的小部屋あり。



長居したくなる魅惑の書店でした。

図書館も書店も(書店はたまたまその店がそうだったにすぎないかもですが)本の提供だけではなく、文化育成(過去のアーカイブ+未来)、地域コミュニティ拠点としての活動、教育を本気でやっています。Rikhardinkatu図書館は、もう溜息ものでした。フィンランドの読書量は世界一とよく聞きますが、その懐の深さを垣間見たようでした。

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ヘルシンキ旅行メモ1幼稚園


ヘルシンキに来ています。
Lauttasaariにある公立幼稚園を見学させてもらいました。
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広い敷地内に建つゆったりした平屋で、年齢や目的に合わせた小部屋やコーナーに分かれ、家庭的で落ち着いた雰囲気です。
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玄関入ってすぐのホール。1日の中でも寒暖差が大きく、ここで脱ぎ着をして調整します。
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5歳からのスウェーデン語を学ぶ部屋。img_fin_170607_Lokki_0
子どもたちが作った「カモメ」。(幼稚園の名前が「カモメ」という意味だそう)
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お昼寝用の部屋。
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冬場に運動もできる広い部屋。天窓から陽がさします。
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あちこちに子どもたちの作品や活動記録の写真が貼られています。
画材はもちろんのこと、海や森で拾ってきた枯れ枝なども工作材料としていつでも手にとれるところに置かれています。img_fin_170607_Lokki_9

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その日の活動は子どもたちの興味等に合わせ、担任の先生の判断で臨機応変に決めるそうです。お天気に恵まれたこの日は、部屋のドアに「外へ出かけています」の札がかかった部屋もあり、みんな外へ出ていました。

園庭。隣接して、もっと年齢の低い子どもたちのための遊具のない庭もあります。美術館や図書館、すぐ近くの海へ出かけることもあるそうです。
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iPad1台を含むタブレットやPCも利用しているそうですが、当たり前に溶け込んでいるので特に目につくことはありません。喧噪もなく、創作や表現など楽しく豊かな学びに満ちた子どもたちの「暮らす」場という印象でした。

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燻すクリスマス@玉島 IDEA R LAB


2日間のワークショップを終えた翌25日(日曜)は、ラボの庭で「燻してクリスます!」でした。
晴天。皆さん持ち寄りの食材を、次々に燻して、食べて、おしゃべりして、また食べて。
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秋山さん晄子さん持参の燻製器3台は、真ん中だけが市販品で、手前のは七輪から、奥のは米びつから作られたお手製です。
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海の幸、山の幸、様々な燻製がつづく中、大月さんが数日前から仕込んだ丸鶏も登場、クリスマス気分が盛り上がります。
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おやつテーブルの周りには小さな子どもたち。血縁ではないおじいちゃんおばあちゃんと日頃から仲良しだそうで、この日もお母さんから離れても平気、すっかりリラックスしています。
「もぉーいいかい」かくれんぼする子どもたちの声も聞こえてきます。
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ラボでは、アーティストが即興で子どもたちとワークショップしていたり、ハンモックでお昼寝している人、旧いステレオの修理をしている人。オープンな空間で思い思いに過ごしています。
私も子どもたちのフェースペイントをお手伝い。右のほっぺに柊、左のほっぺに雪の結晶を描きました。
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大月さんの人柄や活動、生みだす場が、ご近所からも遠方からも多くの人を引き寄せて、ラボ一帯に幸せな空気が漂っています。和やかでのんびりしたクリスマスでした。
玉島は、私にとって心身の滋養です。

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【 IDEA R LAB 】( 倉敷市玉島中央町 )
大月ヒロ子さんが、故郷玉島のご実家をリノベーションしてつくられたクリエイティブリユースの拠点。町から出る廃材を、クリエイティブに素敵によみがえらせる取り組みを、楽しく美しく続けておられます。
http://www.idea-r-lab.jp/
https://www.facebook.com/IDEARLAB
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あいちトリエンナーレ豊橋会場


浜松の前日、駆け足であいちトリエンナーレ豊橋会場を2つまわりました。
いずれも再開発対象のようなので、今このタイミングならでは。時代がわからなくなるよな空間に、作品がまじりあって良かったです。

水路の上に建つ水上ビル。細長い1~3階+屋上が、鳥小屋。(ラウラ・リマ作品)
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開発ビル。
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水上ビル。花火屋さんが多い。たばこ専門店も。
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水上ビル壁面の広告は地元の絵描きさん。誰の作かひと目でわかりました。
「オレたちの日常はイカしてんだぜ!」豊橋 コータロー

高遠と伊那の図書館 ~江戸の図書館、昭和の図書館~


長野県の伊那市で開催された「信州発・これからの図書館フォーラム」に参加しました。
記憶うすれていくのがもったいなくて、以下まとまらないまま覚書きメモ。

高遠図書館(現 高遠町図書館)は、明治41年に地元有志による会員制の私立図書館として始まった。
中村不折(「吾輩は猫である」挿絵、新宿中村屋の商品表記などで知られる)による書。
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江戸時代の貴重な資料の数々。
印刷技術誕生の前なので当然なこととはいえ、手で書き写した書物の質と量に圧倒された。「知」の蓄積そのもの。
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天文学は農業にも必須。
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医師の馬嶋家が何代かに渡り、書き写した文庫。膨大な量。
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浅間山の噴火の被災地図。立体になっていて、煙が流れた方向もわかる。被害がどこまで及んだかが細かに記載されている。
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洪水の被災記録。(同様の震災版もあり) 複数人が四方から取り囲み読むことを想定した文字の向き。
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高遠藩藩校「進徳館」も見学。
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「ひとりの落伍者も出さない」互いに学びあう場。それは、新しい時代を迎えようとする幕末において藩にとっての死活問題であったから。儒学にとどまらず、和学、漢学、兵学、砲術、後には洋学も講するなど、実践学を重んじた。
ここで学んだ多くの人が、維新後に教育者となった。この精神はDNAとなり信州の近代教育に今も引き継がれている。

上伊那図書館(現 伊那市創造館)、昭和5年に地元の製糸家の寄付で竣工。
建物の外観も内装も素敵。鉄筋コンクリート建築、外壁に高遠焼(タイル)が貼られている。
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往時の書庫がそのまま残る空間。
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戦前戦中の貴重な資料もアーカイブされている。
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戦火から守るために東京から送られた資料を預かったり、戦後、進駐軍に接収されるとなったとき、資料を守るため大急ぎで他所へ送ったりした。

どちらの館でも、これらを残そうとした人々、保管し後世へ手渡そう伝えようとした人々が居て、長い年月経て今ここにあると思うと、胸が熱くなるよなグッとくるものありました。

アプリ「高遠ぶらり」 。高遠、伊那、内藤新宿の古地図がアーカイブされている。GPSをオンにしたスマホを片手に、江戸時代の地図上の場所を表示しながら街歩きができる。

<自身の関心に引きつけての自分メモ>———-

情報がのるプラットフォームが紙の本である時代が長く続いたために「図書館」と呼ばれているが、集積したいのは「情報」である。プラットフォームは、紙の本とは限らない。
プラットフォームがデジタルになることで、より自由になる。紙は定着し腰を据える感じ、デジタルはフットワーク軽くなる感じ。
むろん、紙の本が魅力あるプラットフォームであることは変わらない。今回のツアーでも大いに魅了された。同じ資料をWebのブラウザ上で見ても、この感動はないだろう。強さがある。
人や物や場所もまた、情報のプラットフォームである。(例えば、ランチタイムに伊那の名物「ローメン」を頂きながら伺った長谷部さんの話。林業から猟師へ。仕留めた鹿を活かしたくて、料理人に転向。マトンでなく鹿を使ったローメンを考案。地産地消になるようごま油を菜種油に、七味も地元のものを使用。「長谷部さん」という「人」に、地域課題、経済、食などリアルな情報がのっている)

デジタルアーカイブは、視聴覚の魅力が強まる、共有や発信がしやすい。一方、再生するための機器も合せて持ち続けなければならないという弱点もある。(平成の今、江戸時代の書物を手にとり読めることを思うと、息が長いのは、むしろ紙の本だったりするわけで…)

インターネットの普及により、個人が膨大なデータベースにアクセスして必要な情報を得ることがとても手軽になった。(得られる情報の質はさておき)
そんな中で図書館へ足を向かわせるには、情報の見せ方(キュレーション)や、人が居る、人と繋がることのライブ感を活かす。明治の高遠図書館では、レコード鑑賞会や、実験や研究など、多様な活動が行われていた。
ネットで手に入る平均化された一般情報よりも、その地域に密着した課題や情報が強い。図書館は、情報が行き交う地域のコミュニティとなりうる。

デジタルの良さは、「創造」への敷居を大きく下げ、「創る」をエンパワーすることにもある。
「創る」ことには、あらゆる学びがつまっている。私自身は、そこに関わっていきたい。
関連ブログ: 子どもたちの考える「未来の図書館」

家庭、学校など教育機関、地域社会。3つが緩やかにつながった多様な社会全体で子どもたちを育てたいと常々考えている。図書館は、その3つともにまたがるではないか、と、今回ハタと気付いた。
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生活知と乖離しない、真の知や学びは、楽しい。

未来に思いを馳せるとき、過去の知の集積にあたり起源を知ることは役立つ。
例えば「進徳館」での実践の学び、学びあいは、いま盛んに言われてるアクティブラーニング。

——— 以上

実に、わくわくする1日でした。眺めも素晴らしかった!
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写真をFacebookのアルバムにアップしました。>>こちら
このフォーラムの主催、仕掛け人である県立長野図書館 平賀研也館長によるまとめ>>こちら